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山岡萬之助

「行刑法規改正の趣旨」
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刑政35巻11号 大正11年11月

  監獄官制を改正し、監獄を刑務所に改める等の改正の趣旨を述べたもので、執筆者を明記してはいないが、改正の精神を語り得る立場にあったのは当時の行刑局長山岡萬之助を置いてはいなかったはずである。単に名称を改めただけではなく、監獄職員の待遇向上等も行い、刑務官が単なる罪人の看守ではなく、積極的に受刑者を指導援助する立場にあることを明らかにし、行刑の本旨が実現されるようにという改正であった。
より大きな取組みとして、行刑制度調査委員会を発足させ、監獄法の改正につなげようとしたが、こちらは結局実を結ばなかった。

  大正10年6月から同13年1月までの山岡局長の下で、このほか、少年刑務所職員の服制改正、刑務官の功労記章、就業時間の延長(社会一般の労働状況に合わせようとするもの)、受刑者の被服の色の改正、人誌の発刊など、多くの積極的な施策が展開された。

  なお、監獄という作用法上の名称を維持しつつ個々の監獄に「〇〇刑務所」という名称を付与するという手法は、その後、矯正院法(大正12年施行)下での「〇〇少年院」という呼称に応用され、現在も刑事施設法下で官民協働刑事施設を「社会復帰促進センター」と呼ぶこととなって受け継がれている。


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