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2022/10/8 里吉うたの 3倍お話会/サイン会

ハロー!プロジェクトのアイドルユニット「BEYOOOOONDS」が2ndアルバム『BEYOOOOO2NDS』をリリースした記念イベントが、大阪では南港ATCホールで開催されるというので、私は権利を入手し南港へ向かった。関西在住の方は場所・距離感にイメージがつきやすいかと思うが、南港は物理的にも心理的にも遠い(関東在住者は幕張あたりを想像してもらえばいいだろうか)。大阪メトロ中央線から「ニュートラム」に乗り換え、「トレードセンター駅前」で下車する。アイドルに興味がなければ、基本的には合同説明会ぐらいでしか用事のない場所だ。

このような、パフォーマンスを披露しない「しゃべるだけ」「交流するだけ」の催しに参加するのは私は初めてで、本来は歌を聴きたいしダンスを観たいのだが、先般、元Juice=Juice金澤朋子氏が芸能活動完全引退を発表して、自分の応援している人物には、会えるタイミングで会っておかなければ損だなと考えを修正し、権利を得るに至ったわけだ。

会場に辿り着くと、もうすでに前のめりになっているおじいさんや女性らが集まっていた。オタク仲間と連れ立って訪れている集団も多かった。当日はつばきファクトリーがNHK大阪ホールでライブをしていたし、宮本佳林が神戸ハーバーランドでリリースイベントをしていたから、関西エリアに前のめりになっているおじさんが幅広く出没していただろうから申し訳ない気持ちでいっぱいである。

午前は「3倍お話会」だった。なにが3倍か。「話せる時間」である。もちろん何分も話せるわけでなく、ざっくり30秒程度である。手短に済ませなければならない会社役員への報告でも5分は時間を割いてもらえるから、よほど的確に要点を得て喋る必要がある。

私は「ツアー見に行きます。がんばってください」程度の無難な話をすればそれでいいだろうと思案していたのだが、多少は色のついた内容を訊かないとせっかくなに勿体無いのではないかと、そういえば最近仕事が忙しく、別にメンタル不調でもないのだが、まあ、そんな時ってどうしてますか?と尋ねてみようと決めた。

H2,100mm程度のパーティションで区切られたブースに里吉うたのは居た。BEYOOOOONDSは12人組だから12ヶ所ブースがあり、里吉うたのはドン突きだった。荷物をテーブルに預け、刃物を持っていないかどうかの身体チェックを受けた。昔、握手会で刃物を持って暴れた大馬鹿者が現れたことによる対策措置だろうが、私が気が狂って暴れ出さないとも限らないから刃物のあるなしの話ではない気がする。

里吉うたのはアクリルパネルを挟んだ向こう側で、薄ピンク色の立体マスクをしていた。

「最近、仕事忙しいんですけど、メンタルやられそうな時とかいつもどうしてます?」
「あー、家の中でもイヤホンして音楽聴いて、情報を遮断してます」
「なるほど、参考になります。ありがとうございました。午後も来ます」

十分不自然でないコミュニケーションが成立できて私は満足し、会場をいったん後にした。こんな瞬発のやり取りを1日中繰り返す必要があるのだから、彼女らの脳内はそれ専用の会話筋のようなものが異様に発達しているのではないか。

サイン会が午後からまた控えていたので、私はスープカレーを食べて時間を潰した。20辛まであって5辛にしたのだが、もう少しいける気がした。この辛(から)の単位が1上がるだけでどれだけの影響を及ぼすのかが、初めて訪れる店舗であるといまいち想像がつきづらいので困る。CoCo壱だと3辛くらいでもけっこう辛いし。

14時になり、会場に再び訪れた。時間を勘違いしていて入場がギリギリになり、最後の1人かと思いきや複数枚の権限を所有しているおじいさんが周回して私の背後についたため、ラスト1名とはならなかった。3倍お話会と同じ要領で列に並び、パーティションの奥に進んだ。

「先週のプリキュアの、焼きそばの話めっちゃ面白かったですよね」
「えー。まだ観てない」
「まじですか。早く観てください」
「プリキュアって、日常回がいちばんときめきますよね」
「ああわかります。素敵ですよね。サインありがとうございました」

私は「ジェットさんへ」と書かれたサイン色紙を受け取った。なぜかアルファベット・記号指定ができずにやむなくカタカナ表記とした。ていうか、俺「ジェット」っていうんだ。

先週福井県に旅行に行った際に朝観ていた「デリシャスパーティ♡プリキュア」が、プリキュアたちが焼きそばで名店と味比べ勝負するというストーリーで、かつ、悪者が「焼きそばの概念そのもの」を人々から消し去り、「焼きそばってなんだったっけ」と焼きそばを忘れ去ってしまって大ピンチに陥る流れであり、何をやっているんだこの人たちはと面白く、里吉うたのがプリキュア好きなのもあり、話題にしていた。まだ当該の回は未視聴だったようだが、「日常回がいちばんいい」は共通認識であるのがわかったのが嬉しく、キャラの掘り下げがされるしストレスなく観られるから安心もできていいのである。

私は、なかなかうまくいったやんけ、と満足しながら、神戸ハーバーランドに宮本佳林を確認しに行っている友人と天王寺で合流し、焼肉を食べ、帰宅した。


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