ギャンブル依存症の体験談②

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ギャンブル依存症の体験談①はこちらです。

あらすじ

幼少のころからギャンブルに触れていた。
幼少のころに読んだ漫画のパチプロに憧れを抱いた。
パチンコ・スロットが出来る環境になりやってみるとのめり込んだ。
借金をしてまでパチンコ・スロットをやるようになった。
パチンコをやらないといけないという感情になり金を借りられるだけ借りた。
借りられる金がなくなり、クレジットカードで購入したゲーム類を買って売って現金を作るようになった。
パチンコ・スロットから離れられる仕事の時間が安堵となった。
借金総額300万に近づいたときに、ある男に話しかけられた。

ある男の一言

通っていたパチンコ店にいた一人の男が、私に話しかけてきたのです。

男「毎日いるけど、パチンコはやらないの?」

当時、スロットの方が遊技する比率は高いというか、ほぼスロットでした。
大した知識もないのに仕事が休みの時は開店前から並び、何となく良さそうという理由で台を選び遊技していました。その男はスロットにはいなく、パチンコの羽物ばかり遊技していたそうです。

男「パチスロ勝てるって聞いたけど知ってる?」

自分がスロットばかり遊技していたから聞いてきたのか、自分が勝っているように見えたのかはわかりません。ただ、その男が自分に聞いたことは、パチスロで勝てるということでした。

ジキル「知りません」

負けまくっていますし、今の状況から言えば借金だらけです。

男「リプレイハズシで勝てるって聞いたけどパチスロのこと良くわからなくて聞いてみたんだ」

リプレイハズシ??
そんな言葉は知りません。何を言っているんだろうと思いました。そして、その男が指を指した機種は、

クランキーコンドルでした。

男「パチンコでごはん食べているだけど、スロットのこと良く知らなくてさ」

目の前に現れたのはパチプロでした。釘を見て羽物で勝っている人間が目の前に現れたのです。漫画の世界が現実になった瞬間です。ものすごく口調は丁寧でした。自分は、知らないのでわかりませんと答えました。

男「そっか。悪かったね」

そう言って男はパチンコの島に戻りました。自分に脳みそを直撃した言葉、

スロットで勝てる。
リプレイハズシ。

当時は、インターネットが生活に密着している時代ではありません。
パチンコ・スロットの情報を得るには雑誌しかありませんでした。
男の一言を聞いて、脳みそに残った「リプレイハズシ」という言葉を知りたくスロットの攻略誌を買いました。リプレイハズシって何だろう。スロットで勝てるって何だろうって。

運が良かったのか、たまたま買ったスロットの攻略雑誌に書いていました。
リプレイ外しで出玉率が100%を超える。

書いてあることは難しく、言葉の一つひとつを調べながら読む必要がありました。
大して勉強をした人生でもなく、調べものなどしたことがありません。というか、しようと思っても調べられる方法が限られている時代です。図書館に行っても、パチンコ・スロットの情報などある訳はありません。阿呆な自分でもそれくらいは想像つきました。

頼れるのは、市販されているスロット攻略誌しかないのです。

隅から隅まで読みました。教科書を開くなんて授業しかない人間です。何故か知りたくて、何故か理解したくて攻略誌にある文字を全て読みました。

運が良かったのかも知れません。たまたま、その時に買った攻略誌に理解できる内容が書いてありました。それは、

ボーナス中にある所を狙う事によって、JACゲームへの突入を遅らせることでBIGボーナスで得られるコインの枚数が増える。そして、ボーナス以外でもある所を狙う事によって同じ千円で借りられる50枚でも、より多くリールを回すことが出来る。

この2つの理解でした。
ただ、この2つの理解が自分の人生を大きく変える理解の一つだったのです。

その当時、使われている言葉でまとめると

DDT(KKK)打法とリプレイハズシです。

クランキーコンドル

設定1、出玉率105.3%。

スロットを知っている方がこの出玉率を見たら、その凄さはわかるかと思います。
スロットを遊技しない方に簡単に説明します。あくまで簡単に説明すると、出玉率105.3%というのは、スロットに投入したコインに対して戻ってくる割合のことです。

スロットを1時間で700ゲーム回せたとします。
一度の遊技で3枚投入して遊技するので、3枚 × 700G =2100枚コインを投入口に投入することになります。
12時間遊技したとすると2100枚 × 12 となり、25,200枚投入することになります。

25,200枚投入すると、105.3%になりますというのが出玉率です。これを数値化すると、

25,200枚 × 1.053 = 26,535.6枚

このスロットを12時間遊技して25,200枚投入すれば、26,535.6枚になるということです。
その差は、ブラス1,335.6枚です。

クランキーコンドルという機械で
DDT打法(ボーナス以外の時に小役を全て取り切る)
リプレイハズシ(BIGボーナスで多くの枚数を得る)

この2つを実施することで、設定1でも、約1,335枚得られるということです。2つの技術があれば、理論的にコインを増やせる。即ち、理論上勝てるということです。(細かい説明は省略しますが、コンドルに関しては、実質105%を割る程度だったと後に理解しました)

等価交換なら、プラス約2万6000円。これを「期待値」と表現していました。1日12時間2つの技術を駆使してくランキーコンドルを遊技すれば、プラス2万6000円になる。一か月30日でも約60万円勝てる期待値です。

理論上勝てる。

この言葉は現代でも続いています。機械である以上、確率で支配されているので確率通りに向います。この理論は、反論させません。試行回数をこなせばこなすほど、その確率に近くなります。年間で、毎日開店から閉店まで、クラインキーコンドルを遊技すれば、

720万円(等価交換)プラスになるという事が理論的に成立する世界です。補足すると、スロットには最高6段階の設定があります。設定1が一番出玉率が低くて、設定6が一番出玉率が高いのが一般的です。
設定1、出玉率105.3%というのは、これ以下の設定がないので、最低の条件(店としてはこれいじょう対策しようがない)での期待値なので、仮に、設定2以上に座る機会があれば、その機会が多ければ多いほど、期待値は高くなっていくことになります。あくまで、2つの技術を完璧にこなせることが最低条件です。

目押しと言う名の技術

理解しただけで勝てるという訳ではありません。勝てることはわかった。ただ、その勝てる土俵に立つには、目押しの技術が(狙った場所に、狙った図柄を押せる、スロットの技術力のこと)必要なのです。
クランキーコンドルは、それほど難しくありませんでした。詳細は割愛しますが、必要とされる目押しの技術は低い方です。雑誌に書いていた通りに練習することなく、すぐにできました。

好きなスロット…、いや、この時期には義務としてやらされているスロットで勝てるなら良いと思い、仕事が休みの時は、開店から閉店まで打ち込みました。情報のソースが攻略誌にしかない時代です。勝てると記事に書いてあれば読んだ人は皆むらがります。今では主流となっている入場整理券、抽選券などない時代。どんどんとクランキーコンドル目当てに並ぶ時間が早まっていくのです。

店の開店時間は9時、先頭が並び始めるのが5時。

台の取り合いに負けるわけにはいきません。だって、台に座れれば勝てる理論が成立しています。
ジキルも負けじと並ぶようになります。

目押しはできる。あとは台を取るだけ。

ジキルでも練習しないでできた目押しなんて、他人だって容易にできるのです。並ぶ時間の早さがどんどん早くなります。ここで負ける訳にはいかないのです。

ただ、そこで一番の問題が発生します。

なぜが勝てないのです。

勝てない。クランキーコンドルでは何故か勝てない。目押しは完璧にこなせていました。理由は、今でもわかりません。相性が悪いのかもしれないという感情的な理由と、もしかしたら刺さってた?(当時で言うと裏モノの事です)という物理的な理由。資金がどんどん減っていきます。仕事も行かなくてはならない。20日間働いて、10日間休みと言う仕事です。何故、勝てないのかは今でも答えは出ていません。周りを見ると同じような面々なのですがプラスにはなっているように見えました。
自分の相性が悪かったと思っています。そして、10日間の休みが終わり、20日間続く仕事に戻りました。

運命を変えた機種との出会い

20日間の仕事は完全に拘束されている訳でなく、少し買い物は出来る環境でした。何か有益な情報はないかと、全てのスロット攻略誌を購入して読んでいると、クランキーコンドルを上回る機種が紹介されています。

タコスロ。

先ほど説明したDDT打法とリプレイハズシを駆使すれば、設定1でも105.9%になるというスロットがあると攻略誌に書いてありました。細かい説明は抜きにして、105.9%の機械割は、現行(2023年9月)の機種に当てはめると…、

スマスロ北斗の拳…設定4
マイジャグラーV…設定5(より上)
カバネリ…設定4

と同じくらいです。
大したことないと思った方へ。タコスロは設定1でこの数値を出しています。スロットは設定1が最低の設定です。即ち、この時代って

スマスロ北斗とカバネリの設定4、マイジャグVの設定5が、目の前にあるのです。店を選ぶ、台を選ぶ、行く日を選ぶ、抽選ガチャ次第?ありません。そこにタコスロがあれば、スマスロ北斗の拳の設定4以上が約束されていると思ってください。今では考えにくいでしょ?

ただ、誰でも機械割105.9%を得られるわけではありません。先ほど書いたようにDDT打法とリプレイハズシが必須です。しかも、そのリプレイハズシの難易度は、現行機には見当たらないほど

難しいレベルです。ビタ押し(狙った図柄を狙った場所にピンポイントで押せる技術)ができる目押し力が必要で、そのビタ押しが全ラインで(真ん中のラインだけという訳ではない)出来る必要がありました。(後にラインは固定できる打法が生まれます)

見た事あるよね。この台。でも、誰も座っていない。
自分が通っていたパチンコ店を思い返すと誰も座っていませんでした。

仕事休みになったら最後の頼み綱としてタコスロやってみるか。ただ、種銭は不安だな。そう思いながら、20日間の仕事が終了し、10日間の休みに入ります。

金を貸してくれ

10日間の休みに入り、通っているパチンコ店へ行きました。相変わらずクランキーコンドル争奪戦は続いています。そこにタコスロもありましたが誰も座っていません。そこで思い出します。

この店、クランキーコンドルで勝てると聞いていたのに勝てないよな。

別にパチンコ店は、この店だけではありません。普段、行った事のない店に行ってみてタコスロがあるかを確認しようと思い店を出ました。この判断は、冷静でした。今思えば、よく店を変えたと思います。裏モノなんてどこにでもあった時代です。その店の、その機械が、正規なものであるかは外からはわかりにくいのです。(バレバレもありましたが)。当時、どの店にどの機械があるのかなんてネットでわかる時代ではありません。実際に行ってみるしかなかったのです。

住んでいた地区のパチンコ店をくまなくまわりました。タコスロはどこでも設置しています。台数に関しては5台以下の店もあれば、1列(15台程度)の店もあります。共通点は誰も座っていない。台の取り合いはしたくない。それくらい、開店前から並ぶことは酷なのです。何となく台数が多い店の方が良いなと思い、部屋から少し遠い店に行くことを決めました。ただし、種銭に不安はありました。給料日もまだまだ先。当時に付き合っていた彼女にプライドを捨てて頼みました。

金を貸してほしい。

(つづく)

最後に

 この記事を読んで頂きありがとうございます。
 読んで頂いた感想を頂きたいのですが、私から伝えたいことがあります。

①金を借りてギャンブルをすることが当たり前で、かつ、
②毎日ギャンブルをすることが当たり前。

 この時点で、依存症の可能性がある症状と思ってほしいです。
 ①と②の共通点は習慣です。金を借りる習慣、金を借りてギャンブルをする習慣です。金を借りないでギャンブルをする内は「ギャンブルができない」という状況が訪れるので、毎日ギャンブルをする習慣は途切れます。習慣になり切らないのです。しかしながら、金を借りてまでギャンブルをするのであれば、ギャンブルをすることが習慣になります。

これが、危険な状況だと体験談から思います。

 もし、借金をしてギャンブルをして、その借金も返せていないのなら、勇気を持って、医師に相談したり、債務整理を考えて下さい。私の時は、自己破産しか知りませんでした。今は、色々な制度があるので、相談することで道が開けることも多いかと思います。

 一人で悩まずに誰かに相談してください。誰でも良いです。私のようになる前に、解決に向かう第一歩を勇気をもって踏んで下さい。

 金を借りる事、借りた金を返し続けること、利息を払い続けること、その原因がギャンブルであること。習慣、即ち、無意識の中の当たり前になる人生になる前に一度止まって考えてみてください。

 怖いのは、ギャンブルが習慣になることよりも、金を借り続けて、利息を払い続ける習慣なのです。

 この体験談は続きます。面白いエピソードがたくさんありますが、本筋が逸れるので全て削ぎ取りました。またの機会に、お話できればと思います。

サポートしてもらえれば励みになります。宜しくお願いします。