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【遊戯王MD】VSの面白さ

 今回はVS(ヴァンキッシュソウル)の話題だ。いつも変なデッキの話しかしていないが、たまにはガチテーマについて語ったりもする。

 ただ、別にこれを読んだところで回し方や勝ち方がわかるわけではない。ひたすら「VSって……いいよね……」と言ってるだけの記事だ。

 

 さてVSだが、これは私が初めてガチ対戦をすることに面白さを感じることができたテーマだ。

 というのも、私はリリース当初からずっとランクマッチやデュエリストカップといった「環境レベルでの遊戯王」が楽しいと思えず、友人戦によってなんとかモチベーションを継続してきたタイプの人間なのだ。

 という前提を置いておき、ではなぜVSは良かったのか?楽しめたのか?という話をしていきたい。


VSの概要

 まずさらっと、構成やテーマの動きについて触れる。

 VSは炎・地・闇の3属性のテーマであり、
下級に各属性が1体ずつ、
上級に炎が2体、最上級に闇と地
そしてEXにVS名称を持たないリンク1が1体存在し、モンスターが計8枚となる。

 下級は地以外出たときの効果があり、上級はやや変則的な条件で場に出てこれ、最上級は場のVSと入れ替わることで出せる。
 また共通項として、手札の特定の属性を見せることで効果が発動できる。

 

VSの面白さ 

 さて紹介もそこそこにしておき、VSについて語りたいポイントが3つある。

①情報アドバンテージをコストにする
②手札誘発を使うと不利になる
③トリッキーすぎる入れ替え戦

一つずつ説明していこう

 

①情報アドバンテージをコストにする

 先程VSは手札の属性を見せることで効果を使えると説明した。
 これは一見タダ撃ちしているように見えるが、手札を見せることによる潜在的なアドバンテージの損失が起きている。

 たとえば先行1ターン目、炎の見せ札がうららしかなかったら?見せることで効果は使えるが、相手にうららがある想定で動かれてしまう。
Gを見せ、指名者がなければ相手は最初からローリスクなルート選択をするだろう。

 VSのコスト概念は手札誘発を大量投入する現代遊戯王の環境戦を強く意識したものであり、言ってみればガチ対戦でしか見えてこない。

 「召喚権を使った初動にうらら合わせられたら負けです。G撃たれれば負けです。」みたいな時代ならいざしらず、現環境のトップは「うらら当たろうが動ける、G当たろうが止まれる。」が最低条件なので容易に貫通してくるし、見せてるなら余計リターンの安いところで使わされるだろう。

 最重要カードであるラゼンに触るため、ステイクユアソウルでうららを見せなければならない。という場面が頻発するのも特徴的だ。

 うららを見せた場合「もう手札に他の炎は無いのだろう。」という情報も抜かれてしまう。

 VSというテーマ性は手札誘発と強く結びついているんだな。という所の説明ができたところで、②に移る。

 

②手札誘発を使うと不利になる

 手札誘発とは手札から捨てることで相手を妨害する札。つまり誘発を使うと見せ札が減るのだ。これが非常に困る。
 誘発を切って相手を止めるか、後から見せ札にするために我慢するか、常に考えることになる。

 ところで、見せ札の中で最も重要な属性は何か?個人的にVSの中で重要と思っているのは「ラゼン」「ジャオロン」「ヘヴィボーガー」「ヴァリウス」の4体なのだが、それぞれの必殺コマンドが
・ラゼン : 炎闇 同じ縦列のモンスター破壊
・ジャオロン : 炎炎 テーマ何でもサーチ
・ヘヴィボーガー : 炎地 1500バーン
・ヴァリウス : 炎地闇 選んで1枚破壊
となっている。そう、炎が一番重要だ。

 ジャオロンなんて炎炎なのでこいつを使おうとすれば高確率でうららを見せるハメになる。無法な効果だけどそこでバランスとってるんだな。

 ジャオロンとヘヴィボーガーはまあ、優先権が移り次第即打てばいいので困ることは少ないが、問題はラゼンとヴァリウス。フリチェ破壊は特定タイミングまで待ちたい。

 またさらに、ジャオロンの必殺技コマンドであるスノーデビルも三属性見せれば全破壊できるため、できるだけシャクれるタイミングで打ちたい。

 つまりこのテーマはうららの価値が他と比べられないぐらい重く「本当にうららを今切ってしまって大丈夫か」という選択に晒され続けることになる。

 また後手まくり用のカード、例えばドゴランを炎枠として入れている場合も特有の悩みが発生する。大体壊獣は自分が動くより前に投げたいものであり、見せるより前に手札を使ってしまうのだ。ここでも壊獣を使う、使わない、どちらのほうが後の状況が良いのか考えなければならない。

 

 これがVSの戦略に深みを出しており、VSが最新環境と不可分である理由だ。

 最初はカジュアルデッキにVSを使っていたが、カジュアルなら別に見せて困るカードは殆どないため、ただただリソースが無尽のテーマというだけになってしまい面白みに欠けていた。

 ガチ対戦でこそ面白いテーマ。VSの名を冠するだけのことはある。

 

③トリッキーすぎる入れ替え戦 

 VSの最上級は場と、メインフェイズの間フリーチェーンで入れ替わることができる。さらに必殺技効果もフリーチェーンなので、優先権が移らない状況であればそのまま使える。

 またロックオヴヴァンキッシャーも重要で、これまたメインフリチェで無からVSを場に出力することができる。

 これらにより複雑な立ち回りが可能になり、戦略に深みが出るのだが、もっと大事なことがある。「メチャクチャうまぶれるポイントが多い」のだ。

 こっちのラゼン召喚に泡投げてきました。ボーガーと入れ替えて躱します。はい俺うまい。

 相手がクシャトリラユニコーン出したのでロックオヴで軸合わせてラゼン出しました。実質パーピヤス縛ってます。これはうまいやろ。

 コンテニューで蘇生したパンテラをヴァリウスと入れ替えることで、ヴァリウスのフリチェ破壊に属性足りました。今うまかった俺。

 

 自分で書いててウザいが、こういう小さな喜びを感じるシーンが細かくあるのは個人的にすごく重要だと思っている。これが少ないとだんだん飽きてくるのだ。
 展開が一本道だったり固有のワンキルルートを辿るだけ。みたいなデッキはデュエルごとの起伏が少なくて大体使い込むまで行けない。

 また展開の話をすると、VSに明確な初動やキルルートは殆どない。動き方が手札の質に完全に左右されるので、毎試合違うアプローチが必要になる。初手にラゼンあると絶対的に嬉しくて、そこからジャオロンだせたらほぼほぼ理想みたいな流れはあるけどね。

 デッキ内で1枚で完結していない上級を多数有してるため、そこそこ事故りやすいというところも重要ポイント。

 この不安定さと異常な対応力が合わさり、遊戯王という特異なカードゲームにおいて受け身のデッキ=コントロールデッキを成立させている。これが本当に面白い。

 

 読み合いが華の格ゲーをテーマにして動きをコントロールにするのすげぇセンスあるよね。
 小テクで鼻高々になってる様子が、強技擦って俺うまいやろしてる格ゲーマーに似てるからって理由だったら更にセンスあると思う。

 

まとめ

 ここまで語ってきた内容を要約すると「考えることがいっぱいあって難しく、手札誘発に特有の制約をかけるが、やれることが沢山あって、相応に気持ちよくしてくれるテーマ。」ということになる。拗らせたカードゲーマーが好きそうすぎ。
 私ももれなくこの辺の性質が刺さり、いそいそとランクマに通うことになった。

 特に手札誘発の使い方に縛りがかかるのが良い。個人的に「デッキと特にシナジーのない、ただ妨害するだけ、ただ捲くるだけ、みたいなカードを極力入れたくない」というめんどくさいこだわりがあるのだが、うららやGもVSのテーマカードのように思えてきて使う抵抗がなくなる。

 というわけで、異常デッキによるクソカジュアル戦だけでなく、VSのおかげで環境でのデュエルも楽しんでいますよ。という話でした。


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