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【Season2 vol.5】JATO ATCリレー:木畑実麻さん

2020年6月よりスタートしたJATO ATCリレー Season2の第5走者は、加古円さんからバトンを受け継いだ慶應義塾大学スポーツ医学研究センター所属の木畑実麻さんです!

現在、慶應義塾大学スポーツ医学研究センターで学生アスリートのサポートをされているほか、各種団体にて講師活動や、中高一貫校の保健室で養護教諭としても勤務され、幅広くご活躍されている木畑さんのインタビューをお届けします。

木畑さんは、この多忙な日々をどのようにマネジメントされているのでしょうか?

是非ご一読ください。

ATCになろうと思ったのはいつですか?また、その理由を教えてください。

1木畑さん

ATCを目指したのは、大学4年生になってからです。

当時は文学部で教育社会学を専攻していましたが、部活でサッカーをやっていて、ケガが多く、その当時に大学内でお世話になった方がATCで、そこで初めてアメリカでAthletic Trainingという専攻があること、ATCの資格を知りました。

漠然とスポーツに関わる仕事がしたいとスポーツ関連の企業などに就職活動をする中で、「子どもから高齢者まで、障害のある方も含めて運動・スポーツが安全にできる環境づくりに貢献したい」という思いが言葉になり、その為に自分の強みになるものが欲しいと思ったことが一つ。

国内で鍼灸・柔整などの医療資格取得も考えましたが、ケガをして困った時に治してあげることよりも、ケガをしない身体作り、環境整備、教育啓蒙に関心があったので、ATCを目指す事にしました。

また単純に、留学への憧れもありました。

4きばたさん

今、どんなお仕事をされていますか?

慶應義塾大学スポーツ医学研究センターにて、体育会各部の学生サポートとして、整形外科医の下で、スポーツ復帰のリハビリ・ケガ予防指導を行っています。

平行して、女子サッカー(2012-2016)・男子バスケットボール(2014-現)にチーム帯同をしています。

また、一般社団法人輝水会理事として、高齢者・障害者への水中リハビリテーション指導、スポーツを用いた社会的リハビリテーション(リハ・スポーツ教室)の実施・普及活動、今年度より私立中高一貫校にて、非常勤養護教諭として保健室に勤務もしています。

その他、大学・専門学校のスポーツ医学や健康医療関連の授業や、NPO法人スポーツセーフティージャパン、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)等にて、講師活動も行っています。

8きばたさん

現在の1日の流れを教えてください。

日によってスケジュールが異なり、週2-3日大学に勤務(学生のリハビリ指導を30分毎の予約制で実施)、週2日中高保健室勤務(来室生徒のケガや体調不良の対応や学校保健関連の事務作業)、それ以外の日に大学・専門学校での授業や輝水会の仕事や講師活動を行っています。

今年はコロナの影響で帯同チームの試合がまだありませんが、例年は秋のシーズン中は土日に試合帯同が入るので、平日休みを作れるようにしたり、オフシーズンの仕事を週2-3にするなどして調整しています。

1日の流れは、8-9時に自宅出発、勤務先へ。

10-17時位で勤務があり、移動時間や空き時間を使って、帯同チームの選手やスタッフとの連絡など、その後保育園に娘のお迎えをして、帰宅。

朝晩に事務作業を…と思うもののできない事の方が多く、気づいたら1日が終わり、1週間が過ぎという日々です。

ご自身の仕事の好きなところ、やりがいを感じることについて教えてください。

現在関わらせていただいている現場は、大学生スポーツ、中高保健室、障害者のリハビリ、講師活動と多岐にわたりますが、ATCとしての知識、経験をフル活用して、様々な現場に関われること、それぞれの現場での経験が他の現場でも活きることが、ここ数年面白い、と感じているところです。

そして、単純に目の前にいる人の笑顔、何かができるようになった瞬間に立ち会える事が楽しいです。

6きばたさん

ご自身の専門性は、日本の社会でどのように貢献できると思われますか?

帰国後、国内の資格(健康運動指導士・養護教諭免許)を取得しましたが、その養成課程を受ける中で、ATCの知識やアスリートへのトレーニング指導やケガ予防、安全管理の考え方が、一般の人を対象にする際にも共通する、応用できる事を感じています。

ATCを自分のバックボーンとして、そこに各現場で求められる役割を合わせて、何ができるかを日々模索しています。

サポートをする相手がスポーツ選手にしても一般の人であっても、相手の問題(ケガや身体の不調)に寄り添い、 共に解決方法を見つけていくこと

また、そもそもその問題が起こらないように、トレーニング指導をしたり、安全面の予防策を講じることができる点はATCとしての強みだと思います。

当然、そのための知識、技術は大事で常に勉強が必要ですが、それも含め、対象に合わせて必要なことを集め、周りのメンバーと協力して作り上げていくことができたらいいなと思っています。

今後の目標や展望を教えてください。

大学スポーツに関わる中で、もっと下の世代の学校現場におけるスポーツセーフティーや子どもの健康教育に関心を持ったこと、そして、障害者や高齢者へのリハビリを通して、健康への関心や自分の身体は自分でつくる、守るというヘルスリテラシーを一般の方々に伝えていきたいと思い、教員免許を取得しました。

学生時代にお世話になった方がおっしゃっていた「30代は、自分が40代でどうなりたいのかの準備」という言葉が非常に印象的で、40代はもちろん、その後もやっぱり「現場」にいたいという思いがあるので、スポーツチーム帯同やリハビリ指導以外の現場に関わる形を広げていきたいと思っています。

今は、自分が現場に飛び込み、実践する、ATCという存在を知ってもらう、そこからそれぞれの現場・対象に、継続して実現可能なこととして何ができるのか(自分が、そして制度や仕組みとして)を見つけ、形にしていくこと、また、ATの知識や考え方、スポーツセーフティーリテラシーを学校現場や教員養成の段階で広めていく事ができたらと考えています。

7きばたさん

あなたにとって、JATOはどんな存在ですか?

様々な分野で活躍する先輩後輩と繋がれ、自分ももっと頑張ろうとパワーももらえる場です。

留学中は日本でATCがどういう形で仕事をしているのかを知る機会が限られていたので、帰国後間もない頃にシンポジウムに参加し、多くのATCの先輩方とお話させていただき、自分の働き方を考えるきっかけにもなりましたし、実際にお仕事を紹介していただく機会もあり、今につながっています。

また、シンポジウム委員としても何年か関わらせていただきましたが、委員や理事の皆さん、協賛企業の方とお話する中で、日本の、スポーツ・AT業界をよりよくしていきたいという熱い情熱に沢山刺激をもらいました。

2きばたさん

中高の保健室で養護教諭としても活動されていますが、活動する上でATCとしての経験をどのように活かされていますか?(リレーを繋いで下さった加古さんからの質問です。)

保健室とATルームは対象が異なりますが、機能役割としては非常に似ています。

ケガの対応や体調不良者の対応が、外に見える形での主な業務になり、そこでATCとしての経験が活かせる点は多くあると思います。

ただ、それ以上に、教職員や元気な生徒との日頃のコミュニケーションや、行事や健康診断など学校保健活動の準備、特に今は感染予防のための備品準備や対策などの外に見えない形の業務を、いかにもれなく、丁寧に、かつ周りから忙しいと思われないように淡々と行っていけるかが、生徒が安心して学校生活を送れるようにするためには一番大事で、ATCの経験からも共通する点なので、周りに目を配って仕事をしていきたいと感じています。

とはいえ、今年度から始めたばかりでコロナ休校もあり、まだまだ慣れず、学校現場や中高生の対応は日々勉強です。

あなたにとって、ATCは<ひとこと>で言うと、どのような職業ですか?またその理由を教えてください。

常に成長できる、良い意味で終わりのない職業だと思います。

ATCとして働き始めてすぐの頃にサポートしたアスリートに、こうすればよかった、今ならもっとできることがあると、感じることが多々あります。

そのアスリートには申し訳ない気持ちになりますが、その時の経験や何もできなかった悔しさがあるからこそ、この仕事を続けているし、今後関わる人に対して自分が貢献できるように成長していきたいと思える、終わりなき幸せな職業です。

3きばたさん


【編集後記】木畑さん、お忙しい中インタビューにお答えいただき、どうも有難うございました。競技スポーツや一般の方の水中リハビリテーション指導、そして、中高の養護教諭までマルチにご活躍されている木畑さんの飽くなき情熱が良く伝わってきました。これからも、終わりなき旅を楽しみ、ご活躍されることを期待しています。さて、次回は木畑さんがハワイ留学時代にお知り合いになった「姉御的存在」という方がご登場予定です。こちらも楽しみにしていてください。

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