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読みかけ日記 「それでも私は介護の仕事を続けていく」 六車由実

 六車由実さんの文章にどう出会ったのか、今となってははっきり覚えていません。

 「民俗学」といえば「むかしばなし」の世界、現代の自分たちの生活とはかけ離れた農村の生活などを研究するものだと思っていた私にとって、介護施設でお年寄りの話を聞き書きするという「介護民俗学」という分野があるというのは驚きでもありました。

 特別な世界ではない、自分の親が過ごしてきた日々も対象のなりうるのだと思ったら、自分の生きている今にも繋がっている世界なのだと実感したことを覚えています。

 そんな六車さんの文章に再び出会ったのは、この本の元になった連載の「第13章 たとえできなくなったとしても」をネットの記事で見かけた時でした。

 デイサービスの利用者さんに自分のできることをしてもらって、みんなに喜んでもらうことで、その人の喜びにも繋がっていくということが、「できること」が存在価値であり、「できなくなること」が迷惑をかけること、存在価値がなくなることというふうに過度に本人を追い詰めることになっていないか、できるから価値があるのではなく、その人が生きていること自体を応援するようなあり方ができないかという提起は当時、高齢の母が衰えていく姿を見ていた私に強烈に響きました。

 別の章を読むと、「みんなにとっての居場所であることと誰も排除しないということ」が実際には本当に困難な課題で、何度も葛藤しながらどうしてもこれ以上の受け入れは無理とお伝えしなければならなかった利用者さんがいたことなども率直に書いてくださっています。

 その中で、コロナでできなくなっていた利用者さんへの聞き書きが違った形でまた新しい方向に進んでいくなど、六車さんはこれからも介護の仕事を続けていくと書いています。

 本の帯に「『介護民俗学』のその先へ」とあります。きっと今は介護という中でその人の生きることを応援し、生きていることを喜び合う、その営みの一つとしてその人が生きてきた歴史を丁寧に聞き取るということもあるのだろうと思います。

 一度は通読したけれど、きっとまた読み返すだろうなということで、今回も読みかけ日記です。

※本当は本の表紙の写真を使いたかったのですが、自分で撮った本の写真をSNSにアップするのは著作権侵害に当たる可能性があり、版元ドットコム(ここに登録されている写真なら使っていいらしい)でも使用不可だったので、迷った結果、私にはこの本のテーマに繋がる風景の写真を使いました。

本の紹介はこちらをどうぞ

https://www.kadokawa.co.jp/product/322004000819/

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