毒マロを送られたので開示請求した話

※この話は2021年8月~11月にかけて起きた出来事です。記載の法律等は当時のものとなります。
※内容の性質上、本文の無断転載・内容の流布を禁じます。

(追記:この話の続きにあたる記事を書きました。ご興味ありましたらこちらもよろしくお願いします!↓)


8月上旬:毒マロが送られ、Twitterの鍵垢による粘着が始まる

その日は私の結婚記念日でした。
目下緊急事態宣言中で外食する訳にもいかず、ささやかながらシャンパンで乾杯、好きな料理やお酒を用意し家で過ごすことにしました。
お酒に強くない夫は程よく酔っ払い、その頃飼い始めたばかりの猫に珍しくちょっかいをかけ、私はその様子を写真に納めるなどしました。そしてひとしきり楽しんだ後、自分のTwitterアカウントに「結婚記念日でした」と食事やケーキの写真を添えつぶやき、穏やかな幸せの余韻に浸りながらその夜は眠りに就きました。
次の日の朝、目を覚ました私はルーティーンのようにTwitterをチェック。ついでに設置していたマシュマロも見に行くと受信箱に一通のマロが。

「くらげさんって勝手に若いかと思ってましたがばばあでしたかwww猫ちゃん多いけど子供はいるんですか?ちゃんと母親になってくださいね(泣き絵文字)」

原文ママ

もう、いきなり昨夜の余韻がぶっ飛ぶ内容でした。
なんだこれは、余計なお世話すぎる。シンプルに気持ち悪い。「猫ちゃん多いけど」ってTwitterに上げてる写真が猫ばっかりってことか。ちゃんとした日本語書けよ。というか私を若いと思い込むのも本当に勝手だし、既婚者=全員ばばあなのか。そして私がばばあなことが何かマロ主に影響あるのか。ちゃんと母親にってお前は誰かの母親なのか? 等々、短いフレーズながら悶々とさせるに余りあるマロでした。
ここで本来ならばスルーするのがスマートな大人だったのかもしれません。ですがこのようなマロを送られるのは初めてのことだった(※Twitterアカウントでは主に二次創作活動を行っており、マシュマロを設置したのは書いた小説の感想をもらうためでした)ので、一人で抱え込むには少々キャパシティを超えていました。
そこで、「初めて毒マロよこされたんだがw余計なお世話です」といった軽いタッチでマロの内容を返信ツイートしました。
フォロワーさんたちは「何これ失礼すぎる」とか「こんなのごみ箱行きでいいんですよ!」とか共に怒ってくださり、にわかに安堵しました。
しかし問題はここからでした。
そのマロ返ツイート以降、私のツイートや私宛のリプライツイートすべてに、鍵アカウント(以下、鍵垢)からのRT、引用RT、リプライがずらずらとつき始めたのです。平均すると一つのツイにつき十数件でした。
これは明らかに毒マロ主からの嫌がらせ行為だと直感で感じました。しかも私にだけではなく、私宛に反応をくれた方にも同じことをしていて悪質すぎる。最初は無視を決め込もうかと思いましたが、おびただしい件数のRT、引用RT、リプライにいよいよ動悸が止まらなくなりました。
その日の午後、フォロワーさんとリプのやり取りをしながら(やっぱり鍵リプついてるな……と思いながら)、私は毒マロの画像とURLを載せたファイルをプリントアウトしていました。「ネットでの誹謗中傷には確か開示請求っていう制度があるな」と思い始めたためです。
マシュマロの運営サイトを参照すると、警察に被害届を出すか、弁護士相談することで発信者情報開示請求を行えると記載がありました。そういった方面に疎い私ですが、なんとなく弁護士=高い相談料がつく、というイメージはあったのでまずは警察に相談することにしました。
Twitterの方は相変わらず何をつぶやいても鍵垢からのRT、引用RT、リプライは続き、リアルタイムで増え続ける件数を共に目視したフォロワーさんからも「何これ怖い」と言われる始末でした。
※Twitterの鍵垢によるリプ・RT・引用RTが嫌がらせになるの? と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、例えば「今起きた」「お昼に〇〇食べた」とつぶやいただけでもそれに対しての「いいね」以外の反応がずらずらついて、かつ誰が行ったか全く見られないというのは故意にやっていることだと思いますし、なんと反応しているのかわからない不気味さがあります。また私も自分がこんな目に遭うまでは知りませんでしたが、一部の間では「Twitterで気に入らないアカウントを潰す方法」としてこれらの嫌がらせ行為が挙げられていたようです。実際にやられてみるとまったくいい気持ちはしませんよ。

翌日:警察に相談する

毒マロを受けた次の日。
事前に電話予約をしたうえで、嫌がらせの物的証拠である毒マロを印刷したものを手に最寄りの警察署を訪れました。
対応してくださったのは生活安全課の巡査部長なる優しそうな女性の方でした(余談ですが、警察の方はお話をする前に本当に警察手帳を提示するようです。ドラマみたい……とちょっと感動しました)。
うすうす予感はしていましたが、ネット関連の事件はそもそも普段取り扱う機会がないのか、マシュマロの存在はおろか、Twitterに関しても鍵リプとは……? という反応でした。そりゃそうだろうなと思いつつも一生懸命説明し、印刷物を見せ、嫌がらせを受け続けて私も私の知人も迷惑している、私のTwitterアカウントを非公開にすれば済むかもしれないが趣味で本を出しておりその活動のためには非公開にするわけにはいかない、とにかく気味の悪い粘着をされて困っているとおたく特有の早口で捲し立てました。お相手の方はうんうんと頷きながら相談内容を記録したうえで、話を整理した後、以下の通り回答されました。

  • 相談された内容はいわゆる刑事事件にはあたらないので、被害届の受理は難しい。

  • 同様に、警察からマシュマロ運営宛に捜査関係事項照会(開示請求をするために必要なもの)を送ることもできない。

  • しかしながら、貴方が嫌がらせを受けているという記録はしっかりと残すし、運営会社から警察に照会があった際は相談を受けた旨は伝える。嫌がらせがエスカレートして、「お前を〇す」とか「家を特定した」とかの脅迫めいたメッセージが送られた際は、被害届を出すのに十分値するので遠慮なくまた相談してほしい。

これらは事前に予想していた通りだったので、それ以上食い下がることはなくお礼を言って帰りました。
少し話は反れますが、嫌がらせを受けているTwitterのアカウント名はどちらですかと尋ねられ、口頭で答えましたが、私のスクリーンネームはふざけたものであるうえにツイート内容は腐女子の妄想全開だったのでものすごく躊躇いました。Twitter関連で警察に相談される際には直近のツイートやユーザー名の見直しをお勧めします……。
そしてその帰り道、警察に相談したよ~という匂わせ程度のツイートを当該アカウントで行いました。すると一時的に鍵垢からの嫌がらせは止まりましたが、半日も経たないうちにRT、引用RT、リプライの数は再びつき始めました。

数日後:弁護士相談をする

警察からの開示請求は難しいということで、今度は弁護士からいわゆる弁護士会照会(弁護士法第23条の2に基づく照会制度)をしてもらうことを本格的に検討し始めました。

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