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RSR 2024 in EZO 感想編(5) YONA YONA WEEKENDERS / WEEKEND LOVERS / クリープハイプ (8/17③)

北海道の石狩市・小樽市にて8月16日(金)から8月18日(日)早朝にかけて開催されたRISING SUN ROCK FESTIVAL 2024 in EZOに今年も参加してきました。時系列でライブの感想を書いていきます。感想編(5)は2日目の深夜から日曜の朝までのお話です。

感想編(4)はこちら↓から

8/17 (土) DAY 2

23:50 YONA YONA WEEKENDERS (def garage)

 夜も更けて気温が下がってきました。ここで夜の涼しさを感じるのはコロナ前の2019年以来だと思います。今しかねえ!と思い、前々から食べてみたかった鮭醤油ラーメンをいただきました。

S.S.Y.R.M.T.T.(鮭醤油ラーメンたべた)

 24:00からRED STAR FIELDのWEEKEND LOVERSを見るつもりだったのですが、通りかかったdef garageでちょうどYONA YONA WEEKENDERSのライブが始まってしまい、じゃ、じゃあ一曲だけと立ち止まったのがいけなかったですね。結局最後まで見てしまいRED STARには30分ほど遅刻することになりました。偶然にも一曲目は「R.M.T.T.(ラーメン食べたい)」でした。
 ボーカルの磯野くん(「くん」まで付けるのが正式な名前らしい)はとてもいい声で、大ベテランのような風格を漂わせています。「ツマミになるグッドミュージック」を標榜しているだけあり、アルコールを飲んでフラフラするのにちょうどいい、気持ちの良い曲ばかりです。最初の磯野くんの乾杯で多くのお客さんがビールの入ったカップを掲げていました。
 このフェスティバルを意識したのか、最後の曲は「SUNRISE」でした。
 終わって移動しようと思った矢先、ギターのキイチさんがTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTの「世界の終わり」のイントロを弾いてくれて、ぐっときました。

24:00 WEEKEND LOVERS 2024 "with You" (RED STAR FIELD)

 今年のRSRでこの企画をやったのは圧倒的に正しい。フジとエゾと、あとアラバキもか。チバを偲ぶ時間を設けたこの3つのフェスティバルを私はこの先も信用しようと思います。
 正しいんだけど、チバがもっとずっと長生きして、追悼企画はあと20年後か30年後にやりたかったな。今回のWEEKEND LOVERSは極端に言えばミュージシャン達とファンでチバの不在を確かめるための時間でした。でも一つの区切りとして必要な時間だったと思います。

 WEEKEND LOVERSは元々チバと中村達也が主宰になって2002年にROSSO & LOSALIOS presentsとして始まった企画で、同年のRSRの中でも開催されました。今回はLOSALIOSとThe Birthdayがホストとなってチバの残してきた楽曲を中心にやるということで2時間の枠が取られています。
 中村達也のグダグダした進行に対し色々言いたいことがある人もいるだろうけど、元々内輪ノリが好きな人だし、湿っぽくならないように、努めて明るく振る舞っていたんじゃないかなと感じました。今回の座長をやってくれてありがとう。座長をできるのは彼以外にいないと思います。

 ROSSOの「1000のタンバリン」を歌ったYONCEが特に良かったです。発声も少しチバに寄せてて、とてもリスペクトを感じるカバーでした。ヨンスは何年か前のFRIDAY NIGHT SESSIONでチバと一緒に楽しそうに「カナリヤ鳴く空」を歌ってたんだよな。

 LOSALIOSの「IQ69」の次は「石狩は日本のサンフランシスコだぜ」というチバの謎の名言が誕生したTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTの「CISCO」。1999年の1回目のRSR以来、25年ぶりにこの石狩の地でシスコ!と叫びました。あの日から今日までがずーっと続いていたんだな。25年の間にはチバの他にも色んな人が旅立って行ってしまった。

 奥田民生や斉藤和義やヨンス、THE STREET SLIDERSのハリー、THA BLUE HERBのILL-BOSSTINO、イマイアキノブなど、豪華なゲスト達とのセッションは気づけば3時間も続き、「いつまでやってんだよ」とチバも苦笑いしていたんじゃないかと思います。ウエノも照井もベンジーもヒロトも、細美もタクマも来てほしかったな。なんなら向井も岸田も曽我部もUAもマキシマムザ亮君もみんな来てほしかった。トシロウはまあどっちでもいいか。

 アンコールではThe Birthdayの3人で「サイダー」。キュウちゃんがドラムを叩きながら一生懸命歌っていて、そこが一番ぐっと来ました。
 最後にみんなで「ローリン」。キュウちゃんが「Thank youエゾロッカーズ!」と言ってくれたのが嬉しかったです。この言葉はキュウちゃんだからこそ意味があります。

 終わってからお客さんがみんなしばらく立ち尽くしていたのが印象的でした。センターマイクにスポットライトの光が集まって、そこに彼が立っているような、そんな演出があって涙がこぼれそうになります。去り難くてしばらくそこにいたのですが、最後にステージ横のモニターに映っていたチバの写真がスッ・・と消えて、ああ、本当に行ってしまったんだなあと実感してしまいました。

28:00 クリープハイプ (SUN STAGE)

 少しお腹が空いてきたのだけどもうこの時間になると多くの飲食の店が閉まっています。会場内のローソンがまだ営業していたので、うっかりからあげくんレッドを買って食べてしまいました。おいしかったのですが少し口の中が辛いまま今年最後のステージへ行くことに。ちょうどリハーサルで「大丈夫」と「手と手」をやっていました。

夜が朝になる瞬間がもうすぐきます

「朝4時のクリープハイプ」

 なんとも魅力的な響きで、何かが起きそうな予感がします。
 def garageからスタートして朝の大トリを任されるまでになったのはRSR史上、たぶんクリープハイプが初めてではないかと思います。
 (若手の登竜門としてdef garageが登場したのが2012年から。その年にクリープハイプが同ステージで初めてRSRに出演しています)
 セットリストを振り返ると、夜の暗さと鬱屈した感情や怒りから徐々に朝の光と希望へと情景が変わってゆくような、見事な構成だったように感じました。

 「俺たちのクリープハイプがRSRの大トリだ!」と喜べるクリープハイプのファンがとてもうらやましいです。俺たちのミッシェルも俺たちのブランキーも俺たちのナンバーガールも俺たちのBoom Boom Satellitesも、大トリをやることがないまま去ってしまいました。

 尾崎世界観のMCからは、RSRの大トリを特別なものだと思っていることが強く伝わってきてとても嬉しかったです。
 ライブの途中で夜明けを迎えましたがあいにくの曇り空でした。尾崎に朝のオレンジの光を見せてあげたかったです。それでも、クリープハイプと共に夜が朝になる瞬間をみんなで見たこの日のことは、これからもずっと語り継がれていくのだと思います。
 「イト」や「栞」「ナイトオンザプラネット」も新しい世代のロックアンセムになってゆくのでしょう。

 チバへの追悼で以前、新聞に寄稿した尾崎世界観の文章がとても良かったので、せっかくなのでここで紹介します。チバの歌声を「チョコレートドーナツみたいな声」と例えたとても良い文章でした。
 ざっくり要約すると、
・2018年のRSRで最後に集合写真を撮ることになって端っこにいたら「おい尾崎、お前そこ写んねえよ」とチバが声をかけてくれてさっとスペースを作ってくれた。
・チバが自分の名前を覚えてくれていた。
・表現者の訃報の際「見られるうちに見ておけ」とよく言われるがチバは休まずにずっと活動し凄みを増しながらいつでも観られる存在であり続けた。
・チバには何から何まで敵わないが、いつでも観られる存在になるという、唯一そこだけは自分にも目指せる。
と、このような内容でした。
 
 最後の曲「二十九、三十」で終わってアンコールは無し。WESSの若林さんが終演の挨拶に出てくるのがすごい早かったので、おそらくあらかじめアンコールはやらないという話になっていたんだろうなと思います。クリープハイプらしくてとてもいいです。全力でやり切った。形骸化したアンコールなんてくそくらえだ。すごくいい終わり方だと思います。
だって、歌の最後が

「前に進め」

なんだから。

(感想編 完)

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