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2021/10/05

虚無の日。
授業はあったがどれもオリエンテーションで「こんなことを学んだ!」ということがない。
普段通りの授業でもそれが人に説明できるほど理解できるようになるのは期末試験の前だし、半数くらいはわからないまま単位だけがもらえてしまう。
経済学系の授業は、わかったつもりになっている感じが否めない。
高校までみたいな体系的な参考書、そして何より問題集をガリガリやりながら理解を深めていた時代が懐かしい。

授業を終え、私は英語の宿題に着手した。
"My Summer Vacation" という題で英作文。
スペルや文法はもちろんのこと、細かい条件が付されていて、1つでも抵触すれば0点というシビアな課題。
日記をつけていて本当に良かったと思う。
私は普段写真を撮らないし、思い出も覚えていられる分だけ、思い出せる分だけで十分というスタンスだ。
写真を見なければ正確に思い出せない記憶なんて覚え直しているほど私のメモリは空いていないし、ひとたび思い出の中に帰ると様々な副作用に苦しむことがある。(思い出はあまりにも優しすぎるから。)
メモリアルなイベントよりも、日々なんとなく過ぎていく日常をこそ大事に生きている。
だからこの手の課題はかなり苦手で、日記が無ければ適当なうそをついていただろう。

空の広場を読み間違えた話をする。
「私の夏休みもカラではなかったんです、空の広場がそうでなかったように!」みたいなしょうもないことを言っておけば印象に残るかなという魂胆。
少し冒険をしてみた。
スマホで Grammarly を使って作文した後、手書きの清書をする。
BGMは私が「アルバム」として1番好きな、ぼくのりりっくのぼうよみの Noah's Ark 。
"救い" という仰々しいコンセプトがあるこのアルバムは、1枚に含まれる全ての曲で1つの作品になっている。
1つ1つの楽曲はそこまで主張の強いものではなく、かなり似ているものもあるが、通しで聴いて1枚の作品として組みあがった時の感動たるや。
大学受験の頃に、"For the Babel" という別のアルバムに収録されている曲と合わせてよく聞いていた。
"救い" を "合格" になぞらえて。
"哲学的ゾンビ" を "不合格者" になぞらえて。
"方舟" を "合格後に生まれる新しい自分" になぞらえて。
背中を押すでもなく、自暴自棄になるでもなく、ただ、救われるものと淘汰されるものを冷たく歌い上げるその雰囲気が好きだった。


Summer Vacation という単語から思い出したこの曲
ぼくのりりっくのぼうよみはもう活動していない。 (本人曰く死んだ。私は受験生時代、恐ろしく病んでいたこともあり、彼の世界に傾倒していて、私も高校卒業と同時に今の自分という心、もう少し正確にいうなら今まで生きてきた自分というものを殺して、その肉体を依代とした新しい私としてもう一度生まれようとか考えていた。その時に私の心と一緒に積み上げた思い出を燃やしてしまったので、今は奇跡的に残った部分と、その灰しか私の手元にはない。後の全ては大学に入ってから組成したもの。修復作業をすることもあるが、多分全ては取り戻せない。)
彼の原点とも言える楽曲。
全体的に暗くて重い。
生きることに対する倦怠感をひしひしと感じる。
けれど言葉の1つ1つは深く胸をえぐってきて、今なお余韻が消えない曲。

ぼくらにはbrandも ないよがらんどう
また仲間を 見つけて安堵
心のどこかに抱えた孤独を必死で隠して
「泣いてない」
「一人じゃない」って思いたかった

とか。
ここまでアーティストという他人に心の内を明らかにされたのは初めてだった。

今ここで 歩き出して
世界が優しくなくても

とか。
それでも歩き出せと言われ、私はそうするよりほかどうしようもなかった。
その結果私はずいぶん遠くまで来たような、はたまた数cmしか動いていないような。
なんだか今じゃ全てがどこか懐かしい。
これを聞いていた時期も確実に私なんだけど、私じゃない誰かが代わりに生きていたかのような錯覚すら覚える。
同じようにして生きていくのかな。
表面的な部分をアップデートしつつ、本質的なところも時間をかけてゆっくり変わって。
他の人も大体似たようなものだろうけど、私はそのペースが早く、変節した時の角度が大きい気がする。
なんだかまるでテセウスの船みたいだ。
そうして私は生きていくんだろう。
これまでも、この先も。


全部書き終わって、体裁のチェックをしていると弟が部屋に転がり込んできた。
「からめるが生放送やってる!」
「ほんと!?からめるさんが!?」
「うん、ゲームの方でやってる」
日付などを書くのを後回しにして、スマホを持ってリビングに移動、TVに接続した。
内容はドンキーコング、妹は塾に行っていたため1秒も見られなかった。
よくもまあ夜にあれほどの叫び声をあげられるなあと思う。
住んでいたアパートの隣人が全員引っ越したというエピソードに信憑性しか感じなかった。


明日は1限のみ。
最近ご無沙汰しているFP検定2級と統計学の勉強、それからギターの練習もしたいな。
それと目薬も買いに行かなきゃ。



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