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格闘ゲームと生きるということ - 難病ゲーマーが海外大会に遠征するために必要なことと課題

みなさん、こんにちは。Jeniです。
カプコンカップが始まりましたね。どの選手がスト6のテッペンを取るのかめちゃくちゃ楽しみです。

先日、この夏のEVO挑戦するという旨の記事を公開させていただきました。たくさんの方に応援の言葉を頂きとても嬉しかったです!ありがとうございます。

今回、EVO挑戦に関するさまざまな課題についてを共有しようと思いnoteを書き始めたんですが、その前に、少しだけ最近あった話をさせてください。

一人ではできないこと

先日地元紫波町から依頼を受け、「eスポーツで世界に挑戦!ゲームで広がる可能性」という講演会をしてきました。

会場近くのポスター

地域の回覧板や母校、地元の至る所にポスターを貼っていただいてうれし恥ずかしだったんですが、今までの人生でお世話になった方や、現在進行系でお世話になっている方に沢山お会いできて、本当にたくさんの人の愛に支えられて生きていることを改めて感じました。

私が初めて家族以外の手を借りて入浴介助やトイレ介助などを地域のヘルパーさんに支えてもらうようになったのが、中学1年生の頃の事。自分でできないことが増えていく日々で、”できないことを誰かにお願いすること”に物凄く罪悪感を抱いた記憶があります。何かにつけて「どうせ無理」だとそんなことばかり言っていた私に、孫と歳の変わらないヘルパーさん達はいつも優しく接してくれていました。

10数年ぶりに講演会の会場でお会いし、あの頃の何もなかった自分を可愛がってくれていたことを思い出しました。いただいた言葉を胸に刻んで頑張ります。


さて、記事のタイトルにもある通り、 今回は難病ゲーマーの私が海外大会に遠征するために必要なことや課題についてnoteにまとめて行きたいと思います。

EVO Japan 2023での経験

昨年の春、人生で初めてオフラインの格闘ゲーム大会「EVO Japan 2023」に参加しました。自分専用のコントローラーを家庭用ゲーム機でも操作ができるように改造し、キャリーバッグにオリジナルのゲーミング車椅子用のアタッチメントを詰め込み、作業療法士のブンドーさんと旅に出ました。

ブンドーさんとわたし

私は車椅子を自分で運転することができないため、重たいキャリーバッグと手のかかる私を岩手県盛岡の新幹線から一人で移動のサポートをして頂きました。東京での起床就寝入浴の介護については東京のヘルパー事業所様に協力して頂き、普段の生活とほぼ変わらないスケジュールで体調をくずすこともありませんでした。

EVOJapanに向けコントローラー作りに取り組み、完成させて向かう日々の中、個人で大会に参加するには金銭的なハードルはかなり大きかったです。コントローラーと専用テーブルで12万円がかかり、自分と支援者分の交通費・宿泊費もとなるとかなりギリギリで、会社が遠征費支援をしてくれなかったらギリギリ行けない可能性もありました。

東京での数日でさえ大掛かりな荷物が必要になることもですが、一番問題に感じたことは支援者への負担の大きさでした。自分よりも頑張って手伝ってくれて毎回疲弊している仲間を見て、一人への負担が大きいことは問題だと思い、以降チームで常に2名付くようにしました。

仮にEVOJapan2024の参加に係る費用を仮に算出すると、食事や地下鉄の料金を乗せなくても15万円くらい移動だけでお金がかかります。

盛岡東京間新幹線往復
2名(障害者割引50,000円)+1名25,000円

東横イン4泊5日
ハートフルルーム バリアフリーの部屋 44,000円
シングルルーム 32,000円

EVOJapanに関しては毎年この日のために貯金してなんとか行けたりするラインではありますが、コントローラーを作り、格闘ゲームをプレイためにも物凄く費用がかかることや、更に大会にまで参加するとなると個人単位の努力で解決できない資金的課題がかなりあるというのが現実問題としてあります。

海外大会に行く場合は?

やっと本題ですが、海外大会に行くための課題は沢山あります。
まずは介護・医療の問題です。

人工呼吸器と介護

人工呼吸器はほぼ24時間使用している私にとって欠かせない物です。酸素を供給しているわけではないですが、無呼吸症候群の人が寝る時に付けるあれを常時付けることで、長時間の会話や呼吸による身体の疲労を抑えています。これらの管理は家族や医療従事者のサポートが必要だったりします。国内遠征で人口呼吸器に不具合があった場合は、メーカーの方に連絡をして全国の近い拠点の方が来ていただけるようになっています。

海外遠征となるとその辺の保証がなく、完全に自己責任になります。今回家族がついてこれない以上、メディカル面のサポートができる看護師が必要になることが分かりました。それ以外にも当たり前ですが、国を越えた先でヘルパーさんが来てもらえるわけでもないので、同行のできる介護師の手も必要です。

自分以外に必要なチームを考えた時、私と理学療法士のブンドーさん以外に介護師と看護師の計4名の構成で行くことが必須ということが分かり、まずはそこからどの位の費用がかかるのか算出していくことにしました。

飛行機の座席の問題

普段自分の体に合った車椅子で生活しているしている私にとって、長時間のフライトに身体が耐えられるのかという問題があります。最後に飛行機に乗ったのは高校の修学旅行。東京から福岡までのフライトでしたが、背骨が側湾で曲がっている私には直角シートで姿勢を維持することは難しく、かなり我慢して乗り越えた記憶があります。比較的タフだったあの頃と比べてと身体的にも相当おじいちゃんな今の私が10時間以上のフライトはSAゲージなしのバーンアウトくらいキツいことがこの次点で分かりました。

事例を探そうと思い、人工呼吸器を付けて海外遠征に行っている人って今までいるのか?とリサーチしていたところ、電動車椅子サッカーの日本代表選手が人工呼吸器を付けて海外遠征したというレポートを見つけ、本人に直接コンタクトを取り色々伺うことができました。エコノミークラスは本当にキツいからビジネスクラス一択と助言をもらいました。電動車椅子サッカーの海外遠征ではメディカルチームが帯同していたり、海外遠征について非常に進んでいることが分かり、eスポーツでの遠征にも共通する部分が多く非常に勉強になりました。
2017 FIPFA World Cup日本代表チーム派遣事業報告書
電動車椅子サッカーの海外遠征における人工呼吸実施選手に対するメディカルサポート

最後のでかいハードル

私は普段一人では出かけることができないため、介助者が必ず1名は必ず近くにいる必要があります。そうなると最低でも私と介助者の1名はビジネスクラスで行くしかないと分かり、とても個人単位でどうにかなる金額ではないことが分かりました。

ビジネスクラスだと一人あたり80万円近くがかかる。エコノミーの場合50万円

これらに4名分の宿泊費や看護師の人件費を調べてすべて計算していくと今の時点で航空券を取る場合には最低でも370万円が掛かることが分かりました。

自分ひとりの稼ぎでは、身体の動くうちに一生叶えることができません。
このまま諦めて往生際でEVO、行きたかったなぁ なんて思いながら死んでいくのが目に見えている以上、やれることは全てやってみようと思い、3月の中頃、EVO参加の渡航費支援を目的としたクラウドファンディングに挑戦することにしました。

引き続き課題は山積みですが、クラファンに向けて今後も発信していくので、応援してくださる方はこの記事の拡散の協力SNSのフォローをどうかよろしくお願いいたします。

それではまた次回!

Jeni / 畠山駿也


いただいたサポートはコントローラーの開発費や、活動費用に充てさせて頂きます。