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「汚染水」の海洋放出に反対します

共同通信社が14~16日に実施した全国電話世論調査によると、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出に関する政府の説明について「不十分だ」との回答が80.3%に達した。マイナンバーカードの問題をめぐり、政府が秋までに実施する総点検で「解決しない」との答えは74.7%に上った。内閣支持率は34.3%で6月17、18両日の前回調査から6.5ポイント下落し、岸田内閣で最低水準となった。不支持率は7.0ポイント増の48.6%だった。

中国新聞の7月17日付朝刊1面トップ記事である。記事によると、処理水放出で風評被害が起きると思うかを聞くと「大きな被害が起きる」が15.8%、「ある程度起きる」は71.6%で懸念する声が計87.4%を占めた。政府の説明が「十分だ」との回答は16.1%。放出は賛成31.3%、反対25.6%と割れ、どちらとも言えないが43.1%だった。

私は「処理水」とは言わずに「汚染水」と言う。処理というと安全な印象を与えてしまう。放射能を持つトリチウムは除去できないため、水で薄めて国際基準より低くして流す。しかし、世界最悪の事故を起こした福島原発は、廃炉の目途もたっていないため、この先何十年も、ひょっとしたら何百年も汚染水を流し続けることになる。安全であるとなぜ評価できるのだろう。世論の8割が政府説明が不十分と思っているのも当然である。

ゴジラは、みなさんもご承知のように南太平洋の核実験によって変異した古代生物という設定だ。世界に衝撃を与えた映画をつくった日本が、汚染水を海に流す愚行をなぜするのか。海でつながる中国、韓国などアジア諸国が強く反対するのは、当然だろう。先日、米国の核実験被害で今も苦しむマーシャル諸島の女性に会ったが、汚染水で海を汚さないでほしいと強く訴えていた。

ただ、この世論調査で、処理水の海洋放出そのものには賛成と反対が割れ、どちらとも言えないが4割もあるのは、私には悲しい。処理水ではなく汚染水と表記すれば反対が圧倒的になると思う。「放射能汚染処理水」としても印象はずいぶんと違う。役人たちがつくる言葉を安易に使わないようにメディアに求めたい。アジア・太平洋戦争で「全滅」を「玉砕」に、「敗退」を「転進」と言い換えて、国民にウソ情報を流し続けたことを、忘れないようにしよう。

それにしても、岸田内閣の支持率低下が止まらない。G7広島サミットでバイデン大統領らと平和公園で記念撮影した頃をピークに、あっという間に3割ぎりぎりのところまで落ちてしまった。国民は、岸田首相の存在が不安なのではないか。原発汚染水にしてもマイナンバーカードにしても少子化対策、防衛費倍増・敵基地攻撃などなど、日本の命運を左右する課題が目白押しなのに、岸田首相からは、一生懸命考え、行動しているという本気度が私には伝わってこない。みなさんもそう感じておられるのではないか。広島選出の首相と言われるのが、私は恥ずかしい。(藤元康之)


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