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読書記録「丸の内魔法少女ミラクリーナ」

▼読んだ本
「丸の内魔法少女ミラクリーナ」
・村田沙耶香 さん
・角川書店
・2020年

丸の内魔法少女ミラクリーナ

 小学生の時から、皆を笑顔にするために魔法少女ミラクリーナとしてがんばる!・・・という「設定」で日々を過ごす30代女性のお話。
 妄想するのは自由だから、何かになりきって毎日楽しく過ごして、嫌なことがあっても「キュートな妄想で料理して食べる」ことで笑顔で過ごすのは、とても素敵なことだと思った。ただし、「悪」を退治するために行動してストレスを発散させ、自分が正しいのだと貫き通そうとすると、善の押し付けになってしまう。皆(と自分)を笑顔にするために、陰でサポートするのが魔法少女なのかなと思う。

秘密の花園

 初恋の人を監禁する女子大生の話。
 恋が実らなかった初恋がキラキラしているように感じるのは、そこに自分の理想が入っているからであり、次の恋に進むためには現実を見て、今目の前にいる人に意識を向ける必要があるのかもしれない。過去が全くの無意味であるのではなく、それも自分の一部になっていると思う。私はここ数年恋愛をしていないので、恋愛について語ることはあまりできないが、過去のことを清算し、今の「好き」という気持ちを大事にすることで前に進むことができるなのかなと思う。

無性教室

 「性別」が禁止されている学校に通う高校生たちのお話。
 LGBTQが世間でも知られ、制服が男女関係なく選べるようになるなど、ジェンダーレス化が進んできている。それを極端に進めたものが、この物語の中では「無性」と表現され、男でも女でもないただ一人の人として相手を捉え関わっている。LGBTQと言っても、一人一人感じていることや考えていることは違うため、「あなたが好き」と、男や女、LGBTQにも囚われずに(これがLGBTQIA+になるのかな?)自分らしくいる、相手と関わる、ということが大事なのだと思う。「男女関係なく、あなたという一人の人間が好きなんだ」ということが「好き」ということなのかもしれない。

変容

 人々から「怒り」という感情がなくなり、感情を表す新たな言葉が生まれていくお話。
 「喜怒哀楽」という言葉があるように、「怒り」は人間の感情の中でも大事な感情で、動物が(人間も)危険にさらされた時に怒ることで、いつも以上に力を発揮でき、自分の身を守ることにつながる。どんな感情でも意味があって、たとえ「怒り」であっても感情が無くなってしまうのは怖い。周りに合わせて社会の流れに乗ることも大事かもしれないが、自分の気持ちを大事にして、きちんと自分を持っていたいと思う。

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