地方“行夢員”のための仕事術13箇条(2014.12.5のFBノート)

ギフチョウサロンで講演を頼まれ、お話ししたプロジェクトマネジメント術(仕事術)13箇条です。今年前半に名古屋市での研修会の際につくった8箇条を大幅に増強・改訂しました。私たち公務員が仕事で、夢や思いを実現するためには、それを通していく技術が必要です。上司や庁内の人たちが納得してくれるだけの企画を出し、世の中にも受け入れられるメッセージを発する必要があります。

この13箇条は、それを成し遂げるための、普段からの心構え、技術習得につながる姿勢をまとめたものです。私自身が、これまでいろいろな仕事をしてくる中で考えてきたこと、やってきたことを振り返って、つくりました。ご参考にどうぞ!

1.楽しい成果を妄想せよ

「こんなことができたら喜んでもらえるだろうなあ」、「面白いだろうなあ」、「感謝されるだろうなあ」といった妄想を大いにする。そして、具体的な成果のイメージをつくる。妄想は磁石のようなもの。妄想していると、普段の仕事や生活の中で、それを実現するヒントが磁石に吸い寄せられるようにくっついてくる。

2.首長の立場で考えよ

何かの課題に触れたとき、ニュースを見たとき、世の中で起こっていることに触れたとき、自分が知事や市長だったらどうするだろうかと常に考える。自分の自治体に関係ないことでも、これが自分のところで起こったらどうするか考える。こうして目線を高くするトレーニングを積む。これを毎日繰り返していると、問題意識の幅が大きく広がる。その積み重ねは必ず実力になる。

3.現場へ出て、見て、人と語れ

成果のイメージをつくるためには、現場のイメージが不可欠。事業を組み立てるにも、現場へ行かないとイメージがつくれない。とにかく、現場へ出て、多くの人たちの話を聞き、意見を交わすことが何より大事。現場には課題も答えもある。そして、何をすればよいかがわかり、動いただけのことは必ずある。そこでできた人脈は自分固有の財産にもなる。

4.徹底的に勉強せよ

どんな分野でも、一つのことを成し遂げようと思ったら徹底的に勉強する。関係する本を読み、ネットで情報を調べ、プロになろうと努力する。対する相手はほとんどの場合、専門家なり現場のプロである。勉強しているかいないかは相手に必ず見抜かれる。そして、勉強していれば味方になってくれる。

5.小さな疑問を大切にせよ

今の疑問であれ、過去に抱いた疑問であれ、おかしいなと思うことの裏に新たなプロジェクト、変革のヒントがある。くだらないなと思った仕事ほどヒントになる。普通だと思えばそれで終わる。これは変えた方がいいと思ったときに、プロジェクトを始めるきっかけが生まれる。


6.常識を疑え

役所にしばらくいると、手法や思考の型=「常識」がつく。これはこういうやり方をするもんだ、という類である。これが牛肉のサシのように無意識の中に入り込んで容易にはとれなくなる。何かやろうとする時は、これをあえて壊そうとしてみる。普通の行動と逆のことを考えてみる。逆の行動の素晴らしい点を考えて、滔々と語ってみる。そうすると流れがガラッと変わることが多い。

7.役所内のメカニズムを学べ

役所の予算は意外に自由が効く。組織も意外に簡単に動く。ところが仕組みを知らないと初めからダメだとあきらめる原因になる。庁内の担当課で、誰がどんな仕事を、どのようにしているのか興味をもって見たり、聞いたりする。難しいと思っていた手続きが意外と簡単だとわかることが多い。そうしたメカニズムがわかれば、武器を手に入れたと同じである。

8.他人の思考を推察せよ

何かをしようと思った時に役所の中で抵抗に会うこともある。それが原因で頓挫しそうになることもある。そういう時は抵抗している人の思考を考える。自分自身に置き換えて、なぜこう考えるのだろうと考えてみる。たいていの原因は何かに対する恐れか、不安からの逃避、そして面倒なことを避けようとするサボタージュである。その思考がわかれば、打破する方法が見つかる。

9.困難があってもあきらめるな

プロジェクトや事業を始めようとすると、たいてい困難がある。予算がないとか、制度の壁があるとか、人が動こうとしないとか、困難がないことはほとんどない。しかし、こういうことが難しいとマイナスばかり言っているとそこで終わる。逆に、何とかやることだけを考え続ける。めげすに考え続ける。考え抜いていると、強固な壁でも「蟻の一穴」が見つかる。

10.人の強みを活かして使え

人の力は借りるべきである。自分だけ、役所だけでやろうとする必要はない。その際に大事なことは、相手の強みを考え、生かすこと。人の強みを生かすと、相手のプラス、ハッピーにつながる。それを盛り込むと必ず Win-Winになる。みんながハッピーになる。ここで初めて「連携」が生まれる。

11.役所の強みを利用せよ

例えば、役所の強みは情報発信力と信用力。団体等に声をかけ、動かす力もある。よく批判される人件費の概念のなさも、採算を度外視できることで不採算なサービスに果敢にチャレンジできるという強みである。役所はすごい。これを大いに利用する。

12.大げさに発表せよ

外に知られない事業、取り組みはやっていないのと同じ。地道にやることと、人に知られないこととは別である。どんなことでも必ず発表する。その際に、「これまでやったことがない」とか「全国初」だとか、スペシャルな要素を、ことさらに語れば、注目される。語ろうとすることで、やっている事業の価値がわかる。そして、同じことをやっても価値が10倍になる。

13.昨日の自分にバカと言え

誰でも自分はかわいいから、一つの事業や取り組みを成し遂げると、自分をほめ、成果を守りたくなる。しかし、守ろうとした時、進歩は止まる。次のステージにステップアップするためには、成し遂げた次の瞬間、自分に冷水を浴びせてみる。「バッカじゃないの」と自分に言ってみる。昨日の自分、さっきの自分への批判と反省から次へのヒントとエネルギーが生まれる。

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