赤丸の父
母が亡くなり30年前から1人暮らしていた父がいきなり末期癌患者となった。
ちょうど息子の引越しのため県外に出ていた時 妹から連絡があった 具合が悪くしばらくまともに食事をしていないらしいと
翌日息子と荷物と帰省し すぐに父を連れ近所の医院へ 紹介状が出て後日大きな病院へ 検査の結果 ステージ4の末期癌患者となった 全くもっていきなりである
感情や思考の整理がつかないまま 現実だけが目まぐるしく流れる
現在入院して10日
年齢も年齢だしいつまでも元気なわけがない
というのはわかっていたけれど
いざ現実となると かなり狼狽えてしまうという情けなさ
我が家は妹と私の2人姉妹
こんな時は姉妹というのは何かと心強いかも
お互いさほど離れていないところで暮らしているので
相談しながら動いている
今は療養型の病院への転院に向けて手続き中
色々な条件を鑑みて積極的治療はしないことにした
ただ気がかりなのはその方針に父本人の意思が反映されていないということ
本人には告知していない
今や癌は本人告知が当たり前のご時世だし
自分のことなら全て告知してほしいと思っているのだけれど
手術は不可能 化学療法で戦うことはもはやメリットがない
という医師の見立てもあり
今後は痛みなどの対処療法で 病名は告知せず という結論を出した
のではあるけど・・・
本当にそれで良かったのか・・・・
父と似た気質の妹は
自分だったら絶対言って欲しくない
治る希望があるならともかくもうその見込みがないのなら絶対知りたくない
と力説した
何をどうしても後悔はすると思う
だとしたら言った後悔より言わなかった後悔をしたい
と妹は言った
折悪く 現在コロナの影響で面会は禁止されている
入院して二日目で面会禁止の措置
本人も一番不安な時だろうにそばにいられないというなんとも辛い状態に
私たちにしても大事なことを顔や状態を見て考えることも出来ないうちに
答えを出してしまった・・・
そんな中 担当ナースの計らいで2回ほど短時間だけれど面会できた
痛み止めの影響などもあって傾眠状態 少しせん妄も出ているという
ナースセンターに一番近い病室なのだけれど 窓もなく刺激もないから
そりゃ意識も濁るわよね・・・・
あの状態の父にはもう正確に状況を理解することはできないのかもしれない
でもやっぱり命に関わる決断を本人抜きに決めてしまったという事が
重く心に引っかかっている
どんなに考えても正解と思える答えが出ないのだろうけれど
親が元気なうちに そう言ったことは話し合っておくべきだと痛感した
自分は息子のためにしっかりとした意思表示を残しておこうと思っている
生きているものは必ず迎える死
死を意識して生きる メメントモリの警句が心に刺さる