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どんな感染症対策をするのか、という話

今大会の開催を実現するためには感染症対策がとても重要だと考えています。そこで今回は、これまで取り組んできた、そして今大会で取り組む感染症対策について、概略を説明します。

JBFAが新型コロナウイルス感染症の影響を初めて受けたのは、2020年2月に開催した大会でした。同月に開催した2つの大会のうちのひとつは、海外からクラブチームを招聘する予定でしたが、渡航直前で感染症の影響を受け来日することができなくなりました。 

もうひとつの大会は、体験会等の併催イベントを中止することでの規模を縮小しての開催でした。その後、3月に開催を予定していた「Santen IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ 2020 in 品川」は中止になるなど、より大きな影響を受けるようになります。 

同年4月から本格的にコロナ禍における大会運営の方法を検討してきました。そして、実際に2020年10月〜11月および2021年3月〜4月に開催した国内大会で、それらの対策を実践し、経験してきたことも重要でした。 

〜大会開催可否に関する考え方〜

大会を開催する方法を検討すると同時に、中止にするプロセスを常に考える 

JBFAは競技団体ですので、どのような感染症対策を講じることで大会を開催できるかを検討しています。ただ、「大会を開催すること」を結論ありき、一辺倒で検討するのではなく、感染状況がどのような状況になったら中止にするのか、その条件も常に踏まえながら感染症対策を検討しています。 

例えば、2020年10月〜11月に開催をした国内大会では、「開催1ヶ月前の時点で大会開催都市に政府の緊急事態宣言が発令されていないこと」と決め、大会開催自体を中止にするプロセスも作っていました。 

今大会では以下のように大会開催条件を定義しています。 

【大会開催条件定義】 
国際大会開催は、大会開催1か月前に下記の条件が課されていないこととする。
(ア)大会開催都市を対象とする政府の緊急事態宣言が発令さている。ただし、スポーツイベントの開催が制限されていない場合は除く。 
(イ)海外からの参加国が、入国後14日間の隔離を、日本政府から義務付けられている 
(ウ)また、1か月前の時点で主催者が大会開催を判断をしていたとしても、大会当日までに(ア)または(イ)が発令された場合は中止とする。

〜感染症対策の3つのポイント〜


①持ち込ませない対策
そもそも感染症の原因となるものを持ち込ませない対策です。これまでの国内大会では、大会2週間前から全ての大会会場に来られる方には健康記録、行動記録の提出を義務付けしています。そしてこれらの記録をもとに、咳などの感染症の症状を有している者や1日でも記録漏れがある場合は会場に入ることができないというルールを決めていました。 

今大会にはこれまでの対策に加え、厳しいゾーニングに入る、チーム、審判、大会運営スタッフには大会開始2週間前、3日前の感染症の検査を義務付けるなど、これまで以上に対策を講じます。 

また、参加国に対しても、出国前から厳しい対応を要請しています。 
・渡航15日前からのPCR等による検査実施 
・全ての検査で陰性ではないと渡航できないルール 
・日々の健康管理の提出 
・感染症対策責任者の設置 等 

②閉じ込める対策
万が一、感染症が発生しても、閉じ込めることができる対策です。国内大会では、試合会場を占有化することなどで試合会場を物理的に一般の方と遮断している状況を作り、感染症が発生した場合も一般の方と隔絶できる対策を講じました。 

今大会では、試合会場に加えて、ホテルのフロア貸し切りや試合会場までの移動も専用バスを手配しています。このような準備をすることで大会期間中は、チーム、審判、一部の大会運営スタッフは一般の方とは接触できないようにします。そして、万が一、感染症が発生した場合も、一般の方と感染症を隔絶できる対策を講じます。 

・入国後、フェーズごとに、接触できる人の定義と管理 
・ホテル、移動における隔離
・会場ではゾーニングを2段階で設定し、接触人数も制限
・接触確認者アプリの全参加者への導入 等

③拡げない対策
感染症を拡げない対策です。この「感染症を拡げない」には2つの意味があると考えています。
  
1つ目の意味としては、試合会場に感染症が持ち込まれてしまった時に「大会関係者内で拡げない」です。試合会場内で感染症を拡げない対策としては、マスクを着用、消毒を行う、ソーシャルディスタンスを保つことの感染症対策の基本を徹底することです。

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2つ目の意味としては「一般の方に拡げない」です。一般の方に拡げない対策としては、これまでの国内大会でも大会終了後2週間の健康記録、行動記録を義務付け、万が一、大会終了後に感染症が発生した場合も、濃厚接触者を特定できるようにし、感染を食い止めることができる対策をしてきました。 

今大会では、当初より無観客試合を決定。これまでできる限り多くのお客様に、生で観戦いただくことに努めてきた我々ですが、無観客によって、人の移動と、不特定多数の方々の接触を抑えることができます。 

・無観客試合による、不特定多数の方々の接触の低減
・会場の来場者人数の大幅な減員
・「閉じ込める対策」と合わせ、接触できる人たちの定義と管理

*   *   * 

感染症対策に完璧はなく、さまざまな方針やルールを策定しても、実行できなければなりません 。現在も、どのようにその実行力を高めていくことができるか、検討と検証をして準備を進めています。 

見えない闘いは、ここにもある。 
果たして、開催すべきだろうか。 
果たして、世界は待ち望んでいるだろうか。 
世界が「見えない」闘いにある今、私たちにできることはあるのだろうか。 
答えが見えない中で私たちができることを。 
社会と、皆さんとともに実現できるやり方で。 
それこそが、私たちにとっての闘いなのだから。 


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文責 
松崎英吾(NPO法人日本ブラインドサッカー協会 専務理事兼事務局長) 
宮島大輔( Santen ブラサカグランプリ 2021 運営委員長)