見出し画像

正木亮

「累進処遇における責任と自治」刑政47巻2号
(↑クリックするとPDFが開きます)
(行刑累進処遇令実施記念号) 昭和9年2月



  正木亮(明治25(1892)年―昭和46(1971)年)は大正10年から司法省監獄局に係わり、しお季彦すえひこ行刑局長の下で行刑累進処遇令の起草に当たった。 

  この文は累進処遇の中核概念である責任と自主性について論じ、行刑の過程を通じて社会の一員として負担すべき責任を自覚させることで社会生活への適応力を涵養するという理想を述べたものである。

 昭和8年10月司法省令「行刑累進処遇令」(同年11月に刑務所長会同における協議の後、昭和9年1月1日実施)は、それまでの各施設における階級(累進)制の実施を全国統一の制度に集大成し、受刑者の改善更生のための体系的な仕組みを整備したものであったが、その後間もなく日本が戦時体制に入ったことにより十分な展開を阻まれた感は否めない。昭和16年に実現した正木亮行刑局長の下での行刑の運営も当時の国の状況に大いに影響され、その方向・内容は限られたものとなり、正木は戦時行刑の展開に手腕を発揮することとなった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?