お湯とか

そういえば、12月の20日頃にガスが止まった。ガス代の滞納をしていたからだ。最終通告の支払い用紙には1月7日だったかまで取扱可能、と書いてあり、じゃあそれまでは耐えられますやんかと過ごしていたら給湯システムのデジタル表示に「E」と表示された。Error、でしょうか。Earth(大地)ではないでしょうね。と、出勤前、朝シャワーを浴びる寸前でErrorをくらってしまったのだった。よくよく払込用紙を再確認すると、未入金の場合は20日を過ぎますとガスを止めますよ。凍えて死になさい大馬鹿者。と書かれてあった。

勘違いしないでいただきたいが、滞納といっても決して生活に困窮しているわけではなくて、参っちゃうんですけど、遡ること4年、この部屋に引っ越してきた当時にインフラ周りの支払いを口座引き落としにしようと試みたところ、私の口座が今だに新潟の某地方銀行にありまして。で、大阪ガスさんがその地銀ですと登録できません。と申込みを突っぱねやがったんですね。そのまま今日に至るまでガス代だけコンビニ払込をしていたという経緯です。だから、元を正せば私が悪いのではなく、大阪ガスさんが悪い。だって支払いをしたい、ガス使いまくりたい、暖まりたいって思ってるんだから。こっちはさ。

前の晩に面倒で風呂に入らなかったのを後悔しても遅いが、小汚いままで出勤もできない。と、冬の朝の薄闇に包まれたまま立ち尽くした。すると、レンジの上の電気ケトルが目に入った。火が使えないならエレキがあるじゃない。なめんなと電気ケトルに水を充し、台にセットした。ただ最大まで待ってしまうとむろん水は熱湯になってしまう。なにが悲しくて孤独に熱湯コマーシャルを繰り広げなくてはならないのか。と、細心の注意を払い、熱湯にはならないまでもぬるま湯ぐらいの適温に水が温まるタイミングでケトルを離し、指で軽く触れるとあら、いい感じ。そのお湯をボウルに移し、風呂まで持っていった。洗面器はないので、キッチンにあったボウル。洗ってきれいですよ。

ボウルに張ったお湯にボディタオルを浸し、石鹸で泡立て体を洗う。寒くない。お湯だから。ただ、この800ml程度のお湯の量では、体を洗い流すには足りない。体を軽く拭き、再びボウルを抱え、ケトルに水を張った。無論、素っ裸である。強い冬型の気圧配置の朝である。なんでこうまでして行きたくもない会社に行かねば、ならないのか。

風呂場と台所の往復をしばらく繰り返して体を洗えたものの、次は洗髪である。流石にこの往復では効率が悪く、時間も間に合わなくなる。もう腹を括り、おそるおそる冷水を頭皮に浴びせた。叫んだ。頭皮が収縮した。大事な思い出とかをたくさん失っていく気がした。私は誰一人として、自分さえも幸せにできないのではないか。もっと笑っていたかった。年末〜正月ごろの恒例行事で、水垢離や滝行に勤しむ坊さんのニュースがやっているけれど、心の中では泣いてると思いますよ。

青ざめ、震えながら出勤し、昼休憩中にガス代の支払いを終えた。家に帰り、コンロのつまみをひねると無事に炎が上がった。人にはぬくもりが必要。待っている誰かが必要。大切なあなたが必要。良いお年をお迎えください。

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