軽々しく「反ワクチン」という言葉を使う愚か者どもへ

以下の記事の最後で、予防接種に懐疑的な人物を直ちに陰謀論者に結びつける発想を否定し、過去の予防接種禍に興味を示すように言った。

 私は現行の予防接種に関しては、接種しておいた方がいいもの、無理に接種する必要がないもの、そして接種しない方がいいもの、が混在している、と考える立場だ。「接種しておいた方がいい」といっても、接種後に感染源に暴露した際に絶対に発症しない保証も、接種により副作用(副反応)が絶対に出現しない保証もないのだから、強制(事実上の強制も含めて)などはもっての外だ。
 さらに、ある程度衛生状態がよく、安全な水が手に入り、しかも国民皆保険である我が国においては、「社会のために、他者のために」接種を考える必要性は無く(正直、「無い」と言い切っていいのか疑問は感じるが、あえて言い切る)、あくまで「個人のために」接種を考えればいい、と考えている。
・・・という発想は、推進派の奴らにとっては「反ワクチン」になるのだろうな。いや、分かるよ、3年前は私も推進派に近い発想だったような気がするから。私自身、上記の発想はこの3年で得たものだから。でも、流石に、少なくとも医療従事者で、未だに「反ワクチン」という言葉を軽々しく使用している人間は、それだけで軽蔑に値すると思うのだ。

とりあえず、下記に示す本を読むことを勧める。各書籍に対して、ごく簡単にコメントしておく。

副題どおり、戦後の予防接種行政の変遷がよく分かる。以前、この本を参考に記事を作成したこともある。
この本を読むだけで、予防接種問題は反対・賛成という単純な思考で解決できる問題ではないことがよく分かるはずだ。後世に残る名著だと思う。

「戦後行政の構造とディレンマ」の出版後に起こった予防接種に関する動きがまとめられているのみならず、政策決定に関与する要素(思想背景)の分析や、ワクチンに対する言説を裏付ける思想背景の分析など、非常に興味深い考察にあふれた本である。
さらに、過去の予防接種禍における複数の当事者のインタビューを惜しみなく掲載し、現行のmRNAワクチン禍についてもきちんと言及されている。
「戦後行政の構造とディレンマ」をさらに深めた本であり、かつ「攻めた」本である。著者は、最悪自費出版になることを覚悟していたそうだ。

これは予防接種禍のみならず、過去の過去の数々の薬害について、当事者や支援者が語った本である。いうなれば、戦後医学の負の一面を知ることができる本だ。
自身の今までの無知を反省するとともに、これだけの教訓があったのに・・・という思いを禁じ得なかった。

同じく薬事日報から。この本の第1~3章を読めば、なぜ治験というものが必要で、かつ厳格なものであるべきなのか、がよく理解できる。このプロセスを無視することが如何に異常で、それを許容することが如何に歴史的に無知な行為であるか、がわかる。
現行のmRNAワクチン慎重派である人間を「反ワクチン」と呼ぶ人間は、「反医療倫理」である、としてよい。


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