V6のAirが最高すぎるという話


love has never gone, baby.

    こんなおしゃれなフレーズから始まるV6の楽曲がある。
 いや、こんなに甘くて軽やかで、でも熱のこもった愛の台詞があるかよ、と頭を抱えたくなるくらい気に入ってます。
 何年経ってもどこまでいっても好きなので、一度思う存分語ってみることにしました。ふわっと軽やか、でも疲れた身体を丸ごと救ってくれるような、優しい糖度のラブソング。ぜひいろんな人に届いてほしい、宝物のような一曲。そんな最強推しソングの魅力を語ります。


V6「Air」


1.はじめに

 その一曲こそ、勤続25年のジャニーズアイドル・V6が贈る「Air」という曲なのです。 


 発表は2010年、11枚目のアルバム「READY?」の8曲目に収録された、アルバムオリジナル曲。V6がデビューして15年という節目の年でもあったため、このアルバムをひっさげる形で、前年から引き続くアジアツアー(通称:レディコン)を締め括りました。満を持してこのツアーにてお披露目となった「Air」の破壊力たるや。その後も様々なライブでこの曲は披露されますが、私は結局このレディコンのAirが一番好きかもしれない。

 そんな私も含め、この曲の虜になってしまったファンは数知れず。2015年、V6デビュー20周年を踏まえて開催された「V6楽曲大賞」にて、Airはファン投票第2位を獲得。ちなみに第一位はover。シングル曲でない、楽曲大賞当時5年前の一アルバム曲にも関わらず、ひたすらにファン人気が高い。V6もそれを自覚しており、先述したレディコン以後、様々な場面でAirをパフォーマンスし続けてくれています。何度披露されてもどのような演出であっても、そのたびに“““好き”””と頭を抱えたくなる。こんな楽曲をデビュー15年目でさらっと打ち出してきたV6、その余裕ある感じと潜在的ポテンシャルの高さ、まだまだ秘密兵器を隠し持っていやがると思い知らされる感じ、罪深いでしょう本当に。

 前置きはこれくらいにして、お時間のある方は、まずは一度ご賞味あれ!!映像はavex公式が期間限定公開している2011年のコンサート「Sexy.Honey.Bunny!」(通称:セクバニコン)より。(Airは1:23:00辺りまで)


2.深いところまで

 ※以下、歌詞の引用があります。

①導入

 love has never gone baby いつの日も oh yeah
 so we belong together  これからも
 ちょっとのすれ違い そんなときにでも
 きっと分かり合える ふたりなら

 この曲、まず始まりからとんでもなく良い。イントロも何もない、1拍分の静寂のあと、イノッチが歌い出しの「Love has never gone,baby」を担う。どこかで深く触れたいところですが、彼はV6の中でも本当に表現力が高い。歌唱力が高いのはもちろん、持ち前のお芝居のセンスもあってか、歌詞に感情表現や温度をたっぷり乗せてくるから、イノッチが歌うと一気に曲の表情が豊かになるように思う。Airの場合はイントロがないので、歌い出しの声によって曲全体の印象や雰囲気が決まってくるという部分がどうしてもある。その構成をうまく読み取り、イノッチをこの曲の歌い出しに据えたのが素晴らしい。柔らかく温かい声の中に、どこか切なさが見え隠れする、その振り幅が心を優しく揺り動かして、聴く側は一瞬で心をつかまれてしまう。

 何度でも言いますが、「love has never gone,baby」って歌詞も最高じゃないですか。主語は「I」でも「You」でもない、もっと大きな「Love」。そして「never」を用いることで生まれるニュアンス・・・!絶対にどこにも、といった強い否定と、もう二度と、という決意的意味合い。愛は「もう」「どこにも」いかない。初めて聴いたときには唯一無二の表現に驚いた。V6にあえて「I Love you」って歌わせないセンスが・・・・・・(語彙)(とはいえサビではたくさんI love youと歌ってくれます)。

②Aメロ

「聞いてるの?」って言う 君の唇と
「仕事中」って言う 僕の唇は
言いたい気持ちはわかってるのに
なんだかうまくいかないよね

 イノッチパートのあと、すぐに始まるAメロ。そこで登場するのがエースの森田!!我らが剛くん!!そうなんです、森田剛はV6の永遠のセンターでエースなんです。そのダンススキルは当時数多のジュニアを虜にし、振付師にも一目置かれたりなどもはや伝説級の彼ですが、森田剛は歌唱力もとんでもないぞ。剛くんの歌の魅力はリズム感と、あとイノッチとはまた別ベクトルの表現力。詳しくはきっと別の記事で紹介します。

 そして森田剛の歌声を語るうえで欠かせない、母音のアクセントについて。

「聞いてるの?」って言う(u) 君の唇と(o
「仕事中」って言う(u) 僕の唇は(a
言(i)いたい気持ちはわかってるのに(i
なんだかうまく(u) いかないよね(e

 上記は極端なイメージですが、剛くんが歌うとこんな風に、母音の余韻(謎の韻踏み)が耳に残ります。この彼特有の母音の強弱・アクセントの付け方は、聞こえようによっては「クセのある」歌い方であるため、おそらく聴く側の耳に良くも悪くも引っかかる。しかし同時に、それは曲の印象が一つ強くなる仕掛けであるとも言える。だって4分弱もある楽曲、Aメロで引きつけなきゃどうするんだ、俺らのエースが一肌脱ぐぜっていうV6&制作陣の戦略的意図を感じたり感じなかったり。
 歌い方だけじゃなくて、彼は表現の幅もすごく広い。剛くんがパート内で「くちびる」と2回も歌うだけで、それだけで突如セクシーな印象が浮かび上がってくる。この曲を聴いていて個人的に感じることですが、歌詞に身体表現が効果的に用いられているなと。「言葉」「言う」「話す」「口」「声」ではなくて、あえてここで「唇」という言葉が選ばれている。誰かが会話するその一場面に、「唇」が動くという動作が加わるだけで、視覚的要素が一気に深くなる。日記的世界じゃなく小説的世界に楽曲が在るような感じがする。それを剛くんがウィスパーなキャラメルボイスで、そしてV6随一の表現力を以て歌うんですよ。この部分に関しては、ライブ映像じゃなくて、イヤホンから流れる音源を目を閉じて聞いてほしいとすら思ってしまう。短いパートの中に歌詞のこだわりと森田剛ワールドが詰め込まれていてなんかもうすごい(語彙の喪失)。

③Bメロ

君がそばにいることに慣れてた
空気みたい やっと気づいたんだ
ここに君がいなくなれば僕は 生きられないから

 めくるめく森田ワールド(Aメロ)を抜けると、続くBメロではV6の仕事人・岡田くんが登場します。このBメロは曲の中でも重要なパート。だってBメロの歌詞には「Air」の全てが詰まっている
 正直、「君は空気みたいな存在だよ」と伝えられても、キュンとするどころか、多くは相手への猜疑心しか生まれないだろう。しかし、ここでの空気とはそういった「透明な存在」という意味ではなく、「君がいないと生きられない」という生命線的な意味合いを持っているのだ。愛の重さにたまげる。そして我々は叫ばざるを得ない、「タイトル回収や~~~~!!!」と。この曲の名前は最初からAirでしかありえなかった。

 そんなタイトル回収の大役を任されるBメロを、岡田くんが担当するというのも良い。彼の歌声の特徴は、「王子様みたいな歌声」とも評されるPrinceボイス。ここでいうPrinceボイスとは、ディズニー映画に出てくる王子様の朗々たる歌声とかそういうのを指すのではなく、あくまで日常の中の非日常的存在としてのものだと私は捉えている。泣きたくなるくらいの優しさを携え、全てを許し受け入れてくれるような存在(=”王子様”)、を想起させるような歌声(私調べ)なのだ。
 その秘密は彼の歌声にある素朴な優しさと、全体的な技術の高さにある。前者については彼の本来的なもので、芯のある落ち着いた声質がそのまま歌声にも現れているという感じ。そこに、彼の持つ音感や磨き抜かれた演技力が加わると、化学反応が起こる。ステージの上に立ち、キラキラ輝くあの人が、今この瞬間だけは、私と向き合って全てを受け止めてくれる。特にAirの歌詞がそう感じさせるのかもしれないが、岡田准一の歌声は、”アイドル”の垣根を飛び越え、私達のすぐ近くにまで来て寄り添ってくれるような、そんな不思議な親しみやすさがあるように思う。それは偏に岡田くんの「そう見せる」力が抜群に上手で、錯覚してしまうくらい自然であることの証明に他ならないわけだけども、彼の歌声を聴くと、そんな「近さ」「リアルさ」が顕著に際立つような感覚が生まれるのだ。つまり岡田くんの歌声がPrinceボイスたる所以は、安心、寛容を含んだ「私だけの」王子様像を見せてくれるというところにあると私は解釈している。
 なので、恋人への思いを再確認するBメロパートを岡田くんが歌う、このことの威力がすごいことは言わずもがな。Airを歌う岡田くんの声や表情はひたすらに優しくて、なぜだか泣きたくなってしまう。しかも、ここにあの坂本リーダーが上ハモで参加してくるんだから、サビ前の盛り上がりにはこれ以上ない采配ですね。

④サビ

I say love you  I love you 言葉にして
sorry baby my baby 今すぐにも
you are my love  just my love 伝えなくちゃ
心の想いは見えないから
不安な気持ちは見えないから

 さあさあやってきたぞ、サビ!!V6のユニゾンとそれぞれのソロパートが混在する、耳が楽しいV6パレードが始まります。

 詳細な歌割りはこちら。

I say love you  I love you(全) 言葉にして(井)
sorry baby my baby(全) 今すぐにも(長)
you are my love  just my love(全) 伝えなくちゃ(三)
心の想いは見えないから(井)
不安な気持ちは見えないから(坂)

 ジャニーズソングあるある、サビはユニゾン(全員パート)という傾向を、例にも漏れずV6も持っているわけですが、収録アルバム『Ready?』辺りから風向きがだんだん変わってきた。同アルバム収録曲の「will」や「星が降る夜でも」では、サビのユニゾンをほとんどなくすという大胆な試みを行っている。Airについても、もちろんユニゾンパートは存在しているが、サビの中でも半分以下に抑えられており、一曲全体に占める割合を考えるとかなり少ないという特徴がある。 
 これは別に、ユニゾンが悪いとか決してそういうことではなく。6人全員が歌うことで生まれる唯一無二の「V6ボイス」の魅力は計り知れない。滑らかで厚い、”大人”な歌声を持つトニセンと、刹那的でビビッドで、年齢を重ねてもなお思わせる”少年らしさ”で歌うカミセン。この混ぜるな危険とでも言いたくなるような両極端な歌声が、なぜか不思議とマリアージュする。それがV6ボイスなのだ。明るくて優しくて、随所に遊び心が散りばめられていて、なのにどこか切なくウィットな瞬間がある。「V6だからこそ生まれる」声の良さが絶対的にある。
 だからこそ、V6のユニゾンの力を信じるからこそ、個々の歌声だけで勝負に出るという構成がたまらない。ソロパートとは、一人の歌声に贅沢なくらい集中できる一方で、その間他の5人は沈黙を求められることを意味する。歌割りの公平性や個々の実力も勘案した上で、サビを、一番の盛り上がりを、たった一人の歌唱力と表現力に全て託すということ。そこにはメンバーや制作スタッフさんのV6への無言の信頼が現れているようで、私はそれだけで胸が震えてしまう。誰か共感してほしい。

 サビ部分は、ぜひライブ映像のダンス込みで見てほしい。振りが曲のリズムと合っていて楽しいです。元祖レディコンAirでは、サビから「ラブハズネバゴン」パートにかけてのフォーメーションがとにかく美しくてツボ。
 ここで初登場・長野くんの歌声はとにかく優しい。柔らかい。透明感に加え、何も言わずにどこかに消え入ってしまいそうな揺らぎをどこか感じさせると個人的には思っています。そんな繊細で儚げな歌声とは裏腹に、ダンスはぶれない体幹でばきばきに踊るのでギャップ。長野くんの歌声の持つ「柔」や「憂い」の部分は、V6ボイスの「明るいだけじゃない」魅力をよく演出していると思います。
 そしてサビを締めるのはリーダーである坂本くん。何を隠そう私の推しです。とにかくびっくりするくらい歌がお上手なので、まずは音源を聴いてみてください是非に・・・!彼の歌声の魅力は、なんと言っても鍛え抜かれた圧倒的歌唱力。舞台やミュージカルで鍛え上げた喉で、どんな場面でも段違いの歌唱力を見せつけてくれます。澄んだ真水のような声ともまた違う、年齢を重ね全てを自分の中に落とし込んで、深めて、湧き出るものとしての歌声。人生経験と人柄を思わせずにはいられない、温かく優しく響く歌声。ああ、この人はきっと人生の酸いも甘いも全部知っているんだろうなあと、“世界に対するノスタルジーを知る坂本くん”を、感じずにはいられない。グループの最年長かつリーダー、という背景も働き、どこか全知的な存在感を放つ歌声として、V6の音楽を彩ります。坂本くんが「不安な気持ちは見えないから」と優しく歌うなら、それはもうそうで、それがもう答えなのだと。

 坂本くんがサビを仕上げきって終える。何を付け加えても蛇足になりそうな後続パートを、ここで一手に引き受ける人物がいる。

 love has never gone baby いつの日も oh yeah
 so we belong together  これからも
 ちょっとのすれ違い そんなときにでも
 きっと分かり合える ふたりなら

 そうです、森田剛です。こういう決め所で起用される絶対的なエースがいる、ことの強み。きっと他のメンバーでも務まるお仕事だったかもしれないけど、「ああやっぱりこの人が決めてこそ」と思わせる、そういう圧倒的センター力をひしひしと感じる瞬間って、グループを推す醍醐味の一つだったりすると思う。「いつの日も」の高音でちょっと苦しげに、顔をくしゃっとさせて歌う剛くんがたまらなく好き。
 ちなみにこの「ラブハズネバゴン~二人なら」の部分は、歌詞や歌割りが変わりつつも、楽曲内でリフレイン的に繰り返される。それぞれのメンバーが最適解な歌詞を担当しているのもまた良い。


⑤Cメロ

 愛することは思いやりの続き
 最初の気持ち 忘れないように
 信じることで乗り越えてゆこう きっとできるから

 ライブバージョンでは1番サビの後、すぐCメロに入る。この繋ぎ方がすごく美しくて、というのも、1番サビの締めを担当する剛くん&長野くんのペアが、そのままCメロの歌割りにも入っているため、歌声はもちろんダンスも非常にまとまって見えるんです。剛くんと長野くんがラインの両端に立ち、1番からCメロへとメンバーを介しながら流れるように一つのバトンをつないでいく。楽曲が終盤の表情を見せていることにいつの間にか気づく。
 「愛することは思いやりの続き」という歌詞にも、はっとさせられる。恋の始まりでも終わりでもない、恋の真ん中にいる二人が、互いを尊重しながら歩んでいくことの、当たり前だけど難しい態度。全ては「信じること」から始まり、続いていく。坂本くんがCメロラストを力強く歌い上げると、それが合図となり、それぞれのコンサートならではの仕掛けが現れるというのも見所の一つ。ネタバレになってしまうので多く語れないのがもどかしいですが、「愛なんだ・・・」とため息がこぼれるそんな仕掛けです(とは)。

⑤サビ~ラスト

I say love you I love you(全) 言葉にして(三)
sorry baby my baby(全) 今すぐにも(井)
you are my love  just my love(全) 伝えなくちゃ(長)
心の想いは見えないから(井)
不安な気持ちは見えないから(坂)
I say love you I love you(全) 会いに行くよ(坂)
sorry baby my baby(全) 抱きしめたい(森)
you are my love  just my love(全) 機嫌なおして(岡)
見えない想いを感じたくて(長)
見えない不安を消したいから(坂)

  ラスサビでは一番のサビのあと、二番のサビも連続して披露されます。

 そう言えばここまでまだ触れていなかった、三宅健くんの歌声について。彼の歌声も唯一無二。普段の声とのギャップが少ないと言われている彼ですが、でもやっぱり歌声はまた違った魅力があるよなあと思うのが筆者の意見。あどけなさが残る高めな地声とは裏腹に、健くんは低音ボイスが得意だと思っている。V6における太陽で永遠の少年である健くんから放たれる魅惑的な低音ボイス、の攻撃力。切なさや儚さ、どことなく漂うダークさを表現し、V6ソングにを与えています。

ありのままの君で ずっとそばにいてよ
世界の誰よりも 愛するから
一緒にいるだけで しあわせをくれる
そう君の笑顔にありがとう

 そして楽曲を締めくくるこの箇所は、Airという作品が示す一つの答えとでも言えるべきパート。ユニゾンではなく、岡田くん&イノッチのソロパートのみで構成される。最後の最後でこんなに真っ直ぐわかりやすく愛を歌う、それが大袈裟にならずどこまでも温かい。こんなの絶対好きになるに決まっているし、ずっと大切に聴こうと思ってしまう。V6もその辺の情緒を理解していて、このパートを殊更に想いを込めて届けてくれている気がします。

 最初に聴いたとき、そしてレディコンでのパフォーマンスを見たとき、このソロパートを歌う岡田くんのびっくりするくらい優しい表情を見て、それでよりこの部分が好きになった。それ以来、レディコンだけでなく、他のコンサートでも、この部分を歌う岡田くんの穏やかな表情につい注目してしまう。なんというか、「ファンなら絶対好き」なパートを、アイドル側も理解して、優しく大事に歌ってくれるのって、素敵ですよね。V6とファンの不思議と相互的で、想いが交歓するような関係性が、なんだかここのパフォーマンス一つ取っても現れているようで、(深読み感は否めませんが)とても好きです。

 イノッチの締めもとても素敵です。恋人とか家族とか、そういう日常の登場人物に向けて愛を歌う姿が、彼は何でこんなにも似合うんだろう。思えばこの曲、イントロやアウトロはほとんどなく、そういった意味では至ってシンプル。幕開けと幕引きを彩るイノッチの声の印象は大きく、だからこそこんなに優しい楽曲に仕上がっているのかもしれません。


 2015年のアニバコンでは代名詞的な360度を意識したダンスパフォーマンスとはまた違った見せ方をしたり、同年のチャリティーラジオ番組ミュージックソンのクリスマスライブにてサプライズ披露されたり、2019年のトニセンディナーショーではバックバンドのサウンドと共にJazzyでクラシカルな表情を見せたりと、まだまだ触れたい部分はあるのですが、この辺にしておきます。


3.おわりに

 私は、"特別な普通"を歌うこの曲が好きです。恋が始まったわけでも終わったわけでもなく、きっと二人にとってはなんてことない日常の1ページを切り取っているに過ぎない。でもその何気なさが、どこまでも愛おしくかけがえのないことを私達は知っている。

 そんな大切な時間に寄り添う、大好きなアイドルの歌声を聴くことも。

 今日という日はとても、この上なく寂しいわけですが、手元にはこんなに愛しい宝物のような楽曲が26年分あって、その魅力を言葉にしたくて誰かに伝えたくて仕方ないと思っているから、きっと明日からも生きていけると思う。心は強くなんてなれないけど、どこまでだって深くなれる気がする。

 冷たさも、熱も、柔らかさも重たさも、あの日思ったことも全て纏って、空気のように、心にすっと入り込む音楽。深呼吸するように、大切に過去と今を抱きしめる。








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