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嘆きの天使 (1930) 独

ジョセフ・フォン・スタンパーグ
 
          〇
 
ドイツ・ハンブルグの高校で
英語科を担当する  ラート教授(エミール・ヤニングス)は
融通の利かない謹厳実直な独身教授。
 
今日も悪童たちを 叱りつけながら講義を進め
鐘が鳴ると一直線に 殺風景な官舎に戻る。
 
そんな味気ない毎日である。
 
あるとき
学生が持っていた絵葉書を覗いて 教授は仰天した。
 
それは今、
街のキャバレー「嘆きの天使」に  巡業で来ている
舞踊団の踊り子の いかがわしい写真だった。
 
驚くことに 数人の生徒たちは
夜な夜な「嘆きの天使」に 通い詰めているという。
 
教授は学生たちが 酒と女の誘惑に負ける事を心配し
その事実を確かめるべく
生まれはじめて キャバレーという所を訪れ
絵葉書の踊り子ローラ(マレーネ・ディートリッヒ)に会った。
 
するとローラは 思いがけず歓待してくれ
教授は彼女の優しさ、艶やかさに夢中になり
 
その日から三日と開けず「嘆きの天使」に入り浸り
それはたちまち 
街中に知れ渡り、遂に学校をクビになった。
 
まもなくラート教授はローラと結婚し 
舞踊団と共に巡業の旅に出た。
 
しかし 年月が経つうち 
ローラの為に それまでの貯金を使い果たした教授は
今や ローラのヌード絵葉書を 酒場で売り歩くほどに堕落する。
 
やがて教授は
以前教鞭をとっていた街での興行で
ピエロとして舞台に立たされ
 
かつての同僚、教え子らの嘲笑を浴び
屈辱に耐えられず 舞台を降りると
よろよろと漆黒の街を彷徨った。
 
やがて、翌朝
息絶えた道化姿のラートが 発見されたのは
かつて彼が教えていた 高校の教室だった。
 
          〇
 
ラート教授役のエミール・ヤニングスさんは
この前年に
第一回アカデミー主演男優賞を取られた名優ですが
 
しかし、この映画で名を残したのは
無名の踊り子から抜擢され
鮮烈なデビューを飾った マレーネ・ディートリッヒさんでした。
 
お若い時から 非常に成熟した大人の女優さん。
引退前の数年は ジャン・ギャバンと同棲。
かのヒットラーも 彼女の大ファンだったとか・・

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