10万円

先月の下旬に大阪市から10万円の権利が届き、昨日ようやくポストに投函した。届いた日に即日申請しようと息巻いていたのだが、近所のコンビニは一斉に権利を得た近所の人間が身分証明の写しを取ろうとコピー機に列を成していて七面倒くさくなり諦め、会社のゼロックスを借りるか、と出社しては忙しさにかまけ、帰りがけにポストを見かけて忘れてた!と健忘の反復を繰り返しながらようやく成し遂げた。しかも返信用封筒を紛失していた。家にたまたまあった茶封筒のおかげで1ヶ月のブランクで済んだもののそれもなければ億劫で10万円を蹴っぽっていたかもしれないのだ。こんな奴が外面だけは保ちつつ会社勤めできているのが気味が悪い。

果たして10万円をどう消費するか、或いは貯蓄するのかまだはっきりと決まっていない。キャッチャー用具一式を揃えようとすると、ZETTの硬式用がAmazon価格で3万5千円。狩猟用の鷹を買おうとすれば、猛禽類専門のオンラインペットショップ「猛禽屋」で最も安いハリスホークのヒナが28万円。帯に短し襷に長しで、10万円ちょうど使ってウケそうなものが見つからず、ちょっと待ってくれ、せっかくの10万円をウケに費やしたところで見返りってなんだろうか、管理部門所属のサラリーマンなんだから本当に欲しいものを買えばいいじゃないか。と我に帰る。

カメラに興味があったな、と思い出して調べてミラーレス一眼ならば10万円強。丁度収まりはいいが、今使っているMacBook Air(マックブック・エアー)という名前のパソコンが同じくらいの値段で、渾身の裏拳をエディオンの店員に食らわせてようやく手に入れた品物であり、若気の至りだった。あの頃の自分を再現できるのだろうかと二の足を踏んでいる。

10万円のカメラを手に入れても、キョロキョロしながらうっかり画角を上げすぎて、太陽にピントを合わせてしまい網膜がタン塩みたいになって終わりかもしれない。何に遣うか決めきれないままにいるのも勿体無いと思いながらただ時が過ぎ去っていく予感がしていて、今年の紅白歌合戦をTwitterで実況するのを楽しみにしつつタオルケットを被っていることにした。

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