映画【ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー】感想

私はスーパーファミコン発売と同年度である1990年生まれで、物心ついたころにはすでに『スーパーマリオワールド』『スーパードンキーコング』で遊べるようになっていたし、『スーパーマリオコレクション』という過去1〜3、USAまで遊べるおトクなソフトまであったので、マリオの歴史とは足並みが揃っているほうだろう。その後64、ゲームキューブ、wii、遅れてSwitchと進んだが、コンシューマ機でのナンバリング作品は『ギャラクシー』で止まっている。

たぶん平均的な人よりかは若干ゲームをやっている寄りの人間だろうと思うので、随所の小ネタ(ルイージのスマホ着信音がGCの起動音、マリオが部屋で遊んでいるソフトがパルテナの鏡、パンチアウトのキャラの写真、バルーンファイトの看板)などには気づけたがそれ以上にマニアックな仕込みは随分隠れているんだろう。

それはさておき、映画としてはもう超王道のストーリーで、映画館のきちんとした映像音響環境で観るのもいいけれど、できれば同年代の友人の家で「マリオの親御さん、こんな顔してるんだ」「クッパとカメックの連弾おもろ」などと野次やガヤを飛ばしながら観るのが最適な視聴環境であると思う。「おい!DKラップ流れた!チャンキーコングもいる!」とか「ブルックリンの街並み、これってスーパーマリオRPGのCMのあたりじゃないの?」とか誰かに絡みながら観たかったがそんなことをしてしまえば一発退場なので我慢せざるを得なかった。

個人的なハイライトは、終盤でたぬきマリオに変身した時のBGMが「マリオ3」のアスレチック面のアレンジで、きちんと押さえるところを押さえてくれていて嬉しかった。気になったのはクッパ城の吊り牢獄でやたらと希死念慮を煽るようなネガティブ発言をするチコで、チコの中にそんなキャラいたっけ?とノイズだった(ギャラクシー2以降を遊んでいないのでもしかしたら元ネタがあったのかもしれない)。

と、このように「あそこってあれじゃない?」と盛り上がるのが最適の楽しみ方であって、まじめに映画的・物語的文脈から批評しようとするのとは切り分けてしまったほうが良いのではないだろうか。ツッコミどころなんかいくらでもあるけれど、「マリオ、喋ってるじゃん。しかもマリオって落ち込んだり傷ついたりもするんだ」と心の中で茶々を入れながら「映画館で見られる娯楽」としてものすごく出来が良かった。


ここですよね?

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