【遊戯王MD】火霊の話をさせてくれ
火霊術 ー「紅」というカードがある。
2005年発売のサイバネティックレボリューションというパックに、他の3霊術とともに収録されたもので、そろそろ登場から20年が見えてきている。
効果は炎モンスターをリリースすると元々の攻撃力分のバーンダメージを与えるというシンプルなもの。3000与えれれば上々といったところでワンキルには届かない。
2枚消費してバーンするだけのカードなのでボードアドバンテージを著しく失ってしまうのも難点で、ライフアドを軽視しまくる現代遊戯王で見過ごせるものではない。
この、遊戯王に数多く存在する「時代の流れとともに消えていったカードの一枚」でしかないように思える火霊術だが、昨今の異常な炎強化により何故か非常に使いやすくなっている。
そもそもこのカードは発売から15年ばかしほぼ無風だったのだが、2020年の霊使いストラクで専用サポートを貰った。
魔法使い+レベル4以下の炎を素材にデッキから出てきて相手依存のバーンを放つ効果と、場から墓地へ送られた時「火霊術」もしくは「憑依」魔法罠をサーチする効果を持つ。
さも火霊術が複数種類あって使い分けれるような表記だが、実際には紅一択。バーンのことしか考えていない。
なんにせよ、ようやく火霊術をデッキコンセプトに据えれるようになった。
魔法使い族はリンク1のサクリファイス・アニマで工面できるため、レベル1を有する炎属性テーマであれば大稲荷火につなげることは出来る。
実際レベル1のモルを有するサラマングレイトで火霊術を使ってたりしていた。
まあカジュアルなら問題なく毎試合打てて、それなりに勝つぐらいは出来ていた。
ただ狐を出すためにやや展開が歪み、火霊術を撃つと損するという所は変わっていないためあくまで使えはする。と言うレベルの話。
そんな中、稲荷発射の条件であるレベル1炎界に黒船が来航した。そう、スネークアイだ。
ヤケクソレベルの展開力とリソース回復力により、ディアベルスターとともに炎属性のパラダイムシフトを強引に起こした異常連中だが、
展開の中であまりに容易にレベル1炎が並びまくるため、ほとんどついでとばかりに大稲荷火を立ててしまえる。
それだけならまだしも火霊術の射出先としてこの上ないモンスターを有していた。エースのフランベルジュドラゴンである。
こいつを相手ターンにカレーにすると何故か盤面が2〜3体増える。それだけならまだしも出たエクセルポプルスで手札も2枚増える。火霊術でアドバンテージ発生!革命!
さらに稲荷のサーチ条件は「このカードが場から墓地へ送られた場合」であり、永続魔法状態から墓地に行っても発動する。
初手に稲荷が居てディアベルスター初動をした場合、手札から切った稲荷を展開途中ポプルスの③で吊り上げ、そのままエクセルのコストに出来るため無料でカレーが貰える!
別に稲荷を引いててもいい、そんなこと起こりうるんだ……。稲荷は手札からでも出せるが、場の2体を切って手札から出すことになるので絶望的にアド損するのが通例であった。
また、時代の寵児である賜炎の咎姫とも謎の噛み合いを起こしている。
このモンスターの③の効果は自分と相手のモンスターを1体ずつ対象に取り、それぞれを破壊しながらこいつが出てくるわけだが、1体でも破壊されていれば問題なく蘇生できるというヤバい裁定を貰っている。
咎姫の発動にチェーンして火霊術を発動し、対象に取った炎を飛ばす。すると爆破されるはずだった自分のモンスターはバーンに変換され、その後相手だけ破壊して咎姫が出てくるのだ。
石器時代の遊戯王で業火の対象をカレーしてた遊戯王老師も成仏できるだろう。
というわけで火霊術 ー「紅」が現代のランクマで「使えてしまえる」
もちろん他に100ほど強い動きはあるので、勝ちを求めるならわざわざこれを選ぶ必要はないが、膠着状態のときにぱっと3000飛ばせるのは決定打になり得るし、なによりいにしえのカードがデッキに組み込まれているのを見るのは愉快だ。
サンプルレシピを見ていただこう。
ほぼガチガチのスネークアイのため、当たり前だが普通に強い。
ジェットシンクロンはシンクロ展開にも有用だが、1枚から稲荷出来るカードとしても偉いため上振れ札として採用。先行ならバロネス、後手ならバーンだ。
アンブロエール+フランベルジュ+マスカレーナ(相手ターンに永続魔法状態から前進)、墓地に咎姫
というのが今のスネークアイの基本展開の一つとしてあるが、
ベルジュ+マスカレ+αでのリンクを行った後、墓地に行ったベルジュの効果でモンスターが3匹ぐらい増えるので、どうせなら増えた小粒の方をリンクに巻き込みたかったな。と、やや勿体ない気持ちになる。
そんな時、先に火霊術でベルジュを飛ばすと3体に分裂するので、実質ベルジュ+マスカレから4素材ウーサが立つことになりお得!
紀元前のカードを使っても勝てるスネークアイってすげぇや!という話に収まりそうではあるが、不思議な噛み合いが起こっており、使っててなかなか楽しい。
まとめ
火霊術というのは実用には程遠いカードでありながら、低速のカジュアルで使うと成功した時あっという間にゲームが終わり、それはそれで困るという難儀な代物だった。
ただしランクマで使えるレベルとなると話は別。
「通したやつが悪い」しかルールがない世紀末において稲荷ファイアでゲームエンドなんて出来た日にはもう宴会だ。
それが視野に入るくらいの強化が起こっているというのも感慨深い。
みんなもせっかくだからこの機会にカレー、作ろう!エクセルポプルスが制限になる前にね!
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