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注射の痛みは何とかなる?!

コロナワクチン2回接種率が77.1%(12月7日時点)と、多くの人がワクチンを接種されており、また、この季節インフルエンザワクチンを接種するなど、健康な人でも注射をする機会がありますね。

子どもであれば、麻疹・風疹ワクチンなど、多くの感染症予防ワクチンを接種する必要があり、そういった注射の恐怖から、病院嫌いになったり、needle phobia(先端恐怖症)なども起こったりします。

さらには、注射の緊張やストレスによって血管迷走神経反射(副交感神経が活発になることで血圧の低下や脈拍減少を起こす)により失神を起こすことがあります(1)。

注射の痛みを軽減するための対策として、EMLAパッチやクリームを使った表面麻酔麻酔を用いる方法や、母乳を飲ませながら注射をする方法などが使われていますが(2)、今回は新たな方法として「振動刺激」というやりかたで軽減が図られるか確かめたSRがあるのでご紹介します。

皆さんゲートコントロール理論という言葉をご存じでしょうか。たとえば足の小指を角でぶつけたりした際、痛い場所をさすりますよね。この「さする」という行為によって、痛みを脳に伝えるゲートが遮断され、痛みが軽減されるという理論です。この考え方を元に、いくつかのデバイス(例えばBUZZYやDentalVibe、vibration anesthesia deviceなど)が開発されています。これらが本当に痛みを軽減されているのか、メタ分析されました。

Ueki S, Yamagami Y, Makimoto K. Effectiveness of vibratory stimulation on
needle-related procedural pain in children: a systematic review. JBI Database
System Rev Implement Rep 2019;17:1428–63. https://doi.org/10.11124/
JBISRIR-2017-003890.

このシステマティックレビューによると、子どもの痛みを他者評価(親や医両者)もしくは子ども自身による自己評価で評価しており、両方の評価においても「振動刺激なし」より有意に軽減されていることがわかりました。

SRの著者らは、収集した研究の質の低さを指摘しており、プラセボ効果は否定できませんが、なにもしないよりも「プラセボ効果」があることは事実であり、「これがあったら頑張れる」と思える子どもが増えればとってもいいことですね。

(文責:植木)


引用文献)
1)厚生労働省 新型コロナワクチンQ&A https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0073.html(2021年12月7日確認)
2)Shah V, Taddio A, McMurtry CM, Halperin SA, Noel M, Pillai Riddell R, et al.
Pharmacological and combined interventions to reduce vaccine injection pain
in children and adults: Systematic review and meta-analysis. Clin J Pain
2015;31:S38–63. https://doi.org/10.1097/AJP.0000000000000281.



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