映画【劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ】感想

※原作未読/アニメ・ドラマ未視聴です。

2023/5/12(金)公開日に視聴。作品タイトルだけ知っていて、キャストも頭に入っていなかったが「アイドルとその猛烈なファン(強火担、と表現するのはジャニーズだけでしたっけ)の話」との薄い情報のみ把握している状態だった。

主人公は岡山県の7人組ローカル地下アイドル「ChamJam」に所属する「市井舞菜(伊礼姫奈)」と、彼女を人生を賭して"推している"「えりぴよ(松村沙友理)」の2人構成になっていた。原作wikipediaによれば「えりぴよがあまりの熱量で舞菜を推しているので、逆に周囲にファンが寄りつかない」との設定だったのだが、劇場版ではそのあたりの描写が省略されていたので「なんでこの娘だけ人気ないのか?ちゃんと可愛いと思いますが……。」と感じてしまい少し気の毒に映った。自己紹介ソングのコールもちょっと短かったのも気になった。

ChamJamの他のメンバーはやる気に濃淡こそあれ、不仲というわけでもないようで観ていてホッとした。特に、水守ゆめ莉役のSOYOがもの凄くタイプで、これだけでチケット代1,900円を支払って元が取れた。SOYOのほうは@Onefiveというユニットに所属しているらしい。覚えることが多い。

視聴していて最も違和感を抱いたのが、舞菜を除く6名でローカルCMへ抜擢・起用されるシーンだった。舞菜は去る東京での路上ゲリラライブで足首を怪我してしまい収録に参加できない(どうとでも撮りようがあるだろう、と思うのだが)事情があって、6名で撮影されたテレビCMが岡山県内で放送され、反響を得る。そこでChamJamを知るファンは彼女らを6人組と思い込み、1人蚊帳の外の舞菜は疎外感を覚え、もともとの人気の無さも心にじわじわ突き刺さり、グループ脱退の意思をプロデューサーに伝える。するとプロデューサーは「えっ?なんで突然?考え直してくれ」といった態度を取るのだが、いやいや、ついこの間みんなでCMハブってただろ。それそれ!それだって!「運営がクソだから」はアイドルファンほど口にしがちな言葉で、地下アイドル運営は商品=アイドルたちを大切に扱わない、賃金未払いもザラなんて話も現実にあると聞くが、さすがに気分が悪くなるシーンだった。えりぴよらファンの支えもあって立ち直ってくれて良かったが。

えりぴよは終始「プラスエネルギーの塊」として存在していて、舞菜の引力として描かれ続けていた(あくまで劇場版のみ視聴した感想)。私財を推し活動のため売っぱらっていて、常時高校時代の赤ジャージを着用し手ぶらでどこにでも現れるのだが、堂々たる仁王立ちで現れる様は松村沙友理の好演が光っていた。ごくせんのヤンクミを思い出した。

原作が継続中のようなので、ラストは未来に向かって頑張るぞ、との終わり方だったが、楽曲の出来も良かったし、出てくる女の子が可愛かったし、ツッコミどころもあるとはいえ王道のストーリーで観ていてストレスはなかった。序盤に2回ほど「えびめしとは……岡山のローカルグルメである」みたいな用語解説のテロップ演出があったのだが、すぐに出てこなくなったのはなんだったんだろう。

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