B009 カードを書く(7)

現代は、情報過多の時代です。スマホで検索すれば、あふれるほどの知識・情報が、しかも無料で得られます。逆な言い方をすれば、それだけ情報の価値が下がってしまった、とも言えますが、その内容を子細に見てみれば、大きな社会変化の結果であることが分かります。それは、ネットが一般化するまでは、「情報の伝達方法」が、新聞とかテレビとかの「マスメディア」が情報を一旦集約して伝達する方法であったため、現在の状態から見れば情報が限られていました。功罪はさておき、それが当然という前提で社会が成り立っていたわけです。もちろんそれらのメディアは今でも存在するのですが、ネットの進化により、現在では個人が簡単かつ安価に情報発信し、直接受信することが出来るようになりました。例えば新聞に1ページの広告を出すことなど、個人ではとても考えられなかったが、今ではそれよりもずっと強力な情報発信を、全く無料で行うことさえ出来ます。そのような時代変化によって、「どのような情報が価値があるか」の評価も、大きく変わらざるを得ません。

そんな時代変化の中、このところまた「システム手帳」が注目され始めています。つまり、徐々に起こっている原点回帰です。私はこれには本源的な理由があると思っています。それは、先にも書いたように、「社会から個」を見るのではなく、「個から社会」を見たとき、一番重要な情報は、自分の内側から出て来た情報であると。スマホをはじめとするデジタル機器は、外部情報の収集には強力な武器ですが、自分の内側からの情報の表現、記録には、きわめて不自由なメディアでしかありません。そのことが、1980年代にブームとなったシステム手帳の再登場につながり、その次に来るのが、1970年代の(つまりデジタル機器がまったくなかったころの)「カードシステム」ではないでしょうか。

これ、我田引水と思われるでしょうね。でも、現在でも、ネットで話題になった情報はすでにかなり古いのです。本当に感度の高い人はもうその先に進んでおり、意外なことにあまり進んでは情報発信しようとはしません。ただ一つ、はっきり言えることは、「次に来るのは、今出ていないものに違いない」です。それがB-TAOかどうかは、分かりませんがね。


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