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石州瓦工業組合を訪問

※江津民報2020年10月25日号掲載(掲載分は紙面の都合で若干編集されています)の文章です。むこせブログに掲載された文章をそのまま載せます。

 10月20日、森川よしひで江津市議と石州瓦工業組合を訪問し、生産状況などについて伺いました。

●3年間で出荷枚数2/3に

 2019年の出荷枚数は、2千978万枚でした。3年前の2016年の4千508万枚と比較して66%になっています。
 過去最高の出荷枚数は1995年の2億1608万枚で、当時と比較すると14%となっています。
 大きく減った原因は、需要低迷により窯業各社の倒産(2007年アメックス協販、14年石州セラミカ、18年石州川上窯業)であり、従業員数も95年と比較して26%になっています。数基あるトンネル窯を1基だけ動かすなど5割程度の生産で、従業員数も不補充などで減らしています。

●住宅の様式変化と瓦の採用率が半減

 出荷枚数が減る原因として、総二階の住宅が増え下屋(げや、1階の屋根)を持つ家が減っていること、屋根材として粘土瓦の採用減が考えられるとしています。以前は屋根の4~5割が粘土瓦でしたが、現在は2割程度となっています。瓦に代わって、スレート(セメントとガラス繊維など)やガルバリウム鋼板(鉄板にアルミニウム+亜鉛+ケイ素の合金でメッキ)の採用が増えているとのこと。
 阪神大震災以降「重い屋根は地震に弱い」と風評が広がり、出荷量が減少。しかし、宮城県沖地震後につくられた昭和56年以降の耐震基準の家はほとんど倒壊しておらず、屋根が重いだけではなく、家全体で地震を受け止める構造ではなかったためです。
 瓦業界では、防災性能を高めようと、全ての瓦を釘などで留め、地震や台風に強い施工としていますが、災害の映像では「古い家」が損壊した場面が取り上げられています。

●販売の努力も

 石州瓦の出荷先は、半分が中国地方、4割近くが九州地方です。中でも島根県が出荷全体の13%であり、公共物件も含め「瓦」選択が多くなっています。
 大手ハウスメーカーにも使ってもらいたいと平板瓦など新製品の開発、工務店や瓦工事店などこれまでのつながりに加えて、家を建てる人(一般施主)への宣伝や、行政物件への採用など力を入れています。
 また窯業各社は、壁タイルや敷タイルなど新商品の開発も続けています。

●災害公営住宅、応急仮設住宅に瓦が採用

 2016年熊本地震の被災者が住む災害公営住宅の一部に、石州瓦が採用されています。①景観、②遮音性や断熱性に優れ、③将来的な維持費抑制が期待できるためのメリットが考慮されまました。
また今年7月の熊本豪雨でも、熊本県が人吉市、山江村に建設する応急仮設住宅にも、石州瓦が採用されることが決まっています。雨音を抑える遮音性があること、九州で福岡に次ぐ出荷先である熊本であったことが理由です。

 専務は、応急仮設住宅はプレハブで鋼板屋根だったが、従来の木造建築でも施工時期が短い応急仮設も使えることを示したと思う。
今後は公共物件や、窯業技術を生かした新商品開発を進めたいと話しました。

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