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歩いて日本を横断した話

大学二年生の春休み。ひょんなことから弾丸で徒歩日本横断をしたオタクのnoteです。
優良誤認をしたくはないので先に言いますが 日本横断 のお話です。


【起草】

大学の授業中、
ふと
「日本海の水を太平洋に捨てたらおもろいやろなあ(ニチャア)」
と思ったので日本横断を決意しました。
当時は運転免許がなく、とはいえ電車で行くのは達成感がないので徒歩で行くcar…と思い、徒歩日本横断が決まりました。

【計画】

さて、ものの数秒で日本横断が決まったわけですが縦に長い日本列島はたくさんの横断ルートが存在します。
上で述べた通り、「日本海を太平洋に捨てたいだけ」なのでなるべく楽そうなルートを探します。

うーん

「ここダッ…!!」

なんか本州で一番くびれてそうだし、途中で琵琶湖の水も汲んでしまえば日本海、太平洋、琵琶湖の水が汲める!
ということで大まかなルートは決定しました㊗

ここからは細かいルート設定に入ります。
スタートとゴールは水を汲んで捨てれる場所でないといけません。
出発地点は友人の助言の元、敦賀の気比の松原にしました。
終点はグーグルマップを見た限り、捨てられそうな場所がなかったのでとりあえず「伊勢湾台風殉難の碑」に設定しました。

スタートとゴールが決まればあとは簡単です。

・琵琶湖をかすめる
・快活を経由する

という条件のもとGoogleMapが導き出した答えがこれです。

とりあえずストビュー見て大丈夫そうだったのでこれで行きます。
ちなみにこの時点での距離は100kmちょっとで、三日位かけてゆったり観光しながら歩く予定でした。

【1日目:敦賀~長浜快活】

旅立ちの地、敦賀に着弾しました。現在の日時は4月5日14時。
ここで「ん?なんでそんな遅くについてるん。バカなの?」と思った方がいらっしゃると思うので説明します。

スケジュール調整をミスって高速バスをキャンセルした結果、金がなくなり青春18きっぷで敦賀に向かうことになったからです。はい。

初敦賀

もう14時なので急いで気比の松原に向かいます。
時間がないのでタクシーを使いました。横断前なのでルール的にはOKです。
タクシーの運転手さんに日本横断を伝えると「もしかして東大生?」と言われました。違います。てかどういうイメージなんだ..(もしかして地◯部の影響?)

さて、駅から15分ほどで気比の松原につきました。

そういえば名勝と景勝って何が違うんですかね


いやもう本当にきれいで…もっと観光したかった。
さっさと水を汲んで歩き始めます。日本横断のスタートです。


市街をてくてく歩いていると気比神宮にたどり着きました。
流石に一宮を無視していくのは申し訳ないのでお参りしました。

官幣大社気比神宮


あとついでに交通安全の御守りを頂きました。道中の安全を願って。

「氣」を見ると興奮します


敦賀の商店街には銀河鉄道999と宇宙戦艦ヤマトの銅像がたくさんあります。特に敦賀市と松本零士氏との間に関係はないようですが「科学都市」「港」「駅」のイメージに合わせて設置しているようです。


国道8号を歩いていると目の前に敦賀衣掛大橋が現れます。
敦賀衣掛大橋は舞鶴若狭自動車道の橋梁で、最大支間長は160mを誇ります。(波形鋼板ウエブを用いた桁橋では国内4位の支間長)

デッケー

この辺から「この辺きつそうやな」と思っていた新道野越に入ります。

ところで、木ノ芽橋付近には「國道一二號」と書かれた石柱があります。
国道12号は札幌市と旭川市を結ぶ一般国道なのに何であるの?とお思いでしょうが、別にワープしたわけではなく大正時代の国道12号(東京-石川)がここを通っていたためです。こういう遺構を見つけるとテンション上がりますよね。


丁度この桜の下で地元の方に話しかけられて、「がんばってね!」と励ましていただきました。
とりあえず長浜まで歩くことを伝えると「ちょっと大変だけど気を付けてね」と言われました。ちょっと…?
そして滋賀に入るまでこの方を最後に生身の人間を見ることが無いなんてことはこの時は知るよしもなく…

ライオンズクラブは名前の後に「ライオン」を付けて呼び合うそう

気を取り直して再び歩き始めます。
疋田に差し掛かりました。ここを左に行けば国道8号、右に行けば国道161号です。連続雨量が220ミリを超えるとバーが下りるらしいですよ。その場合歩くのはOKなんすかね。


この時は青看をみて「木之本桜ちゃんだー」と喜ぶほどの余力がありました。あと40㎞もあるの…?もっと歩いた気がするんだけどなあ


しばらくはこんな感じの道を進んでいきます。
クソデカトラックが凄い速さで隣を通過するので生きた心地がしません。
「なんでこんなバカげたことしてるんだろう」と考えていると、福井県と滋賀県の県境につきました。まだ福井のことなんも知らないよ!

怖い
またくるねー


と、同時に滋賀県長浜市に入ります。
滋賀県はどっしり構えているので「ようこそ」的な看板はありません。
1日目の宿泊地は長浜快活なのでもうほぼゴールの気持ちでした。


そして長浜に入った途端に歩道復活。限界歩行者に優しい自治体、長浜市。
しばらく歩いていると、集落が見えてきました。西浅井町沓掛という場所です。ここを過ぎたあたりでサンダーバードが見えました。


日が暮れてきたあたりで近江塩津駅に到着。朝ここで乗り換えましたね。
ああ…これに乗って帰りたい…


この辺で雨が降ってきたので、湖西線の高架の下でザックカバーとレインウエアを装着しました。
30分くらい歩くと琵琶湖水採水の地、塩津園地につきました。
水が荒ぶっていましたが何とか採水。真っ暗でなんも見えねえ。

荒れててこわい
何とか採取


この時点で24キロほど歩いていますがまだまだ歩きます。
ここからは真っ暗で何も面白くないので説明を割愛します。
正直、ここの区間が一番きつかったです。
暗闇の中、隣で高速で走る大型車におびえながら狭い歩道を歩き続けました。一応ヘッドライトの赤ランプを付けて歩行者アピールはしていました。

藤ヶ崎トンネル
オタクは加速する__
へえー。おもしれー地名


そして遂に1日目の終点、快活クラブ長浜店に到着しました!
時刻は23時。快活の明かりが見えたときは本当に泣きました。
1日目は大体50㎞くらい歩きました。

安心

快活で免費アイスを片手にくつろぎながらスマホを触っているとふとあることに気づきます。

『4月7日 健康診断』

現在の時刻は4月5日の23時です。健康診断に間に合うには4月7日の7時くらいには三重県を出なければなりません(帰りも鈍行なので)。
つまり、明日中にはほぼ横断を終えなければならない…
絶望です。あと70キロくらいあるよ…

もう知らない。寝ます

【2日目:長浜快活~西方快活】

おはようございます~。
今日もがんばって歩きます~。

昨日の夜、突如として健康診断の存在が発覚したのでルートの変更を行いました。
当初の予定では少し大回りして大垣快活に止まる予定でしたが、養老鉄道に沿って桑名まで行くルートに変更。

観音坂トンネルの中で米原市に入ります。
トンネルを抜けると田園風景が広がっていて、歩道も整備されているため歩いていて心地よかったです。

また、途中で登山道具メーカー・ナンガの本社を通過しました。
(本社巡りが趣味なので是非以下のインスタもチェックしてみてください)


ショップも併設されていました



とりあえず関ヶ原を目指して歩き続けます。
弥高に入ったあたりから歩道が消えました。怖いですがもう慣れました

一時間ほど歩くと岐阜県に入りました。
ここからしばらくは薩摩カイコウズ街道を歩きます。
薩摩カイコウズ街道は岐阜県道56号南濃関ヶ原線の愛称で、35キロにわたって鹿児島県の木であるカイコウズが植えられています。
岐阜県と鹿児島県の姉妹県盟約20周年記念事業らしいです


関ヶ原に入ると関ヶ原の戦いにまつわる様々な名所の案内が出てきます。
当然時間がないので今回はスルーです。


と、言いたいところですが流石にもったいないので徳川家康最後陣跡には行きました。この近くには岐阜関ケ原古戦場記念館という立派な施設がありました


名神高速道路にそって歩いてゆきます。
道端にあったものを載せます

これ珍しいのかな
五井家の旧牧田郵便局
クオリティの高すぎる卒業制作

養老町に入りました。
歩いていて思いましたが、養老は観光資源が多いですね。
養老の滝、養老ランド、養老天命反転地…
個人的に一番興奮したのは小川新聞店。ガソスタ居抜きの新聞屋は初めて見ました

足を引きずりながらとぼとぼ歩いていると海津市に到達。
いつの間にかマップの表示範囲にゴールが見えていました。

中受によく出てくる自治体


ひたすらのどかな田園地帯が広がっていますが、突如として巨大なコンクリート柱がニョキニョキと出現します。
「Twitterでバズっていたやつ」こと東海環状自動車道の建設地です!
目の前で見ると迫力が凄い!!
A列車行こう9の新幹線敷設を思い出します。

ニョキニョキ
すげー

巨大建築物を通り過ぎ、歩いていると近所の医者が作ったらしい「思索園」なる名言の石碑群が現れました。自分も金持ちになったらツイートを石碑にしてみたいものです

国道258号沿いをひたすら進みます。
すると途中で道の駅月見の里南濃を発見。岐阜県内最大級の道の駅らしいです。
「足湯とかねえかな~」と思って近づくと足湯の文字が…!
ここら辺は温泉が湧くらしく「水晶の湯」なんて呼ばれているそうです

足湯だー



足湯に浸かっていると、バカでかい蓋をもった職員が近づいてきて17時で営業終了の旨を伝えられました。
え…入湯時間3分…泣


絶望の中、肱江川を渡って三重県桑名市に入りました。
夜中に赤ライトを照らしながら農道を歩いていたので相当不審者だったと思います。


揖斐川にそって順調に進んでいると、伊勢大橋が見えてきました。
伊勢大橋は国道1号を構成する1934年に竣工された15連アーチ鉄橋です。
米軍による機銃掃射の跡が残っていたり、近所の桑名高校の校歌にうたわれていたりともはや歴史的建造物の橋です。
しかし、架け替え工事が進んでおりこの光景が見られるのもあと少しだそう。。見られてラッキーですね



そしてこのあたりで足の痛みが限界に達して当日中の横断を断念。
急遽、桑名新西方快活に宿泊しました。まじでちょうどいいところにある

【3日目:太平洋】

おはようございます。遂に日本横断も終わりが近づいてきました。
とはいえあと7kmくらいあるけど…
遠くには長島スパーランドが見えました。


あの遠くに見える揖斐川橋を超えれば揖斐川河口、つまり太平洋です。
足の痛みを忘れてどんどん進んでいきます。


25時間かけて遂につきました…太平洋に…
120kmもの距離をともに歩いてきた日本海君ともここでお別れです

エモ


名残惜しいですが、日本海を太平洋に捨てる背徳感のために歩いてきたので仕方ない。


えいっ!



【徒歩日本横断:完】

【旅をおえて】

こうして僕の徒歩日本横断は幕を下ろしました。
以下が歩行データです(歩行記録にYamapめっちゃ使える…)


横断中は暗闇や高速で走るトラックへの恐怖でメンタルがズダズダでしたが終わってみれば楽しかったように思えます。


水を捨ててからは急いで電車に乗り鈍行で大学に向かい、なんとか学校の健康診断にも間に合えたしめでたしめでたし(血圧も下がってた)。

歩行の楽しさは距離に比例します(断言)

最後まで読んでくださりありがとうございました。
皆さんも是非長距離歩行に挑戦してみてください!
さよなら~

お気に入り棚に追加された日本海と琵琶湖


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