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『リスタート ゼロからのレベル上げ』分析と解説|序-04 セルフブランディングの甘さから炎上へ ①

 この記事は、YouTuberであるマイティー氏の著書『リスタート ゼロからのレベル上げ』の中で、序章「はじめに」に書かれている内容に関して分析するとともに、これまでの検証結果との関連性を解説しています。
 また、権利者都合によりスクウェア・エニックスの製品である『ドラゴンクエストシリーズ』を始めとした製品群、および作品内に登場する固有名詞が他の言葉に置き換えられているため、あわせて解説しています。

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この記事の概要

本の中での『エミュレータ』の解説の問題点

 マイティー氏は、2021年後半から2022年前半に発生した騒動について概要を説明する際に、次のように『エミュレータ』を解説しています。

エミュレータとは、簡単に言えば、ゲーム機の機能をパソコンなどのデバイス上で再現できるソフトウェアや装置のことです。
つまり、エミュレータを使うことで、本来ならゲーム機でしか遊べないゲームも、パソコンでプレイすることが可能になります。
そうすると、実機でプレイするより効率的に進めることができるのですが、そこが問題と指摘されました。

マイティー、リスタート ゼロからのレベル上げ、秀和システム、2024、P. 9

 この説明を整理すると、次の要素に分解することができます。

  • 『エミュレータ』はゲーム機がなくてもゲームをするための装置

  • 『エミュレータ』はゲーム機を使う場合より効率的にプレイできる

 結論からいえば、『エミュレータ』の説明としては、ほとんど何も説明できていません。そのため、本を読み進める上で必要な前提知識が不足することになり、前提知識のない人にとっては、何がか書かれているのか理解できない構成となっています。

この記事で解説すること

 この記事では、本の説明不足を補うため、以下について解説します。

  1. 『実機』という用語の意味とニュアンス

  2. 『エミュレータ』という用語の意味とニュアンス

  3. 『エミュレータ』を使うことの利点とは?

  4. 『実機』と『エミュレータ』の違い

  5. ゲームプレイの記録に影響を与える要素

  6. ゲームプレイの記録を投稿する上で大事なこと

この記事の目標

 この記事の役割は、騒動の中で目にする機会の多い『エミュレータ』と呼ばれるものが、どのようなものなのか、を解説するものです。
 事情を知らない人が、おおよそをつかめることを目標として書いています。 そのため、なるべく難しい表現を省いたり、厳密な表現を丸めている箇所もあります。
 より正確なや知識については、別に調べるなどしてください。

『実機』とは?

 『エミュレータ』という言葉を解説するには、その元となる『実機』について、まずは理解する必要があります。

 インターネット上でビデオゲームの動画などを見ると、『実機』という言葉を目にすることがありますが『実機』という字面だけでは、何を指しているのか分かりません。
 ただし、この記事を読んでいる人はビデオゲームにおける『実機』という用語のなりたちなど、昭和の古い話を聞きたいわけではないので、現在のビデオゲーム界隈で使われている『実機』のニュアンスだけを説明します。

2024年現在の主なゲームのプレイ環境

 この記事を書いている2024年現在、ビデオゲームを遊ぶための環境は色々あり、すぐ思いつく一般的な環境は次の通りです

  1. Nintendo Switchなどゲーム機を使い、公式ストアや店舗などでゲームソフトを購入する場合

  2. パソコンをゲーム機として使い、Steamなどでゲームを購入する場合

  3. スマホやタブレットをゲーム機として使い、Google PlayApple App Storeでゲームを購入する場合

  4. ゲームセンターで設置されているゲーム機で遊ぶ場合

 ただし、今回の話題で扱うのは「Nintendo Switchなどゲーム機を使う場合」のみです。他の場合についても関連がないとは言いませんが、本書に書かれている内容を把握するだけならば、1つだけで十分です。

2017年発売 『Nintendo Switch』(任天堂)
一般的なゲーム機の例

どれが『実機』なのか

 『実機』の話に戻りますが、ズバリ、『実機』とはNintendo Swtichなどのゲーム機そのものを指しています。実物の機械と捉えてもらえば分かりやすいでしょう。
 そういう意味では、パソコンもスマホも、ゲームセンターの機械もまた『実機』なのです。ただし、この言葉が広く使われ始めた当時は、まだパソコンでゲームをするという文化もマイナーで、スマホなんて存在すらしていませんでした。
 なので、一般的に『実機』という言葉が使われるとき、そのニュアンスとしては主にNintendo Switchなどのゲーム機を指しているもの、と考えて差し支えありません。ただし、これは現状のニュアンスです。時代とともに、いずれ意味は移り変わるでしょう。

 また、ビデオゲームというものはNintendo Switch本体だけでは遊べず、必ずゲームソフトが必要です。Nintendo Switchにゲームカードを挿し込んだり、マイニンテンドーストアでゲームソフトを購入してダウンロードするなりして遊んだ経験があるのではないでしょうか。

 ここで思い出してほしいのは、ゲームソフトには対応しているゲーム機があるということです。Nintendo Switch用のゲームカードをPlaystationに接続して遊ぶことはできません。例えば、Nintendo Switchがゲームカードを採用しているのに対して、Playstation 4Playstation 5ブルーレイディスクを採用しています。見た目だけでも接続できないことは明らかです。

Nintendo Switch用ゲームカード
この中にNintendo Switch用ゲームソフトが収められている
1999年発売 『FINAL FANTASY VIII』北米版(スクウェア・エニックス)
初代PlayStation用ゲームソフトはCD-ROMに収められていた

 この仕組みは、1986年に『ドラゴンクエスト』が発売された時点からみても変わっていません。当時の広告には「ファミリーコンピュータロールプレイングゲーム」と、遊ぶために必要なゲーム機がファミリーコンピュータであることが分かるように書かれています。
 このようにゲームソフトには『ゲームソフトを開発したメーカーが指定するゲーム機』、つまり『実機』で遊んでもらうという前提がセットになっているのです。

ファミコン通信、第1号、1986-06-20、株式会社アスキー
ファミリーコンピュータ用ゲーム 『ドラゴンクエスト』の広告

『エミュレータ』とは?

 『実機』の対義語のように『エミュレータ』という言葉がよく登場しますが、そもそも『エミュレータ』とは何なのか、という点で理解できない方がいても不思議ではありません。『実機』に続いて『エミュレータ』という言葉の意味を説明していきます。

『エミュレータ』は『◯◯のエミュレータ』

 まず、『エミュレータ』とは、Emulator(模倣する)という英語が元になっている言葉ですが、この記事を読んでいる方にとって知りたい『エミュレータ』とは、そのような広義の意味ではありません。マイティー氏が使っている『エミュレータ』とは何なのか、という1点のみのはずです。

 結論から言ってしまえば、マイティー氏が使用している『エミュレータ』とは「『実機』の『エミュレータ』」のことを略して呼ばれているものです。つまりは『ビデオゲーム機のエミュレータ』と呼んだ方が適切なのですが、『エミュレータ』や『エミュ』などと省略されて使われています。
 この記事では分かりやすいように、以降の解説を『ビデオゲーム機のエミュレータ』で統一しておきます。

 スーパーファミコン用エミュレータ Snes9x
非公式の『ビデオゲーム機のエミュレータ』ソフトウェア

『ビデオゲーム機のエミュレータ』の利点とは?

 Nintendo Switch用ソフトはNitendo Switchでしか遊べない、これは先程述べた通りです。ところが50年先を想像してみましょう。Nintendo Switch本体の販売や修理サポートも終わっていることでしょう。当然のことですが、Nintendo Switch本体は購入しづらくなると予想されます。すると次第に、遊びたいのに遊べないゲーム、というものが生まれてしまいます。

 このような現象は既に実際に起きています。『実機』の解説で登場した1986年発売の『ドラゴンクエスト』。こちらを遊ぶには1983年に発売したファミリーコンピュータというゲーム機が必要になりますが、40年前のゲーム機は当然お店に並んでいないのです。
 さらにいえば、ゲームソフトもゲーム機も両方機械には変わりありませんから、遊んでいれば、いつかは壊れてしまいます。
 古いゲーム機を入手することも難しくなっていき、『実機』で遊べなくなってしまったゲームというものが、既に生まれ続けているのです。

1983年発売 『ファミリーコンピュータ』(任天堂)
このゲーム機をテレビにつなぐこと自体、既に大変な時代になった

 そのような状態でも、「あのゲームをもう一度プレイしたい」という希望を叶えることができる装置、それが一般に『エミュレータ』と呼ばれている、『ビデオゲーム機のエミュレータ』です。
 『ビデオゲーム機のエミュレータ』が使えるようになると、ファミリーコンピュータ本体は入手が難しくなったとしても、例えばNintendo Switchの上で、あたかもファミリーコンピュータというゲーム機と同じ機能をもったシステムソフト」が動かせるようになります。
 Nintendo Switch上で、そのシステムソフトを動かし、その上でファミリーコンピュータのゲームソフトを読み込ませれば、古いゲームソフトであったとしても、手軽に遊ぶことができるようになるのです。

 このような仕組みが『ビデオゲーム機のエミュレータ』であり、最新のゲーム機があれば、古くなったビデオゲームでも遊べるサービスが、任天堂に限らずSONYや他のメーカーからも提供されています。
 この時点で、『ビデオゲーム機のエミュレータ』自体は単なる便利な道具でしかない、という点は伝わったかと思います。

Nintendo Switch Online 懐かしの任天堂ハードのゲーム集
40年前の任天堂のゲームソフトでも手軽に遊べる仕組みが用意されている
PLAYSTATION PLUS プレミアム
歴代のPlaystationを手軽に遊べる仕組みが用意されている

『実機』と『ビデオゲーム機のエミュレータ』の違い

 『ビデオゲーム機のエミュレータ』とは「ゲーム機と同じ機能をもったシステムソフト」であると先程説明しました。あたかも、まったく同じ機能を持っているだけのように説明しましたが、実際は色々な違いがあります。

『ビデオゲーム機のエミュレータ』には機能が追加できる

 『実機』と『ビデオゲーム機のエミュレータ』の大きな違いは、搭載されている機能が異なる点です。
 例えばセーブ機能。現代ではオートセーブ、いつでもセーブといったことが当たり前の時代になりましたが、昔のビデオゲームはセーブ機能自体がありませんでした。
 せっかく進めても最初からやり直しになったり、セーブの代わりにパスワードを入力すると、同じ状態からゲームが再開できるのでセーブの代わりとして使う、といったことが普通だった時代がありました。

 対して『ビデオゲーム機のエミュレータ』ならば、当時はセーブ機能がなかったビデオゲームでも後から追加することができますので、『実機』より便利に遊ぶことができるようになります。

1987年発売 『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』(スクウェア・エニックス)
『ふっかつのじゅもん』がセーブ機能の代わりだった
NINTENDO 64 Nintendo Switch Online - セーブデータと中断セーブ
『実機』非搭載だった「どこでもセーブ」が使えるようになっている

機能の追加はゲームの制限を緩やかにする

 追加機能の一例としてセーブ機能を挙げましたが、さらに例を挙げると次のような機能を追加することができます。

  • ジャンプしたら穴に落ちてしまったから5秒前に戻りたい

  • ボスが強すぎるから簡単に倒せるようにしたい

  • キャラクターの移動が遅すぎるから、もっと早く移動させたい

  • お金稼ぎが面倒だから、すぐに金持ちになりたい

 これらの機能の共通点は、ゲームの中に設けられた制限を緩めることにつながっています。といっても、しっくりこない方もいるでしょうから、具体例を示します。

 例えば、RPGの主人公は大体弱い状態(レベルが低いなど)からゲームが始まりますが、これは意図的に制限されたものです。
 開発者が作ろうと思えば、最初からレベルを最大にした主人公を作ることも簡単にできます。ところが、最初から主人公が強すぎると、どのボスもすぐ倒せてしまい手応えがなくなってしまうでしょう。
 買い物でも同じことがいえます。スタート地点で最初から大金持ちだったら、がんばってお金を稼ごうという気持ちがなくなってしまいます。
 ゲームの世界は、制限があるからこそ、達成したときに喜びを感じられるように作られているのです。

1995年発売 『ドラゴンクエストVI 幻の大地』(スクウェア・エニックス)
データ改造によりデバッグルームに入った例。キャラクターのレベルも自由自在だ

 一方で、ゲームには難易度というものがある以上、制限が緩くなることは、気軽に触ってみやすくなることにつながります。
 実際にNintendo Switch Onlineでは、『スペシャルバージョン』と呼ばれる、初心者にもより遊びやすくなるよう、最初からお金もちだったり、最初からステージを選択できるなど、そのゲームソフトが発売した当時はできなかった、配慮とも呼べるサービスが提供されています。

Nintendo Switch Online「スペシャル」版で、ファミコンソフトの名場面を見よう!』より
スタート地点で所持金が上限の255になっている「お金持ちバージョン」

 つまり何なのかといえば、『ビデオゲーム機のエミュレータ』は、『実機』より便利な機能を追加することで、気軽に遊べるようになるだけではなく、そのビデオゲームに組み込まれた制限を取り払うことができる、という側面を持っているということです。
 ただし、『ビデオゲーム機のエミュレータ』も作る人によって、追加される機能はバラバラです。必ずしも、先程挙げたような機能が搭載されているとは限らない点に注意が必要です。

「どこでもセーブ」できるのに「巻き戻し」 Nintendo Switchの新機能を試してみた』より
「巻き戻し機能」により、敵にやられた前に戻ることもできる

ゲームプレイの記録に影響を与える要素

 ここまで『実機』と『ビデオゲーム機のエミュレータ』について説明をしました。そこそこボリュームのある話ですので、同じゲームソフトでも、実行するための環境によって、できることが変わってくるということだけ伝われば十分です。

 ところで、『ビデオゲーム機のエミュレータ』は『実機』ではできない機能を追加することができる、といった説明をしましたが、より正確な話をすれば、これは『実機』同士でも起きることです。
 ここでは、どんな要素がゲームプレイ環境に影響を与えるのかについて解説していきます。

ゲームソフトのバージョン

 同じゲームソフトでもバージョンによって仕様が異なることは少なくありません。
 例えば、2006年に発売されたPlaystation 2用ゲームソフト『ファイナルファンタジー XII』(スクウェア・エニックス)は、その翌年にマイナーチェンジ版にあたる『ファイナルファンタジー XII インターナショナル版』を発売しました。
 『ファイナルファンタジー XII』というタイトルそのものは同じですが、もっとも大きな違いとして、2倍速、4倍速のゲームプレイが可能になりました。これはファイナルファンタジーシリーズの中でも、フィールドマップが非常に広かったことによる対策だと思われます。

2019年発売 「ファイナルファンタジー XII  THE ZODIAC AGE」(スクウェア・エニックス)
2006年、2007年以外に2019年のバージョンもある

 この違いがどのような影響をもたらすのかについては、2006年版と2007年版の『ファイナルファンタジー XII』が両方手元にあったとして、メインストーリーをクリアするまで進めていったら、どちらが早くクリアできるのかを考えると分かりやすいでしょう。
 当然の話ですが、4倍速でプレイできるマイナーチェンジ版の方が早くクリアできる結果となります。つまり、どちらが早くクリアできるか競おうとしても、バージョンが違えば勝負にならなくなるのです。

 なお、4倍速のゲームプレイは、もっとも分かりやすい変更箇所を紹介しただけで、実際の変更点は大量にあります。
 どのバージョンであったとしても、『ファイナルファンタジー XII』を楽しんだという事実はかわりませんが、バージョンの異なる記録は比較しようがない(「すべきではない」ではなく「不可能」)という点が重要です。

ゲーム機の違い

 これは「『実機』と『ビデオゲーム機のエミュレータ』の違い」で説明した通りです。ゲーム機によって、できることが変わるということは、ゲームの制限度合いが変わるということです。結局はゲームソフトのバージョンが変わることと同様に、そもそも比較しようがなくなってしまいます。

 つまるところ、『実機』であろうと『ビデオゲーム機のエミュレータ』であろうと、ゲーム機の種類が違うだけということです。ゲーム機が違うなら、できることが変わったり、そもそも『ビデオゲーム機のエミュレータ』は『実機』を再現したという性質がある以上、『実機』と同じ挙動をするとは限りません。
 さらに細かいことをいえば、同じ製品名の『実機』にすらバージョンがあり、ゲームソフトによっては、そのバージョンによって挙動が変わるものすらあります。それくらいプレイ環境は結果に影響を与えるのです。

1990年発売 『スーパーファミコン』(任天堂)
同じ製品名でも前期・中期・後期とバージョンが存在する

 ちなみに、初代Playstationのソフトは、Playstation1・2・3のいずれのゲーム機でも実行することができます。同じ系列のゲーム機だから、きっと動作も同じだろう、と思いがちですが、実際はそんなことはありません。
 細かい違いについては省略しますが、基本的にゲーム機が違うということは、記録も別物になるという解釈をするくらいで、ちょうど良いということを覚えておいてください。

 コントローラの違い

 これは「ゲーム機の違い」につながる話ですが、同じゲーム機でも接続するコントローラによって、できることが変わる場合があります。
 古くからあるコントローラの例として、連射機(連射パッド)があります。これは1秒間に16連射といった、人間には難しい速度でボタンを連打してくれる機械です。
 連打速度で競い合うようなゲームがあったとしたら、連射機の有無で結果が変わってしまうため、このような違いもプレイ記録の比較には影響がでてしまうのです。

1991年発売 『スーパージョイカード』(ハドソン)
パッド中央のスイッチは連射機能の ON/OFF に割り当てられていた

ゲームプレイの記録を投稿する上で大事なこと

 大変長くなってしまったので総括をしつつ、ゲームプレイ動画、あるいはゲームプレイの記録を投稿する上で大事なことを整理します。

多くの人にとっての標準的なプレイ環境

  1. ゲームソフトには対応しているゲーム機があります。それは『ゲームソフトを開発したメーカーが指定するゲーム機』であり、ほとんどの人は、いわゆる『実機』で遊ぶことになります。

  2. 『ビデオゲーム機のエミュレータ』には、Nintendo Switch Onlineのように公式のものと、Snes9xのような非公式のものが存在します。ほとんどの人にとって、非公式の『ビデオゲーム機のエミュレータ』は無縁です。

  3. 『ビデオゲーム機のエミュレータ』は、ゲーム機がなんらかの理由で手に入らない人でも、もう一度昔のゲームを手軽に遊ぶことができるようにする道具です。さらに、それを利用する多くの人にとって『ビデオゲーム機のエミュレータ』と認識せずに利用していることも普通にあります。

『実機』と『ビデオゲーム機のエミュレータ』の違い

  1. 『実機』も『ビデオゲーム機のエミュレータ』も、どちらにしてもゲームソフトを実行するための環境です。それ自体に善悪はありません。

  2. 『ビデオゲーム機のエミュレータ』は、『実機』には無かったセーブ機能を追加するなど、後付で機能を加えることができます。ただし、『ビデオゲーム機のエミュレータ』によって、追加される機能はバラバラです。あくまで傾向としてですが、非公式の『ゲーム機のエミュレータ」は、その追加される機能が広範囲です。

  3. 『実機』で遊んでいたときに「こんなことできたらいいな」と思ったことは、非公式の『ビデオゲーム機のエミュレータ』ならば大体できます。

  4. 『実機』を再現している『ビデオゲーム機のエミュレータ』は、ゲームソフトの挙動に影響がでる場合があります。同じ製品名の『実機』でもバージョンが違えば、同様に影響がでる場合もあります。

ビデオゲームの記録を正確に評価してもらうには

 ゲームプレイにより生まれた記録は、次のような環境情報を正しく示すことにより、誤解の余地を減らす取り組みが必要です。

  1. ビデオゲームのソフト名(およびバージョン)

  2. ビデオゲームを実行するゲーム機(およびバージョン)

  3. その他、コントローラなどゲームに影響を及ぼす要素があるもの

 また、ほとんどの人にとって、ゲームをプレイする環境は『実機』のみです。非公式の『ビデオゲーム機のエミュレータ』などを用いて、『実機』に搭載されていない機能を使ってプレイする場合は、その機能を使うことや、どのようにゲームプレイが変化するのか説明すべきです。

まとめ

 ゲームのやり込みプレイというジャンルは、「やり込み」という言葉が物語っていますが、大勢の人よりゲームをプレイしている(やり込んでいる)という、視聴者が自身のゲームをプレイした記憶と比較して、「すごい!」と思えるかどうかで評価が決まってきます。
 また、大勢の人にとってのゲームプレイの記憶とは、『ゲームソフトを開発したメーカーが指定するゲーム機』、つまり『実機』でのゲーム体験が基本になってきます。ましてや非公式のゲームのプレイ環境があることなど、知らない人の方が大半だという前提をもちましょう。

 もし、意図的ではない形でも、ゲーム記録として必要なプレイ環境の表示が足りない場合、その記録は、どこまでいっても参考記録です。それは、ルールだから表示すべきものではなく、ゲームプレイの記録は比較によって成立するコンテンツなので、プレイ環境が分からないことには、その記録の評価をしようがないだけです。

 万が一、実際と違うプレイ環境を意図的に表示している、あるいはプレイ環境を指摘されても伏せているような人がいた場合、そのゲームプレイ記録は無意味です。
 ゲームプレイ記録は自己申告ではなく、第三者からみても妥当だと評価されることで初めて意味をもつ、双方向のコンテンツだからです。
 ましてや、そんな状態で「やり込みゲームプレイヤー」などと名乗っていたら、それはもう、何かの悪い冗談です。真に受けてはいけません。

出典・参考資料・関連記事

出典

参考資料

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その他の補足

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  • 2024-06-25:作成

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