プシュケの結婚式(12首)
第三滑走路(ネプリ)6号にて掲載した12首連作を公開します。個人的にお気に入りの連作です。
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プシュケの結婚式 丸田洋渡
硝子へと躰を沿わせ睡りつく似たものは似た罪に惹かれる
嘴が夜をほどいてゆく 鳥は想像力の分だけ重い
人が胸を指すようにこの青空は心を広いところへ隠す
縁 とてつもなく大きく傾いて慣れてしまっている白い 縁
一行はひらひら泳ぐようにして先読みの向こうに開く花
ether 蝶はいつから蝶として花侵すのを覚えるだろう
そのたびに蝶は微かに震えつつ交接に似た長い吸蜜
世界は一つとは限らない木洩れ日が総量として葉を上回る
天使、と言えば呼ばれたと思った子どもは水の裏に隠れた
言葉には欠陥がありそれを詩と呼んでいた日もありました。
ここを離れるために費やす言葉が逆向きに動こうとしている
白昼の蝶かつてない高さへとプシュケの結婚式は長引く
*紙面では「ether」に''エーテル''のルビを振っています。
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*6号(2019年5月1日発行)
色々活動やっています。
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