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「自民党と創価学会USA、ワクチン接種で協力」は合成写真【ファクトチェック】

「自民党と創価学会USA、ワクチン接種で協力し、ファイザーワクチン4億回分調達で合意」というネット記事が拡散しています。トップ画像では、安倍晋三元首相と「創価学会USA会長・荒川誠氏」とされる人物が握手しています。しかしこれは合成された写真で、創価学会も取材に「写真も内容も全て事実ではない」と否定しています。

検証対象

2022年12月4日、Twitterで「自民党と安倍首相が創価学会USAとワクチン接種で協力 ファイザー製ワクチン4億回分調達で合意」という記事を共有したツイートが拡散した。画像では、安倍元首相と「創価学会USA会長・荒川誠氏」とされる人物が握手している。記事を共有するツイート以外に、この画像のみが拡散している例もある。

この記事が公開されているウェブサイトは「MEEDICAL+NEWS」という名前で、ニュースサイトのように見えるが、公開されているコンテンツ数は少なく、2018年から約2年おきに1本ずつ記事を公開している。

リプライ欄には、合成写真であることを指摘するコメントも多くある。一方で、「本当だったのですね」といったコメントも見られた。この写真について検証する。

検証過程

投稿のトップ画像のスクリーンショットをGoogle画像検索してみたところ、以下のような結果が出た。右に出て来る検索結果の内、赤枠で囲んだ毎日新聞の記事の画像が、2人のネクタイの色や立ち位置が一致しているように見える。

毎日新聞の記事では、この画像は2019年6月28日に大阪で開催されたG20サミットで、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領(当時)と握手した際に撮影されたと紹介されている。

次に検証対象の画像を精査した。安倍氏の向かって左の肩を拡大し、かつ明るさを40%あげたところ、以下のようにマークが浮かび上がり、後からマークを被せたものだと考えられる。

検証対象の画像の「創価学会USA会長・荒川誠氏」とされる人物の顔を拡大すると、耳や髪が不自然になっていることもわかる。

日本ファクトチェックセンター(JFC)の取材に対して、自民党広報本部は「事実確認できません」と答えた。

創価学会本部にも取材をしたところ、創価学会USAの正式名称は「SGI-USA」で理事長はAdin Strauss(アディン・ストラウス)氏であり、「荒川誠氏」については、「当会は存じ上げず、全く無関係です」と回答があった。「自民党と創価学会が協力して、創価学会USAが93%の株式を保有するファイザー社から4億回分のワクチンを調達することに決定した」という記事の内容については、「サイト自体がフェイクと思われ、当会に関する内容もすべて事実ではない。大変に迷惑をしている」とコメントした。

判定

以上のことから、元画像は安倍元首相と文在寅元韓国大統領がG20サミットで握手を交わす写真で、検証記事の画像は合成されたもので事実ではない。

あとがき

合成写真は本物と区別がつかないほど精巧なものもありますが、多くの場合、細部を拡大したり、明るさなどを調整したりしながら精査するとおかしな部分が見つかります。Google画像検索で元画像がないか調べてみるのも手です。

検証:金子祥子
編集:古田大輔、藤森かもめ


JFCのファクトチェック判定基準などの指針はこちらをご参照ください。

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