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vol.597 理想形をつい目指してしまうぼくたちの罠。(稲田)2024/7/22

仕事において人は簡単に理想形を目指してしまう。小学生が立てる夏休みの勉強スケジュールのように。多分「どうせやるなら」の気持ちが働くんですけど。それでたいてい失敗するか、設計後の実装で苦労をする。むしろ活かしてほしい心理は「これまでやってこなかった自分たち」なんですよね。

「これまでやらなかった自分たちがこんな美辞麗句の理想形なんていきなりできっこない」という自虐にも似た現状把握。そちらの方がリアルだし大切。これについては異論反論を沢山いただきそうですが、ぼくはそう思っています。だって、やった方がいいと分かっていることを放置してこれまでやらなかったのが正体なんだから。

放置という言葉が適していなかったら、「後回しにしてきた」だと思います。後回し自体は悪ではありません。優先順位なんだから。ただ、社内で優先度が低かったテーマを取り上げて皆が急に積極的に取り組むなんてまあ無いですよね。あるかもしれませんが、殆どの会社に当てはまるなんて思えない。少なくともぼくは全然できる気がしない。他人が情熱的に書いた東大合格への勉強スケジュールを翌日から完璧に実行できる人はかなり稀じゃないでしょうか。ぼくはできない。

消極的なマインドほど理想形と相性が悪いものはありません。そして人の心ほどコントロールが難しいものはない。というかコントロールなんてできないし、すべきでもない。だから制御すべきは人心ではなく方針ですよね。理想形にしないこと。

とはいえ、プランを立てるのは楽しい作業です。あれもこれもとやりたくなるし、「どうせなら」の気持ちが働いてしまう。何かの仕事を立ち上げる際に現状把握と目的設定から始まることがほとんどだと思いますが、プランニングを担当する人たちは自分たちの心理状態を自覚することが大切だと思っています。ちょっと特殊な興奮状態なんですよね。

「そもそもさ」とか「こうあるべき」みたいな言葉が出てきたら要注意。ドキュメント的に正しくても、実際にはそぐわないことなんて山ほどあります。レシピは合っていても材料が揃ってなかったらカレーは作れないですよね。それと一緒です。正しさに寄りかからないこと。

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