黒いサンダル

「勤労はもう嫌です」などと喚き、書く仕事用のメールアカウントを取得してnoteとTwitterのbio欄に貼り付けたはいいもののその程度でなんら反応があるわけではない。依頼以外は受け付けないつもりで作ったアドレスだったはずが、zozoタウンのログイン用IDを失念し、その"仕事用アカウント"で新しいIDを間に合わせてしまった。結局、メールボックスにはzozoタウンから「サンダルを発送しました」といった通知が溜まってしまっている。

それでいながら、いざ文章の締め切りが近くなると、頭脳が張り裂けそうなストレスからタカラ焼酎ハイボールドライを飲み、どうでもよくなっちゃって、いったんインターネット麻雀を打ち、酒が入っているから当然ボコボコに負けてふて寝する。翌日起きて勤労に赴き、帰宅後、流石に書かないとまずい。と今度はタリーズコーヒーのボトル缶を飲む。これが自販機で買える中で最も純度の高いカフェインで、寿命の端っこからチリチリと煙が上がる感覚がある。むやみに命を削りながらやっとのことで仕上げ、しかもさほどウケず、南に飛びたくなる。その繰り返しである。たかだか数ヶ月に一本書いているだけでこの有様なのに、連載を抱えている職業作家なんか長生きできるはずがない。私は、こち亀というのは、あれは、嘘だと思う。

そしてやることが思うように進まないと、ストレスを捌くために散財してしまう。薄型のプレイステーション2を買い、子どもの頃はあまり興味が湧かなかったRPGを集める。『ポポロクロイス物語』『ポポローグ』『マリーのアトリエ』『マール王国の人形姫』『テイルコンチェルト』『大神』など。ほとんどがプレイステーション1で遊べるソフトなのでそれならプレイステーション1を買えという話だが、薄型のプレイステーション2は普通のに比べて薄くてカッコいいのである。今年の夏は友人を家に招いてピザを頼んでべろべろになってゲームするぞ!と意気込んで、春先にスリッパとスリッパ立てまで購入したが、外は仔牛ぐらいなら蒸発しそうなほど暑い。誰が好き好んで20年前のゲームをやりに男性の暮らすマンションに来るのか。またぞろ計画がご破算になり、ひとりで何をやるべきかといえば細々と文章を書くぐらいしかないので、仕事をください。


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