雷都少女「1st Anniversary~2016-2017~」を個人主観で全曲解説してみた

前回はこちら

ようやく書くことができた。
いずれ、と書いてから3ヶ月近く経ってしまったのは、あまりに僕自身の語彙力が少ないことに気づいたことと、専門知識が少なすぎることである。それはそうだ、本職ではないのだから。
しかしこのままでいい。○○系のサウンドで、とかそんな小難しいことは別のライターにさせておけばいい。ただの偏ったいち音楽好きによる主観のレビューでしかない。それが僕のnoteの記事群であり見て感じたことそのまま。

さて話を戻そう。
前回も取り上げた雷都少女、間もなく活動3周年公演が行われるとのことで、まことに喜ばしい。おめでとうございます。

今回取り上げるのは、1周年記念公演の際に満を持して発売された1stフルアルバム「1st Anniversary~2016-2017~」の全曲レビュー。例によって専門知識皆無なので主観でしかない。
改めて何度も聴いているうちに気づいたのだが、周りにあった様々な音楽を好きなものだけ聴いて育ってきた贅沢な時代・90年代の空気に満ち溢れているのに、古臭さを全く感じさせないのが雷都少女の楽曲で、そりゃオッサンはまるわけだわと聴くたびに納得してしまう、ひとりで。


そしてこの頃はいわゆる"第二次バンドブーム"の時代にもかかっている。

BOΦWY、レベッカ、THE BLUE HEARTS、PRINCESS PRINCESSなど列記して行けば確実に年代がばれるこの時代。正確に言えばこの後の90年代後半のJ-POP黄金時代に僕は青春時代を迎えたわけだが、その頃に出会った曲は全て新鮮で、全てが自分の味方のような気がして。
有線が流れていると「好きな曲かかるかな」とわくわくさを隠しきれなかったあの日を思い出すなあと思い耽る、ひとりで。

とまあそんな青春時代にどこかで聴いた楽曲を現代の雰囲気と、紅波・愛花両名のカッコ可愛さでもって再構築したのが雷都少女。その音源に向き合ってみた。

M1 Hands Up!!
1stシングル収録(B面曲)。
軽快なギターストロークから始まる、D#→A#→G#→A#と親しみやすいギターリフなロックナンバーであるが、Aメロのベースラインが1番(ルート)と2番(ランニング)とで違う性質があったり、中盤のインダストリアル(そこまでゴテゴテではなくポップですらある)な展開などシンプルの一言だけにとどまらない曲構成を持つ。
Aメロの畳み掛けるようなボーカルが印象的。

M2 www.
4thシングル収録(B面曲)。
イントロと直後に聞こえるホイッスルだけで、最後までどんな曲なのか容易に想像がついてしまう、16ビートのサンバ調リズムの明るい曲で、いわゆる"タオル曲"である。波打ち際にいるかのような間奏のギターも手伝い、まさに気分は南国(バックにはパンする波音も)。
タイトルはサビの歌詞「What a Wonderful World.(なんと素晴らしい世界)」の略。

M3 My Future
3rdシングル収録(B面曲)。
のっけからのサビ→シンガロングが一体感を生む、キャッチーかつアップテンポなロックナンバー。トライバルな要素も見えるリズムのAメロ、抑えながらもサビへ向けて走るBメロからサビ部分への流れが非常に馴染みやすく、また盛り上がりを誘う。
サビ部分のメンバーの運動量はかなりのもの。

M4 For Your Love
1stシングル表題曲。
現在ではあまり披露されないが、雷都少女結成にあたり初めに用意された重要な曲。Dmを主軸とした耳に残るベースラインを軸とし、緊張感に満ちたままサビで転調して一気に開けるダンサブルなナンバー。

M5 サンタ大捜査線
2ndシングル表題曲。
サンタクロースがやってくることを待ちわびるだけではなく「プレゼント早くよこせ」と恐喝する、いたいけな子供には決して聴かせてはならない禁断のお祭り曲。アルバム中最もハイテンションかつスピード感溢れていることもそれを助長している。
日本人にも馴染みある「サンタが町にやってくる」、「赤鼻のトナカイ」のフレーズを(半ば)強引に曲中に盛り込みながらも違和感なくひとつの曲として成立させた花崎右門氏の手腕にただ驚嘆。

M6 Emergency Code
4thシングル表題曲。
張り詰めたイントロから一気にフルスロットルの展開に雪崩れ込む、本アルバム中最も熱量に満ちた4つ打ち曲で、バックで鳴り響くアラート音がそれを助長しているかのようである。1番が終わってもその勢いは減衰を見せず、特に2番Bメロからはメンバーのボーカルに一気に切れ味が宿り、ファン側も肺活量の限界に挑戦するかのようなコールの応酬を起こす。
空調の効率が悪い場所では地獄と化すことが必至で、2019年の現在でもライブでは必殺曲としてその存在を輝かせている。


M7 星降る夜の物語
3rdシングル表題曲。
それまでテンション高めのまま続いていたアルバムに清涼感ある一服をもたらす、タイトル通りの夜をモチーフとした楽曲。ウィンドチャイムの音から始まりアルバム中唯一の落ち着いたテンポで約5分しっとりと聴かせる。
また雷都少女唯一のシャッフルビート曲(2018年時点で)。

M8 マーメイド
Happy Strike所属ユニットであったT!P(Tochigi Idol Projct)のレパートリーであった楽曲。昭和のアイドル曲然とした非常にキャッチーなイントロのリードとサビ、覚えやすいサビ最後のメンバーのフリなど、全般にわたり親しみやすく、「マーメイド」というタイトルに反し可愛らしさよりもカッコよさが目立つ。

M9 Twilight
「マーメイド」と同じくT!Pのレパートリー。夕立(または雷鳴)のようなドラムから始まり、一度聴いたら忘れないようなフレーズが押し寄せる、性急感と焦燥感が両立する16ビートのエモーショナルな楽曲。速弾きフレーズが炸裂するギターソロの後にはダメ押しのように終盤で転調するなど、曲の盛り上がりの材料としては鉄壁のラインナップとなっておりまた人気もそれに比例してか高い。

M10 誰も知らない唄
2ndシングル収録(B面曲)。
M3同様にサビから始まるロックナンバーであるが、こちらはシンコペーションを多用しており、近いテンポでありながらまた違ったアプローチとなっている。
もちろんキャッチーさも兼ね備えており、90年度のバンドブームの中で生まれたJ-POPを聴いて楽器を始めたキッズの初期衝動の固まりのようなにおいも感じられ、時代が時代なら「バンドやろうぜ」の巻末のスコアに載っていても遜色ないほどかもしれない…とは筆者の主観。

…と、ライブでどうなるかとかは殆ど書かれておらず、まるで客観性のないレビューになってしまったことを少し恥じつつも、そもそも専門誌の紹介ではないし良質の音楽があればそれがディープであろうがライトであろうが「いいよね」と言う気持ちを誰かと共有できればよくね?とただただ思うばかり。言ってしまえば開き直り。
ともあれ、同じように感じてくれた避雷針さんが何人かいればそれでいいし、「雷都少女ってよくツイッターで見るけど楽曲聴いたことないんだよな」という人がいつかどこかでここにたどり着いて「あーそうそう、ここは分かるわ」みたいに部分的にでも感じてくれれば何より。

雷都少女、3周年公演の盛会を願っております。

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