気分転換できていますか?

 新年度が始まり、早くも1カ月が過ぎました。皆さんお元気でお過ごしでしょうか?この時期は、進学や就職、異動などにより様々な環境の変化により、疲れが溜まりやすい、ストレスを感じる、ということを多く経験されているのではないでしょうか。「五月病」は正式な医学用語ではありませんが、皆さんお聞きになったことがあると思います。特にこの季節に学生や新入社員に起こりやすいため、こう呼ばれています。身体のだるさ、疲れやすさ、意欲がわかない、物事を悲観的に考えてしまう、よく眠れない、食欲がないなどの心身の症状が現れることがあります。五月病を防ぐためには、十分な睡眠、休息を取るように心がけ、自分に合ったストレス解消法を見つけることが重要です。1)
 こういった状況に加え、コロナ禍による影響も大きいことはいうまでもありません。感染状況が厳しい地域では緊急事態宣言が発出され、月末までの期間延長や対象地域の追加も決定されました。様々な環境でそれぞれの方が感じるストレスには違いがあると思いますが、どんな状況においてもストレスと上手く付き合うための気分転換はとても大切です。しかし一方で、これまで通りの気分転換が叶わないこともあるかと思います。私もその一人で、友達と楽しく外食することができないことが残念だなと感じつつも、切り替えて別の気分転換方法を見つけることも重要!と考え、最近はいろいろな音楽を聴いてみたりしています。現状の中で実施可能な新たな試みをしつつ、毎日楽しいなと感じる場面を少しずつ増やしていきたいなと思っています。
 このようなことを考える中で出会った「音楽」に関係するレビューを紹介したいと思います。コクランライブラリ2)で簡易的に検索したところ、「術前の不安」や「冠動脈疾患患者の不安」、「前駆陣痛の予防や治療」、「うつ」、「疼痛緩和」等に関するレビューがありました。また、音楽療法/介入の対象者としては、「人工呼吸器を装着した患者」、「認知症患者」、「嚢胞性線維症患者とその家族」、「癌患者」等が挙げられていました。多くのレビューにおいて、エビデンス構築にはさらなる研究が必要ではあるものの、音楽や音楽療法と不安の軽減に関する効果について述べられていました。

冠動脈疾患患者におけるストレスおよび不安の軽減のための音楽
Music for stress and anxiety reduction in coronary heart disease patients 3)

 このレビュー内の研究では、主要介入は音楽鑑賞でしたが、23件の研究では訓練を受けた音楽療法士は参加していませんでした。音楽鑑賞は、冠動脈疾患がある人の不安に対して中等度の効果を認めましたが、その結果は研究によって異なっていました。また、患者が自ら選択した音楽を用いた研究では不安軽減効果が高くなることも示されています。さらに、音楽鑑賞が心拍数、呼吸数および収縮期血圧を低下させることを示している研究もありましたが、確固たるエビデンスの構築には至っておらず、さらなる研究が必要であると結論付けていました。

 日常生活の中で感じる出来事が新たな研究の着想につながったり、それを臨床で直面する場面と併せて考えることで新たな視点に気づくこともあるかもしれません。新緑の季節、晴れた日には青空を見上げながら、または好きな音楽を聴きながら、思いっきり深呼吸してみると、気分も晴れ晴れ、楽しく過ごすためのtipsが浮かんでくるのではないでしょうか。

1) げんき情報:五月病(一般社団法人大阪府医師会): https://www.osaka.med.or.jp/citizen/tv85.html (2021.5.8確認)
2) Cochrane Library: https://www.cochranelibrary.com/ (2021.5.8確認)
3) Music for stress and anxiety reduction in coronary heart disease patients: https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD006577.pub3/full (2021.5.8確認)

(文責:山田絵里)

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