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兼務のPros/Consについて

コロナの影響で採用を絞っている企業が多い。そんな中どうしても業務を回そうとすると一人ひとりが従来よりも幅広い範囲の業務を行う必要がある。結果として、中には他の部署との兼務を行うケースも出てくる。今回は、兼務を行うことのPros/Consを書いてみたいと思う。

まず、良い点としては、従来と同じ工数の業務をより少ない人数で回すことが出来るようになるという、一人当たりの生産性の向上といった会社側の視点からのメリット。一方で、社員本人としてはキャリアの幅を広げる良い機会になるという従業員側の視点からのメリットがあると思う。また、結果的に本人のモチベーションが高まりパフォーマンスを高めることが出来れば本人も会社もハッピーだ。

一方で、課題としてはReporting lineが不明確になる、あるいは兼務先の部署間でのコンフリクトが生じる可能性がある点だと思う。事業部制やカンパニー制等に比べた場合のプロジェクト制やマトリックス組織を採用する場合のデメリットと同じだ。社員本人としては誰がどのように認めてくれるか、ほめてくれるか、あるいは効果的なFBをくれるのかは重要だ。

兼務先の部署がそれぞれオペレーションの前工程・後工程の場合を例に取る。前工程に兼務者のリソースが偏っても、後工程としては前工程をある程度固めてくれれば後工程のリスクが下がると考えることもできる。また、後工程にリソースが偏っても、前工程としては後工程が拾ってくれると信頼できれば大きな問題は発生しない。ただし、この場合にも部署間での丁寧なコミュニケーションが前提となる。この意味から、結局お互いに内情をわかっている、あるいは利害が一致するような状況であれば、ある程度はうまくいくと考えられる。

気を付けないといけないのは、兼務開始時の上長が異動や退職等で離れた場合だ。合意内容の詳細がドキュメントで残されていれば良いが、そうでなければ一方の部署に兼務者のリソースが偏ってコンフリクトが発生する可能性がある。その場合には、会社にとっての緊急性や重要性によって優先順位をつければ良い、という考えは一見合理的だが、じゃあ誰が責任もってそれを判断できるのか、という話になる。

このように見ていくと、事前に兼務範囲、時期、Reporting line等を具体的にドキュメント等に残し、さらに丁寧に日常業務の報告を兼務している両部署に対して行う事が後のコンフリクトのリスクを下げることにつながる。

「結局、兼務ってするべきだったんだろうか」と、しばらく経った後に思わないように事前に良く検討が必要なんだろうと思う。権限と責任がある意味曖昧とも考えられる日本企業にとっては尚更だ。

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