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「先行研究を全部調べなさい」と言われたら・・・

今日は、大学院生としてシステマティックレビューをやるということの意味についてお話しします。

これまでの記事を見ていただいた方はシステマティックレビューとはどんなものであるかは、ご理解頂けているのではないかと思います。
ただ、自分の修論・博論の研究の枠組みの中に、どのようにシステマティックレビューを取り入れていくかという点では不透明な部分もあるかもしれません。

先に結論から言うと、システマティックレビューをやるということは、文字通り「系統的論文検索」を行うという事ですから、いわゆる学位論文の記述のうち、網羅的な論文検討+αになるということです。
この+αの部分が、ただの論文検討とシステマティックレビューの大きな違いなのですが、それはひとまず置いておきます。

皆さんも、指導教員から「先行研究を全部調べなさい。関連する論文を検索して、これまでに明らかになっていることと、まだ明らかになっていない課題をはっきりさせましょう」と言われたことがあるかもしれません。
しかし、医学中央雑誌やMEDLINEを使って検索して、ヒットした論文を精読して、ゼミで発表しても、「まだ他に論文はありましたか?」と聞かれると、ないとは言い切れないぞ、と思って終わりのない沼に入り込むような気持になるかもしれません。
果たして、何本読めば、いつまでやれば、論文検討を十分にしたと言えるのでしょうか。
看護学の論文はまさに今も増え続けています。先行文献の検索というものに終わりはないのかもしれません。

しかし、学位の取得や助成金を得て行う研究など、一定の期間の区切りがある場合は、いつまでも悠長にしているわけにもいきません。
ある時点までの関連論文を検索した結果を手に入れ、そこから導き出される研究課題に取り組まなければなりません。
そこで、システマティックレビューを行うわけです。

システマティックレビューは、これまでの記事にある通り、対象者やアウトカム(もしくは対象となる現象)などの枠組みを考え、系統的な検索ができるようにデータベースの選択や検索式の吟味を入念に行います。
その上で、得られた結果はまさに、ある時点までに発表された関連論文を調べつくした、と胸を張って言えるものになっていると思います。
そして、重要な事に、システマティックレビューは将来の研究への推奨を導き出します。その時点までの研究で不足している点を明示するわけです。
つまり、それこそが、あなたが次にやるべき研究課題となるわけです。

もし、すでに最新のシステマティックレビューが為されている場合は参照し、そのレビューの検索後に絞った論文検索を行う、というやり方もあるかもしれません。

これによって、

システマティックレビューをする

研究課題を見出す

その研究課題を解決する

システマティックレビューをアップデートする

という、実に明確な研究の流れが出来上がるわけです。

いかがでしょうか。
システマティックレビューも含めて、研究とは医療や社会への貢献を念頭にしてしかるべきですが、大学院生や研究者自身の研究を行うフレームの中に、どう組み込んでいくかということも、僕はとても大事なことだと思います。

もし、看護学のシステマティックレビューに興味を持てば、お近くのJBI連携センターが主催するシステマティックレビュー講習会に参加してみてください。

(古藤雄大)

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いらすとや:指し棒を持った博士のイラスト

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