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どうしてオーストラリアには学習塾がないのか?

オーストラリアには学習塾がほとんどありません。

多くの日本人は、オーストラリアや欧米諸国には塾がないことは理解していると思います。ただ、どうして塾がないのか?を多くの人が簡単に文化の違いだと考えているような気がします。

今日は、なぜオーストラリアには塾がないのか?を説明できればと思います。

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塾がないのは、文化の違いではなく、教育システムの違い

塾がない理由は大きく3つ挙げられます。

中学受験、高校受験がない

成績をつける上でテストの得点が大きく影響しない

私立の学校の授業料が非常に高い

受験がない

一部の州の公立の選抜学校のセレクティブスクールの受験以外に学力テストによる選抜はなく、基本的に面接になります。(先着順)また、公立の学校であっても、日本のような学区割がなく、自由に学校を選ぶことができます。そのうえ、転校も自由なので自分に合った学校を選べます。

また、オーストラリアの大学入試制度は、学校の成績による得点が50%加味されるので、進学校に入学するメリットはそれほど大きくありません。成績も、難しい問題を解けるかが評価基準ではなく、理解度の到達が成績基準ですので、それほど塾で補習をしなければいい成績が取れない。と、悩むこともありません。

テストの得点が成績に占める割合が低い

オーストラリアでは、日本と違い、知識よりも、レポートの提出やプレゼンテーションの能力を重要視しています。自分が考えたことを、しっかりとまとめて、みんなの前でしっかりと説明できる能力を伸ばすことが大事だと考えています。

ですので、学期末にテストも行いますが、実際はプレゼンテーションなどのアサイメントが成績をつける上で比重が自然と高くなっています。アサイメントは自分で与えられた課題から何を学ぶかを考え、そして、みんなにわかりやすくまとめて発表するので、テストで高得点を取るテクニックにはそれほど魅力はないように感じます。

教育費の高さ

学区割が当然のようにあり、できるだけ学校の個性を際立たせない日本の公立の学校と違い、オーストラリアでは、公立、私立を問わず魅力的な学校づくりを行い、多くの家庭から選ばれるように努力をしています。また、子供を持つ親も、学校に対しては、勉強だけではなく、いろいろな課外活動や独自のプログラムを期待しています。

私立の学校では、シドニーでは、小学校でも学費だけで100万円以上+教材費や活動費用がかかり、高校では年間300万円以上の費用がかかる学校がほとんどです。学校に厚い信頼を寄せているので、塾に通う必要性はありません。

結論

塾がある日本が教育熱心であって、塾のないオーストラリアはそれほど教育に積極的ではない。と、思われているかもしれませんが、現実には、教育システムに大きな違いがあります。

入試のための予備校のような位置にある、日本の学校と異なり、オーストラリアでは、教育のカリキュラムが、受験ではなく、将来の社会生活に交えて学習を行います。

また、数学などの勉強でも、銀行の利息計算やグラフの読解など実用的な勉強を行うだけでなく、ワードやエクセルを使ってプレゼンテーションの制作や関数等の勉強を行います。当然、すべての生徒がワード、エクセル、パワーポイントを使いこなせます。

日本の場合は、他の国に比べて極端な英語教育の遅れなど、昔のシステムから、新しいシステムに積極的に移行することを拒み、高校生がエクセルを使いこなせない。という信じられない教育を行っているわけです。

実際に日本人の留学生のオーストラリアでの学力は中国や韓国、ベトナムなどのアジア諸国に比べて圧倒的に低く、シャイなわりに、異常にプライドが高い国と感じます。

塾があっても、なくても構いませんが、最低限英語教育の充実と、時代に合わせたテクノロジーを使った教育を進めてもらいたいと思います。

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