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27歳結婚願望無しOLの満たされた不足感

 27歳。もう結婚して子供がいてもおかしくない年齢だ。数年前までは同級生が結婚したり子供が産まれたりしたらすごいなぁ、早いなぁ、と口々に友達と言い合ったりしていたのにその友達ですらもう籍を入れ始めている。「ねぇ〜〜もう27歳だよ!?こわ〜い!」なんて悲鳴をあげてドラマの女子会シーンを演じてみたりしているけれど、私はどこか他人事のように感じていた。

 地方なので給料はお世辞にも良いとは言えないが一応正社員で福利厚生もわりと充実している。実家暮らしだから衣食住にも困ることもない。家族も元気だし学生時代の友達も大半は地元の残っているので気軽に遊べたりする。特別満たされているわけではないけれど、特に今の生活に大きな不満はない。平日は仕事に打ち込んで、休日は自分の思いのままに過ごすこの生活がとても気に入っている。一人でいてもあまり孤独を感じないタイプでもあるからきっと私はずっと一人で楽しく過ごしているんだろうなと思っていた。

 だけどある時ふと時間を持て余している自分に気が付くようになった。誰にも制限をかけられず好きな時間に起きて、好きなものを食べて、好きな時間に出かけられるのに何かが圧倒的に足りていない。口ではうまく説明できないのだけれどそれは寂しいという感情ではない。だがそれをどうにかしないとずっと足りないまま生きていかないといけないという恐怖がほんのり浮かび上がってくる。
そのよく分からない不足感を消したくて真っ暗な夜道をひたすらドライブしたり、大きな書店に行って何か自分の心にピンとくる本がないか探して気づけば2時間近く経っていたりするなど明らかに迷走していた。そんな随分規模の小さい自分探しの旅のようなものを繰り広げながら、それでも胸のモヤモヤは晴れずに焦る気持ちだけが募っていた。

 そんな時ふと「結婚」の二文字が頭をよぎる。もしかして私が満たされないのは独身でいるからじゃないのか?結婚すれば家事や親戚付き合い、子供がいれば育児や子供の行事・習い事とやることが増えるから物理的に忙しくして持て余す時間をなくす事はできる。要は結婚って自分が人のために何かする理由が与えてくれるんだ。
 
というのも最近、人が自分のためだけに生きていくのって実は結構しんどい事なんじゃないんだろうかと思うようになったからだ。私は心身ともに元気でまだまだいろんな事ができるし、世界にはまだ楽しいことがたくさんあると思っていても、自分だけでそのエネルギーを消化しきれなくてどうにも胸がむかむかしてしまう。このエネルギーを誰かのために使って自分の外に出すことで消化不良も不足感も解消できるんじゃないか?それを実現させるのに一番手っ取り早いのが結婚なんじゃないか?しかもいろんな人から祝福されるし、社会的地位も手に入る。良いことづくめだ。

 ただ一つ困ったことがある。ここまで色々考えてもうそろそろ結婚するのが合理的ではないかという結論に達しているのに私自身が結婚や子育てに全然興味がわいていないことだ。
いや今までの前フリは何だったんだよ!?と言いたいところだが右脳までは制御できないので特にオチのないまま日常に戻ることにいたします。外から何の脚色もされていない27歳の独身OLの生身の言葉の一つが伝わったらそれでいいんです。


 私の人生に何かが不足していたって、ファミマのコーヒーは今日も美味しいです。

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