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Love Supreme Jazz Festival JAPAN 2022

もうずいぶん時間が経ってしまったけど、ようやく再開され始めた音楽イベントに参加できて印象深かったので、記録として残しておきます。

5/15(日)
池袋から西武線で秩父まで。千葉県に住んでると池袋って全く行かない町だから、10数年ぶりに訪れて駅から出て周りの景色を見るだけでも目新しい感じがした。池袋からは西武のかっこいい特急列車に乗った。丸っこいデザインの銀色の車体で、窓が大きい。座席の足のほうまで窓になってるから景色がよく見える。座席は落ち着いた黄色というのか山吹色というのか、そういう色のシートで統一されててなかなかかっこいい。埼玉県の奥に進むにつれてどんどん山深い景色になってゆくけど駅だけはきれいで不思議な景色だ。

池袋からは一時間半くらいかかっただろうか、終点の西武秩父駅に到着。秩父はいままで一度も訪れたことがなかった。駅は新しくて立派な駅だ。少し町の様子でも見ようと思って駅前に出たら会場までのバスチケットの売り場があり、先に買っておくかと思ったら係の人にこちらですー、こちらですーと誘導されて案内のまま歩いていたらあれよあれよという間に気づいたらチケットを買って、バスの乗車列にいて、そのまま乗ってしまった。まあいいかと思いバス車内から町の様子を眺める。古い建物が残っていて、町歩きのしがいがある土地に見えた。秩父はまた改めてゆっくり訪ねてみたい。

バスは山裾の斜面の道をどんどん高い場所へと上がってゆく。木々の間から秩父の街並みが一望できる。山あいに町が広がっている様子がよくわかった。到着したのは大きな公園の駐車場で、秩父ミューズパークというのだそうだ。非常にきれいに整備されていて、いい公園である。この公園を会場にして開催されたのが「Love Supreme Jazz Festival JAPAN 2022」で、元々、同名のイベントがイギリスで行われており、それの日本版を開催したいということで本家にかけあって実現したらしい。「Love Supreme」はジョン・コルトレーンの名盤のタイトルから取ったのだろう。

「新世代ジャズフェスティバル、日本上陸」という謳い文句だったが、ジャズフェスティバルというイメージとはちょっと違うランナップである。当初、2020年に開催を予定していたが中止、翌2021年も中止となりようやく開催にこぎつけたとのことである。5/14(土)と5/15(日)の二日間の開催で、自分は日曜日のみ参加した。

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土曜日はトリでドリカム、他にもセルジオ・メンデスなどが出ていたようだ。ジャズフェスティバルのトリがなんでドリカムなんだよとは思うものの、ようやく海外からのミュージシャンも来日できるようになったのは音楽ファンとしてうれしい。他にも土曜日にはkiki vivi lily、Ovallなどなかなかいい出演者が揃っていた。

会場につくとフードの出店が通路に沿ってたくさん並び、ここはフリーエントリーなのでイベント参加者以外の人も含め多くの人でにぎわっていた。「チルアウト」というエナジードリンクみたいな缶の飲料が無料サンプルで配布されていた。飲んだらすっきりしてて不思議な味がした。秩父のB級グルメだという味噌豚丼が一押しされていたので食べてみたらかなりおいしかった。これは人にもおすすめできる。秩父に行ったら食べてみて下さい。

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スマートフォンアプリによる電子チケットでの入場だったが、ここの会場は携帯電話の電波がかなり弱く、苦労してる人が多かった。来ている客層は全体的に年齢層が高めに見えた。会場の構成は、元から公園内にある大きな野外ステージと芝の広場に設えられたやや小さめのステージの二つ、その間にDJブースがあって、ステージ出入口でチケットと交換したリストバンドをチェックする方式。野外ステージ前方の座席エリアは少し値段が高めの指定席チケットで、後方の芝生エリアはどこでも自由に座るという仕組みだった。

入場時、全員にイベントのロゴが入った一人用の小さなレジャーシートが配布された。芝生エリアはイスや配布されたもの以外の敷物やシートは禁止というルールになっていて、大きなシートを広げている人をがんばって注意する若いスタッフが何人かいてえらいなと感心した。この方式はいろいろなイベントで発生している場所取り問題解決の一つの方法になるよい方法だと感じた。もし来年も同じような形で開催されるのならば、拠点がほしい人は指定席のチケットを買えばいいと思う。

12:00 WONK
2019年以来、久しぶりに生の音楽をバーンと体に受けて、うお!音ってこんなにでかかったっけ!と思った。一応、ジャズフェスティバルなのでジャズの素養がある音楽をやってる彼らは趣旨に合ってると感じた。2018年のりんご音楽祭で見たときと比べてずいぶん貫禄が出てきたように思う。いいライブだった。

14:00 Vaundy
ついに化け物(もちろんいい意味)との対面を果たした。これはすごい。歌唱力は今さら言うまでもなくすごいし曲もすごい。しかも若い。この一年で最も飛躍を果たしたミュージシャンだと思う。この時点ですでにいろいろなイベントに出演することが発表されており、とても精力的だし各方面からのオファーが途切れないのは実力が認められているからだろう。選曲もイベント向けで非常に良かった。

15:00 Answer to Remember
ジャズ寄りのドラマー石若駿が中心になっていて、その時によってメンバーが変わるらしい。millennium paradeのドラムも彼なのだそうだ。初めてライブを見たがホーンセクションもいて音が厚いし自由で楽しい。途中ゲストとしてKID FRESINOも出てきた。前衛的でもありポップでもあり、Hiphopも取り込んでいるしやっていることがとても今風だと思う。

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16:00 Nulbarich
普通に色々なロック寄りのイベントやフェスにも出る彼らもわりとジャズ要素があるから、このイベントは案外ちゃんとジャズフェスティバルを意識したブッキングをしたんだなと感じた。ジャズフェスティバルでありながら集客も見込めるようなラインナップを目指したことがわかる。ドリカムにもちゃんと上原ひろみが参加してたし。Nulbarichは洋楽みたいでライブも小慣れててかっこよかった。ずっとライブや音楽のイベントができなかった期間に考えたことなども話していた。

Mitsu the BeatsのDJをぼんやり聞いていた。GAGLEのDJである。ソロの音源も出しているし、彼の作るトラックはすごくかっこよくて好きだ。
SOIL&PIMP SESSIONSのライブも見たかったが移動が面倒になってしまったので次の大トリのライブまでのんびり座ってることにした。

18:00 Robert Glasper
海外ミュージシャンのライブなんていつ以来だろうか。
ライブが始まる前にロバート・グラスパー本人とバンドメンバーが普通に会場内をうろうろしていて気さくに一緒に写真を撮ったりファンサービスをしているのをすぐ近くで見てて驚いた。どんどん人が集まってきて、あまりにもサービスし続けるから係の人にちょっと注意されて移動を促されていたのがおかしかった。

ライブは序盤、ステージ上にDJの人が一人でいて、しばらくアッパーな曲をかけて客を煽って、それなりにお客さんはみんなテンションが上がっていてうまいDJだった。しばらくしてRobert Glasperが出てきてそこからは圧巻のステージだった。新しいアルバムからの曲が多かった。美しく迫力のある音楽を立て続けに連発して最高だった。ゲストボーカルの曲は全部ロバート・グラスパー自身がピアノを弾きながら歌ってて、お前が歌うんかいと思ったが渋い声で歌もけっこう上手かった。客にめっちゃ難しい口笛を吹かせたり自由にやってて良かった。

すっかり夜になり、山の空気が冷えてきた。帰りのバスに乗車。やっぱり野外で音楽を聞くのはいい。駅の建物の中には大きな土産売り場があって、イベント帰りの人たちでごった返していた。同じ施設内にある飲食店や入浴施設もこの日は夜の営業時間を延長していたようである。帰りも西武のかっこいい特急。朝からの移動と久しぶりの野外のイベントで少し疲れたがロバート・グラスパーのライブも見れたしVaundyも見れたし味噌豚丼はうまいし満足した気持ちで帰ることができて、わざわざ来てよかった。

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