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ジュエリー現場で何が変わる?健康保険証を身分確認に使うときの注意点(告知要求制限)

podcast『ジュエリー法務のインクルージョン』でもおしゃべりしていますので、よければ一緒にお聴きください。


来月(2020年10月1日)から、健康保険証を本人確認に使うときは運用が変わるのを知っていましたか??

私も先日リユース業の方から聞いてはじめて知りました(情報提供ありがとうございます!)。

今回は何がどうかわって、それで現場はどうしたらいいか、について調べたこと、考えたことをシェアします。

1 ジュエリー(時計宝飾産業)の現場で身分証が必要な場合とは?

時計宝飾業お客様に身分証明書の呈示を求める場合の多くは、この2つでしょう。

① 古物営業にあたる行為(買取、下取)・・・古物営業法

② 200万円(※)をこえる売買(買取・小売)を中心とした取引・・・犯罪収益移転防止法

※ 200万円をこえない場合も、マネーロンダリングの疑いがある取引や、ハイリスク取引にあたるときは必要なときがありますが、今回は細かな部分は割愛します(拙著「宝飾店法務マニュアル」P61~参照)

健康保険証は顔写真がないため単体では身分証明書としての機能として十分ではありませんが、

それでも運転免許証もマイナンバーカードも持っていないという方(高齢者等)にとってはまだまだ身分証としての機能をはたしている面も否定できません。

2 何が変わるの?

ことの発端は、医療保険の被保険者等記号・番号が個人単位化されるという改正健康保険法の施行が10月にスタートするためです。

それに対応するため、厚労省などから、「2020年10月からは、健康保険証を身分証として使うときは、記号番号は個人情報だから取得しないでね」という通達がでたのです。

令和2年7月8日付「医療保険の被保険者等記号・番号等の告知要求制限について

個人情報保護の観点から、健康保険事業又はこれに関連する事務の遂行等の目的以外で告知を求めることを禁止する「告知要求制限」の規定が設けられました。
告知要求制限の規定は令和2年 10 月1日から施行され、同日以降、原則として、本人確認等を目的として被保険者等記号・番号等の告知を求めることが禁止されます。

簡単にいえば、被保険者記号・番号等は健康保険事業のために必要なもので、身分確認のためには必要のないものなので、不必要な情報は取得してはいけませんよ~ということですね。

3 それで、現場ではどうしたらいいの??

これについても上の通達は、ある程度の指針を示してくれています。

・ 被保険者証の提示を受ける場合には、当該被保険者証の被保険者等記号・番号等を書き写すことのないようにすること。また、当該被保険者証の写しをとる際には、当該写しの被保険者等記号・番号等を復元できない程度にマスキングを施すこと。
・ 被保険者証の写しの送付を受けることにより本人確認等を行う場合には、あらかじめ申請者や顧客等に対し被保険者等記号・番号等にマスキングを施すよう求め、マスキングを施された写しの送付を受けること。また、被保険者等記号・番号等にマスキングが施されていない写しを受けた場合には、当該写しの提供を受けた者においてマスキングを施すこと。
・ 被保険者等記号・番号等の告知を求めているかのような説明を行わないこと。例えば、ホームページ等において、「被保険者証の記号・番号が記載された面の写しを送付してください」といった記載を行わないよう留意すること。

簡単にまとめると、次のような感じですね。

<対面で呈示を受ける場合>

・記載事項を書き写すときは、希望番号は書き写さない

・コピーを取らせてもらうときは、マスキングする

<郵送で写しの送付を受ける場合>

・「記号番号はマスキングしてから送ってください」と依頼する

・それでもマスキングされずに送られてきたら、こちらでマスキングしてから保管する

これまで保険証+アルファをお借りしてコピーを取らせてもらって終わり、という簡単な対応をしていた場合は、一手間かかってしまいますが、自社ではこうする、という対応を統一、周知しておきましょう。

たとえば、

A コピーとったあとでペンで表裏から見えないように塗る

B コピーする前に細長い黒いふせん紙のようなものをかぶせてコピーする

などが考えられるでしょうか。Aだと後からやることになるので本当に消えているのか、など疑念が生じないようにお客様の目の前で消して「見えませんね」と確認してもらうとかだと安心ですが、ちょっと手間がかかりますね。できるならBの方法でコピーして、その「記号番号が写ってないコピー」を「こちらで保管させていただきますね」とお見せするなどが一番スムーズかなと思っています。

まずは、スタッフごとにバラバラ、が一番まずいですね。

法改正がされていることを知らないあいだに「個人情報の漏洩だ」といわれないよう、きっちり対応しましょう。

個人情報や社内体制づくりのご相談は、お問い合わせフォームからお願いします。

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