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アマビエちゃんはどこ?

私はアマビエちゃん推し。

新型コロナウイルス(COVID-19)によって、私たちの生活はがらりと変わってしまった。外に出るときにはマスクを着け、ショッピングモールに入る時には手に消毒液をすりこませる。我が家では、家から帰ってきたら玄関で服を全て脱いで風呂場に直行、シャワーを浴びることが新たなルールとなった。おかげさまで今のところこの厄介なウイルスにかからずに済んで・・・と書けないのが本当に厄介だ。無症状という可能性が捨てきれない。

この厄介な敵に対して、国や地方自治体はあの手この手で対策を講じている。厚生労働省はCOCOAというアプリを開発し、各地方自治体は濃厚接触者の可能性がある人への通知システムを開発した。茨城県は「いばらきアマビエちゃん」という名前で提供している。

私は、この「いばらきアマビエちゃん」はいいシステムだと思っている。何がいいかというと、シンプルなシステムだからだ。もう少し詳しく書くと・・・。

1. 「メール」という汎用性の高いツールを使っている
他の地方自治体ではLINEを使っているところがある。確かにLINEは便利なコミュニケーションツールではあるのだが、LINEのみの場合利用者の取りこぼしがありうると思っている。息子の同級生の保護者の中でもLINEを使っていない人はいるし、年齢層が高くなればなるほどスマートフォンを持たない世代が出てくる(最近はAndroidガラケーでLINEが使えるけど)。メールはインターネットに触れたことがある人なら一度は使ったことがあるだろうし、どのデバイス(ガラケーでもスマートフォンでも)でも使えるツールだ。アプリだとインストールという作業が必要になるが、そんな作業もいらない。

2. 利用者側の手間がかからない
利用者は、お店が掲げる宣誓書にあるQRコードを読み込んで空メールを送り、システムから自動送信されたメールを受け取る。これだけだ。この手のシステムの場合、アンケートを取ったりいろんなことをやりたくなる。でも「いばらきアマビエちゃん」にはない。利用者側の手間を極力なくしたシンプルさがいい。

茨城県の本気

茨城県は「いばらきアマビエちゃん」の利用を勧めている。システムを作ったのだからある意味当然なのだが、茨城県のアラートを出す基準を見ると、いたるところに「アマビエちゃん未登録施設の利用自粛」「アマビエちゃんの利用を前提」という言葉を目の当たりにする。大井川知事は記者会見のたびに利用を訴えている。

システム運用開始当初にはなかったのだが、最近になって「いばらきアマビエちゃん」の登録施設をインターネットで検索できるようになった。9月1日現在、12,000件を突破している。私もこまめに「つくば市」で検索し、自分がよく使うお店などが登録されたら、ブックマークするようにしている。誤字があったりもするのだが、スピードを重視する姿勢はいいと思っている。いいぞもっとやれ。

そしてついに「いばらきアマビエちゃん」が条例化されることになった。9月の県議会で条例案が可決されれば、そう遠くない未来に一部業種では事業所の登録が義務付けられることになる。

ところで、アマビエちゃんは、どこ?

ところが、である。事業者側、利用者側共にこの「いばらきアマビエちゃん」を積極的に使っているのか、疑問なところがある。

先日、郵便と貯金の所用があったのでとある郵便局に行った。その郵便局はそんなに大きくないため、思わず某知事が「密です」と言い出しそうなほど人が集まっていた。私は事前にこの郵便局が「いばらきアマビエちゃん」の登録事業者であることを知っていたので、QRコードのある宣誓書を探したのだが、一向に見つからない。入口にも、掲示板にも、ない。頭の中が「?」だらけになりつつあったその時、ふと顔を見上げたらカウンターのビニールカーテンにそれはあった。ご存じの通り、郵便局には「郵便」「貯金(+保険)」とカウンターが分かれている。ただ、その郵便局では「貯金」のところに宣誓書が貼られていた。カウンターで接客があったらQRコードを撮影できないし、そもそも郵便で用がある場合は視野に入ることすらないだろう。そして、郵便局員から「アマビエちゃんの登録をお願いします」と促されることは一切なかったし、私以外の人は一切QRコードを撮影していなかった。

他の場所にしても似たようなものだ。私がこれまで茨城県内を巡っている中で、入口を入ってすぐわかりやすいところに貼られているのは、つくば市役所ぐらいのものだ。その他の事業者では、入口にあってもわかりにくいところに貼られていたり、登録事業者のはずなのにどこに掲示されているかさっぱりわからないところもある。

どうしたら定着するか考えてみた

せっかく作ったシステムも、利用されなければただの宝の持ち腐れになってしまう。あまりにも惜しい。条例で事業者側に義務を課したところで、利用者側へ県産品のプレゼントといった策を講じたところで、果たして効果が上がるのだろうか?先日オンライン動画学習サービスの「Schoo」で「心を動かすUXライティング」という授業を受けたのだが、この授業を思い返すたびに、その思いを強くするのだ。

事業者側への施策として、義務化や経費助成だけではなく、宣誓書の掲示に関する優良事例(ベストプラクティス)の紹介が必要だと考える。すごく簡単に言えば「こう貼ってくれ」「こう貼れば効果がある」というのを知らせるのだ。私自身、営業をしていた時に代理店向けの販促チラシを作っていたのだが、よく質問を受けたのが「これをどう使えばいいの?」だった。チラシの使い方やお客さまへのトーク方法も合わせて紹介することで、ようやく使ってもらえるようになった。ただ単に義務だからという理由で登録するような事業者もいるだろうから、モチベーションは推して知るべしだ。本当は県職員が登録事業者を回って指導すればいいのだろうが、現実的ではない。せめて事業者向けの動画やチラシなどで知らせるだけでも違うと思うのだが。

利用者向けの施策としては、9月県議会で審議が予定されているインセンティブ策だけでなく、他のインセンティブ策は検討できないのだろうか。例えば、茨城県では健康促進を目的とした「元気アっプ!リいばらき」というアプリがある。ウォーキングやサイクリング、健康診断を受ける等、健康に役立つような活動をするとポイントがもらえ、景品応募などに使える。アプリ利用者が「いばらきアマビエちゃん」で登録したらポイントを加算する、といったことはできないだろうか。先述の「シンプルなシステム」という特徴とはちょっと矛盾してしまうのだが、少しでも利用者を増やすという観点で考えてみた。

おまけ

ここまで自分の考えをまとめたところ、茨城県のホームページにアクセスしたら、条例案のパブリックコメントの期間が過ぎてしまっていた。残念。「私の提案」というページがあったので、利用者向けの方を書いて提出した。

https://kouchou.pref.ibaraki.jp/kotyo/hp_iken_announce.php


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