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『鏡のマジョリティア』が最高にマナフリーなカードゲームだった

 鏡のマジョリティア、というゲームを知っているだろうか?
つい先日の6/14にフリフリしたため、オリジンは勇んでコンコンした。
パズル要素が強いながら、ライアーとオリジンが己のタクティクスペラをぶつけ合わせるカードゲームの熱い部分が存分にあり、非常にコニコだった。
製作者にはありクイ。

 おっと、ついついインスペラ向けの紹介になってしまった。
ここからはオブザスペラの皆様にもわかりやすいような記事にしていくのでご了承ください。

 

意味不明なカードゲームを、読む

 

このゲームのあらすじは以下の通り

主人公のタイガは対戦型カードゲーム「マジョリティア」が大好きな小学生の男の子。仲間内では無敗を誇り、ゴッドドローのタイガという通り名まである。
 今日も仲間たちとマジョリティアでのバトルに興じる……はずだったが何かがおかしい。タイガの記憶からマジョリティアに関する部分だけが完全に抜けているのだ。

 しかしそんなこと知らない仲間たちは今日こそタイガを倒そうと挑んでくる。
タイガは未知のカードゲームで無敗を貫くことができるのか……!?

 ゲームプレイ時点でタイガとプレイヤーのマジョリティア知識は完全に0というところで一致している。
 相手の動きから見様見真似で最初のドローからしなければならない。

 しかもこのマジョリティアというカードゲーム、ゲーム用語に独特の固有名詞がやたらとあり、しかも略称まで混ざっているのでわかりにくいことこの上ない。

 開幕先行1ターン目でチーツク3枚コレクトされるのは面食らうこと必至。

 しかしコレ、カードゲーマーにとっては「いつものこと」である。

 カードゲームの域を逸脱した事象は基本的に発生しないので、盤面で起こっていることを分析すれば個々の用語の意味はわかるようになっている。
 ある程度既存のゲームに類型があるので、過去カードゲームをやったことがある人なら飲み込みが早いかもしれない。

 さらに、一回の対戦ごとに分析ノートに用語を入れていくことで解読が進み、意図が理解できるようになっていく。
 そして気づけばマジョリティアを「プレイ」できるようになっているのだ。

 「相手はムッカのレジリエンスで来るから、コニコ壁にしつつセイキン構えとくか」とか自然にやっている。

 この「初めてやったゲームを理解できていく過程」が楽しく、心地よくのめり込むことができる。

 ただ、このゲームはそれだけのゲームではない。わけわからん用語が滝のように繰り出される出落ち部分にひとしきり笑った後は、もう一段階深いゲーム性が出てくるのだ。

 その部分を解説したいのだが、若干の用語説明と触り部分のゲームシステムのネタバレが入る。ただ、ストーリーのネタバレはないのでそこは己で確かめてくれ。

 もしゼロから楽しみたいのであれば、早急にこの記事を閉じてプレイしてきてくれ。
 ゲーム内容のおもしろさ、そしてストーリーの良さは保証する。

 なんと作者のboothで無料公開されてます。マジ?金払わせてくれ。


 


 



未プレイ者をネタバレから守るニダンギル

 


 


初見殺しを、初見殺す

 マジョリティアは自分のアバターとなる魔女のカードを1枚選択するシステムになっている。
これは他ゲーでいうとハースストーンのヒーロー、ワンピカードのリーダーのようなもので、何を選ぶかでデッキの性質が決定する。

 魔女はそれぞれビッグバンという能力をもっており、発動条件が満たされるとなんと即座に勝利できる。
 つまり魔女ごとに(=対戦相手ごとに)別の特殊勝利条件が設けられているのである。

 そしてこちらのアバターは鏡の魔女で固定されている。
 彼女のビッグバン条件は相手の魔女のビッグバンを防ぐこと。つまり対戦相手の特殊勝利条件を潰せば即座に勝利できる。

 これによってデッキ固定ながら試合ごとに全く違う戦術を取ることを求められる。

 しかし毎度違う勝利条件、しかも大体毎回新単語によって条件が定義されているため、どうなれば負けるのか読み取ることすら困難。

 この分の悪すぎる勝負を渡り合うための要素が2つある。

 

①敗北時の巻き戻し

 敗北した場合、それを即座になかったコトにできる。
 いきなり犯罪すぎるが、とにかく勝つまでやれるのだ。初戦はビッグバン条件の読み取りに捨てるのも許される。
 そして相手がカードをプレイする順番は完全に固定である。じっくり考えよう。

 

②積み込み

 このカードゲームは専用のデュエルディスクのようなものでプレイするのだが、シャッフルがガバガバのため、デッキを特定の並びにすることでカードの引く順番を完全に固定できる。許されないだろ。
 ゴッドドローとは、つまりそういうことなんじゃ。

 

 なぜこのようなことがまかり通るのか、それは作中でも説明があるのだが、こちらのアバターが鏡の魔女だからである。

 鏡の魔女の勝利条件は相手の勝利条件を潰すこと。つまりいくら積み込もうが能動的に勝つことはできない。
 もちろん単純なビートダウン戦術に最適な並びにすることはできるが、大概相手がエクゾディアを揃えたりウィジャ盤を並べ終わるほうが早い。

 というか、最適な並びに「積み込まないと勝てない」のだ。どっちがゴッドドローだよ。

 勝つためには相手の戦術を観察し、対応策を仕込み、最適なカウンターを決めるしかない。

 

 そう。このゲームでは誰しもがデュエリストキングダム編の城之内vsキース戦や、バトルシティ編の遊戯vs人形戦のような背水の逆転劇を演出することができるのだ!楽しくないわけがない!!

 このゲームデザインが非常に巧く、実際やってることはパズルゲーに近いにも関わらず「カードゲー厶をやっている」触り心地になっている。

 最初は単純に言われていることをするだけで勝てていたのが、だんだんと複雑な戦略を練り、綿密にドロー順を構築しないと勝負にならなくなっていくおもしろさよ。

 

 そこのお前、武藤遊戯になりたくないか?なりたいなら、やることは1つだ。早くダウンロードしろ……デュエルしろ……。

 そしてクリアして「このゲーム……カードのフレーバーめっちゃいいよね……。」ってとこまで到達してくれ。
 愛の魔女「〈ビッグバン:依依恋恋〉オリジンが最初にサモンしたソウルが、オブリビされずに4回のエンドフェイズを迎えること」のテキストのエモさと、これを使うのがゴリダなことの良さを語らせてくれ。

 

 完全にマジョリティアに脳を焼かれて直情的な布教記事を書いてしまった。これでプレイヤーが一人でも増えてくれないだろうか。
そしてキュクのファンアート増えろ。


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