推定有罪と私刑を希求する人々について

 以前勢いに任せてまとめかけたが、途中で飽きてしまって放置していた下書きを発見した。
 でも、ある種の思想背景を持つ人々の生態を知るには、非常に良い事例だと思うので、まとめなおした。

それは「草津MeToo事件」と言われている騒動について、だ。
まず、一連の騒動に対する秀逸な論考👇を紹介しておく。
この件のみならず、昨今のキャンセルカルチャーそのものに対する問題提起としても非常に優れた論考だと思った。
「草津バッシング事件」の教訓…「推定有罪」に疑問を抱かない人びとの恐ろしさ(御田寺 圭) | 現代ビジネス | 講談社(1/8) (gendai.media)

町長が不起訴になってなお、「推定有罪キャンペーン」に加担したことについてろくに謝罪もせずに逃走するかだんまりを決め込み、中にはようやく口を開いたかと思えばまるで他人事のように無責任な放言を続ける著名人もいるなど、目に余る光景が広がっている。この程度の浅薄な責任感の人びとが集まって、国内外に不正確な情報を拡散し、「MeToo」アクティビティを展開していたのだということを、我々ははっきりと記憶に留めておく必要があるだろう。

言論業界では、このムーブメントを内心では苦々しく思っていながら社会的立場が危うくなることを恐れ、なにも発言しなかった者たちばかりだった(それどころか草津町を「因襲まみれの陰湿な田舎」などと揶揄したりする者さえいた)ことには失望を禁じ得なかった。「推定無罪の原則」や「手続き的公正」があっさり省略され、人が私刑にかけられている様子を、わが身可愛さのあまり黙って眺めているようでは、言論人をやる資格はない。

たとえ被害救済が目的であろうと、「MeToo」というロジックは、本質的にはひとりの人間の権利や自由などたやすく踏みつぶす、超法規的で圧倒的なパワーを有する「自警団的な暴力」になりうる。だからこそ、このムーブメントを支持し、その社会的必要性を強調する者ほど、「MeToo」が法治主義社会とどうにか折り合いがつけられるよう、公正かつ妥当に運用されるよう努力を惜しんではならなかった。たとえば虚偽の告発などによって「ハック」されるリスクを厳重に監視し予防していく必要があった。
(中略)
――だが「MeToo」を支持した人びとは、これらの一切を怠った。
怠っただけならまだしも、そうした相対的で批判的な議論が起こりそうになろうものなら「二次加害をやめろ!」といった声を上げて、これを封殺する側に回ってしまった。
かれらは、告発の妥当性そのものではなく「MeToo」という運動の問題点を指摘する者に対してすら「二次加害者も同罪だ!」として激しく糾弾してきた。ゆえに自己批判が不可能になり、運動の内部で「相対的議論」を提起することすらできなくなるという自縄自縛に陥っていたのではないだろうか。

「法治国家」の土台をつくった先人たちはなぜ、その共同体で暮らすすべての人から「自力救済」の権利を取りあげ、有形無形を問わず暴力の行使をきびしく制限し、その救済をわざわざ「法」という名の第三者により間接的に行うように取り決めたのか。
いまならその理由がはっきりわかるだろう。こうならないようにするためだ。
どんな凶悪な犯罪の被告人にも反論の機会が必ず用意される「対抗言論の法理」がなぜあるのか。だれの目にも明らかな極悪人にであっても公正な裁判を受け、弁護士をつける権利がなぜ憲法で保障されているのか。繰り返し述べよう。こうならないようにするためだ。

「推定有罪で人を断罪すること」及び「私刑を容認すること」は、無秩序と混沌を生み出す。暴力の肯定、文明の否定そのものだ。平和を望む者であれば、最も警戒すべき事態のはずだ。

以下、当事者たちの言葉を。

新井祥子氏(妄言を垂れ流した本人)

「黒岩町長が私をレイプしたことは事実です」
「草津町では女性はモノ扱い、女性は権力者の愛人になれば湯畑周辺で店を持たせてもらえる」など。
その後👇
2023年11月2日の記事

元町議の女は本人尋問で、書籍に記された黒岩町長との肉体関係はなく、性被害を訴えた記者会見の内容も虚偽があったと明かした。

こういう人は、昔から一定数存在する。他人はできる限り信じたいが、こういう災厄のような人間が決して少なくないことは忘れてはならない。
そもそも証言だけで事実を推定することは非常に難しいのだ。だから物的証拠が重要視されるのだ。
大人であれば、こんなことは「常識」としておかなければならない。

飯塚玲児氏(新井氏の妄言を拡散したライター)
「草津温泉 漆黒の闇5」という自費出版本。
「草津町長が町長室で不適切な関係⁈女性議員が真相を激白!これ以上、草津の女を虐げないで!」とのこと。

後日、改めて確認したら、上記ページは消えていた。
早晩消えると思ったのでスクショを取っていたが、魚拓も残しておけばよかった・・・
その後👇
一応、きちんと非を認めている。

被告は元町議の女性(名誉毀損などの罪で在宅起訴)へのインタビュー内容を「迫真的で齟齬(そご)や矛盾がなかった」と弁明。町長に取材しなかったことについて、「本人のセクハラを取材しても認めるはずがないと分かっていた」とした。

取材が甘かった、黒岩町長を糾弾したいがために勢い余った、ということなのだろう。

新井祥子元草津町議を支援する会(妄言を鵜呑みにして、事を大きくした集団)
新井祥子元草津町町議を支援する会のFBより。

「告発の真実を見抜き」という文言、今見ると苦笑するしかない。
その後👇

言い訳は以下の通り。

私たちは悪くない、だまされてただけだ、町長の対応に問題あったからだ、とのことだが・・・あれ?謝罪はどこ??
と思ったら、2か月後の解散声明でようやく謝罪していた。

大人であれば、先にきちんと己の非を認め、そのうえで言い訳すべきだった。

草津町長の黒岩氏による
草津町を「セカンドレイプの町」と呼んだフェミニストらの横暴を許すな 黒岩信忠(群馬県草津町長) - 月刊正論オンライン (sankei.com)
騒動の顛末とともに、誰が煽ったのか、についても記載されている。
そのうち、「一般社団法人Spring」は、昨年12月5日に公表した「草津町フラワーデモに関する当団体の見解について」で謝罪していた。

性暴力の虚偽の訴えは、名指しされた方の人生を大きく狂わせる人権侵害であり、そのような人権侵害行為を行った元町議の女性に、当団体が連帯の意思を表明したことについて、ここに撤回し、ご迷惑をおかけした皆様に、お詫び申し上げます。

 2020年12月当時、当団体の初代代表理事が「レイプの町草津」と表現しましたが、これについ ては初代代表理事自身が表現が行き過ぎていたとしてお詫びするとともに「セカンドレイプの町 草津」と訂正しました。
しかし、元町議の女性がレイプ被害は虚偽申告であったことを表明するに至った現在では、「セカンドレイプの町草津」との表現についても行き過ぎた表現であり、草津町に住まわれる方だけ でなく関係する多くの方を傷つける表現であったことを、当団体として率直に認め、これについて 連帯の意思を表明したことについて撤回し、草津町町長黒岩信忠様及び草津町並びに関係者 の皆様に対し、重ねてお詫び申し上げます。

なお、上記の「初代代表理事」、とは山本潤という人物だそうな。
上記引用にある口にするのも忌まわしい言葉は、「現在」だけでなく「2020年12月」においても、現在の草津町民のみならず先人が紡いできた歴史も含めた「草津という町そのもの」に対する暴力、としか思えない。

暴力に対して敏感であるべき人々が、なぜこのような重大な暴力を軽率にふるうことができたのか、その感性が全く理解できない。


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