フリスビーと私

中学2年のころ、合唱祭の練習と称し、我々のクラスだけが独立して林間学校にて合宿をすることとなった。主に女子が気を張って企画したのだろう。私はこと「歌を歌う」ことに関しては嫌いではなかったし、女子と喋れる機会があるかもしれないからこの合宿については乗り気だったことを憶えている。

その合宿では都度都度施設のピアノを借りて合唱練習が設けられたが、そのほかにもレクリェーションとしていくつか遊びがあり、その中にフリスビーを使うゴルフ「ディスクゴルフ」というものがあった。

少し靄がかかったグリーンで、私はフリスビーを手に取り25メートルぐらい先のバスケット型のゴールを目掛けて思い切りフリスビーを投げた。すると見事に一投でゴールを決めることができた。しかし周囲を見渡しても誰も見ていなくて、人生で無駄に奇跡を一回消費した記憶として残っている。ちなみにこの林間合宿ではキャンプもあったのだが、火の番を任された私は集中するがあまり火炎の前で鼻血を流すなどほかにいい思い出がない。

そして、まじめに練習に取り組んだはいいものの、肝心の合唱祭本番ではなんの賞にも引っかかることがなく終わった。私は発表の瞬間思わず大笑いしてしまい、周囲の冷ややかな視線を浴びた。「自分たちだけ合宿までしてなんの成果も上げられなかった」ことがツボに入ってしまい、今では悪いことをしたと思っているが反射的に反応してしまいしょうがない部分もあると思っている。 



高校1年の文化祭で出し物をすることになり、我々のクラスは「モグラ叩き」や「絵合せ」といったゲームセンターを開くことになった。その中で「フリスビーストラックアウト」というものがあって、いわば野球ボールでやるストラックアウトのフリスビーバージョンである。備品でフリスビーを購入し、体育館で遊んでみたのだが、なぜかこの時「フリスビーってなんでこんなに楽しいのだろう」と錯覚するほどうまくフリスビーが投げられるようになった。

バックハンド・フォアハンドどちらも相手まで綺麗な軌道を描いて飛んでいく。なぜこの時私がフリスビーに覚醒したかはわからないし、今フリスビーを投げてもこれほどうまく投げられるとは思えない。この文化祭では、モグラ叩きのアトラクションで点数のお面をかぶりクロスで隠した机の下にもぐってモグラ役をしたのであるが、机の下から同級生女子の足が丸見えになり、若干いい思いをした。私のフリスビーにまつわる思い出はちょうど1,000字ぐらいで終わりです。

サポートしていただけますと、ありがたいですし、嬉しいです。