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漫画で感じた、なんともいえない違和感

推しの漫画と小説を読むのに、LINEマンガというアプリを入れてみた。

漫画と小説はたまにしか見れないので、その間昔懐かしい少女漫画を読んだり、現在テレビで放送されているドラマの原作を読んだりしている。

その中に私が小学生の時に夢中で読んだ少女漫画家さんの一冊が試し読みできた。

懐かしいなぁ!なんて思って読みはじめたら、あれ?こんな感じだったっけ?と妙な違和感を覚えた。

このお話は終始可愛い、男子に免疫のない女の子たちが少しずつ恋愛に目覚めていくという物語。初恋の甘酸っぱい感じに当時はときめいたものだ。

だが冒頭から満員電車の中での痴漢行為で始まるのである。
しかも物語を進めていくと、痴漢に毎日あっており、痴漢を受けている女の子の妹が犯人を捕まえるというシーンなのだ。

待て待て待て。

痴漢は犯罪です。そのおっさんは警察に突き出していい。

毎日痴漢にあっていることを家族(男性不在のご家庭)にいうと、その子の姉がこういうのである。

「いいじゃない?触られているうちが華よ。」

私はここでこの漫画を見るのをやめてしまった。

なんだかがっかりしてしまったのだ。


これは1989年の作品なので、おそらくなんの疑問もなく掲載されていたところを見ると、作者も編集者も「これが普通」だと思っていたのだろうし、一般的にもそれが当たり前の時代だった。今だとちょっと掲載は難しい内容のような気がする。

そんなものを小学生の私が読んでいたのだから、痴漢てそういうもんなんだと思っても不思議ではない。それはとても恐ろしいことだ。

私も痴漢にあったことがある。自分の被害について話したところ、
「だって男ってそういうもんでしょ?女だと認めてもらえて逆によかったじゃん」と女性から言われた。

痴漢などの性犯罪者の治療に携わっている、大森榎本クリニックの斉藤章佳氏の「男が痴漢になる理由」という本は、痴漢という行為が依存症の一つであることをとてもよく理解できる本である。認知の歪みから引き起こす行動。そこには自分勝手な考えから、被害者への傷みを感じる想像力の欠如があるとわかる。


痴漢の被害者は男女問わず存在するが、圧倒的に女性が多い。

現在こういったものが販売されているのをご存知だろうか?

痴漢抑止バッジ。
一個550円。こんなバッジで本当に防げるの?と半信半疑だったが、実際に効果があるらしい。

事実、考案者は初期の手作りカードや痴漢抑止バッジを付けるようになってから、電車内で痴漢被害には1度も遭っていません。
 
また、2016年3月〜12月まで7ヶ月間、浦和黎明高等学校のご協力で、埼京線で通学している女子高校生70名に痴漢抑止バッジを使用してもらいました。その結果94.3%が効果を実感しています。

グラフにある「変化なし」は、「もともと痴漢にあっていない」という回答のカウントです。「効果がないと思う」というのは、バッジをつけていて痴漢にあってしまったわけではなく「友達がそう言っていた」という意見でした。
一般社団法人 痴漢抑止活動センター 「モニターの声」

被害者が購入しなければならないことに違和感を覚えるが、それでも犯罪者の抑止力となる。

スマホなどによる盗撮の被害もあると聞くが、それとは反対にアプリを使って今どこで痴漢が発生しているかを共有できる「痴漢レーダー」なるものもある。
また例年受験時期に痴漢が多発するということもあり、私も一昨年#withyellow運動にひっそり参加した。
黄色のコートを着て電車に乗る。ただそれだけなのだが、加害している人に「あなたのことを誰かが見てるよ」というメッセージにもなるし、助けてほしい人の力になれるかもしれない。

(日本女性が書いた痴漢の本がフランスで出版された時、現地で大きな反響を呼んだ。)


今回小さい頃に読んでいた漫画で改めて感じたこと。
それは日本社会が性犯罪に寛容な社会なのではないかということだ。そして女は黙って男にされることを受け入れるべきという教えが至る所に散りばめられており、私は無意識に漫画からそれを感じていたのである。そしてこの犯罪を誰もが見て見ぬふりをしてきたのも事実だ。

この認識が今少しずつ変わりはじめている。

望まない性的な行為は、性暴力です。

痴漢は犯罪です。

その認識が少しでも広まりますように。

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