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地味なアプローチ練習を楽しくする方法

私の行きつけの練習場には、とてもラッキーなことに、芝の上から打たせてくれるアプローチ練習場があって、約40m四方のスペースにバンカーとグリーンが設置してある。まあ、グリーンといってもコースにあるような物ではなく、小さなマウンドの頂上を平らにした物で、芝の長さは他の場所と同じように、浅いラフ程度である。

とはいえ、1時間の利用料金はたったの500円で、マットの上からでは得られないバンスが滑ってターフを薄く取る感触や、ヘッドをきちんとボールの赤道下に入れないと飛ばない感覚、なによりも地面の様々な傾斜に対するアドレスの練習、芝の根葉の張り方に対するヘッドの入れ方・抵抗感への対応練習などができるので、学びの宝庫だ。しかも、自分のコースボールを持ち込んで練習できるので、ボール代もかからない。「もったいない」練習、例えば1ヤードだけ空中を飛ぶアプローチ練習などが、好きなだけ出来る。

さすがに悪天候の時にはやらないが、基本的には週末に2時間この練習場を使わせていただいている。コロナのせいか、ゴルフ練習場に体を動かしに来る方は増えたようで、打席は結構混み合っているが、アプローチ練習場が埋まっていることは滅多にない。同時に二人までが定員だが、ほぼいつでも私一人で独占している。これがたったの千円だからたまらない。

皆、やっぱりゴルフ練習場に来ると、ドライバーでぶっ飛ばす爽快感を味わいたいのだろう。雑誌であれ、著名なプロのYouTubeであれ、メディアであれほどショートゲームの重要性が説かれていても、実際にコツコツ地味に短距離のショット練習を実践する人は、やっぱり少ないのである。この練習場で、一番練習になる場所が、一番安く、一番空いている。皆がそれに気づかないうちに、こっそり練習している。たまに、他の方と一緒になることもあって、その時は(混ざらないよう)私のボールを使って頂き、二人で会話しながら同じターゲットに打ったりするのも楽しみである。

芝の練習場での練習メニューは、まず左右の片手打ちで、10~15ヤードを打つ。片手でシャフトが地面と平行になる感覚を意識しつつ、50°AW、56°のSW、そしてPWを使って40分くらいはこれに費やす。私は片山晋呉プロの大ファンで、完全にその影響である。あの、カツッともバツッとも聞こえる素晴らしい音を出したいと思って、繰り返し打つのだが、左手が15球に一回、右手は20球に一回くらいしか、そこそこいい音は出せない。あの音が出たときは、ものすごく気持ちがいいので、ついつい後一球、後一球と夢中になって続けてしまう。

この片手打ちを含め、練習場には必ずシリコンゴムの円盤をいくつか持ち込んで使っている。Amazonで「練習・フラットマーカー」で検索すれば、たくさん製品化されていて、簡単に手に入る。必ずこのマーカーをめがけて打つようにしている。本当は、マーカー位置にボールが止まるように練習する方が効果的なのだと思うが、転がりのよいグリーン面がないので、マーカーに落とすか、ワンクッションする感覚で打つ。片手打ちでカツッっといい音がして、マーカーにストンと落ちたときの気持ちよさったらない。

片手打ちが終わったら、両手で色々な距離を色々なクラブで打つ。基本的にドライバーとパター以外の12本全てを練習をするが(一日の練習では4-5本)、この時に意識していることは、今、自分は距離を打ち分ける練習をしているのか、ターゲットに寄せることを練習しているのかを分けることである。

コースでは距離を打ち分けて、ターゲットに寄せるのが最終目標なことはもちろんだが、練習でそれを同時にやると、練習の目的意識が散漫になってしまう。したがって、SWで5ヤード刻みの距離を打つ練習する時には、落下点が揃っているかいないかだけをチェックし、逆に、5ヤード先のターゲットに寄せる練習をする時には、同じ位置から8IからSWまで様々なクラブで寄せるようにする。

もう一点、注意しているのは、あまり自分に厳しくしすぎないことだ。マーカーを5枚用意して、まず中心となる1枚を地面に置く。次にそこから1~2歩の距離で東西南北のように4方向に4枚のマーカーを置く。この正方形(仮想円)の中にボールを落とす、もしくは寄せる。あまりに精度を求めすぎると失敗ばかりでフラストレーションがたまるので、少し甘めに設定するのがコツだ。

こうしておいて、寄せでは、ウェアウェイウッドでコツンと強く転がしたり、UTでパッティングストロークをしたり、ウェッジで上げたり、いろいろなイメージで円のなかに寄せようという気持ちで、ミスショットしても寄ればいい、というぐらいの気持ちで楽しく、ストイックになりすぎないようにする。

フェアウェイウッドでアプローチをすることは、実際には滅多にない、と思われるかも知れない。しかし、林からの脱出やベアグラウンドでバンスの大きいウェッジが使えない等、ソールが平らで滑りやすいFWは、実は結構使いでがある。特に5Wでは、腰の高さからのスイングでも100ヤードくらい転がせるので、非常に便利だ。ただし、ぶっつけ本番でコースでこれをやろうとすると、イチかバチかの賭けになってしまう。こうしたボール代のコストを気にせずにすむ環境でこそ練習をしておいて、事前に飛距離とボールの高さを知っておくことは大切だと思う。

同様に、手持ちの球を一セット打ち終えたら、目標に寄らなかったミスショットを、ターゲットマーカーに向かって色々な方法で寄せてみるのも楽しい。

例えばターゲットに背を向けて右手一本で背面打ちをする。コースで池の縁にボールがあって、スタンスが取れないときにプロがやっているアレである。ボールが木の根っこにあってスタンスがとれない想定で左打ち、バックフェースやクラブを180°回転させて打ってみる。どのくらい上がるのか、どのくらい飛ぶのかをイメージして、コースでは一発で危機から脱出できるように準備する。

アプローチ練習場では、ボールのライも打ちやすいとこだけを選ばず、あえてディボットに入れてみる、深いラフに埋めてみる、枯れ葉を取り除かずに打ってみる、土を付いたままのクラブで打ってみる、本当に色々なパターンが心置きなく試せる。

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最後に、自分にプレッシャーをかける意味で、写真のように駐車場方向に打つこともある。間違ってもトップは出来ないので、強烈なプレッシャーがかかる(真似をして他所様のクルマに傷をつけたとしても、当方は一切責任は取らないので、完全自己責任でお願いします)。写真ではアングルの関係でそうは見えないが、実際にはマーカーから駐車場のアスファルトまでには5ヤードくらいの距離があって、今まで一度もボールを駐車場から飛び出させたことはない。使うクラブもSWのみで、さすがにFWでこの練習法をやろうとは思わない。

ここまでプレッシャーをかけない時は、屋外喫煙所の近くに行って練習する。タバコを吸いにたむろしている人達の視線を感じながら練習するだけでも、いいプレッシャーになる。

こうして過ごしていると、2時間はあっというまで、その後打席に移動して2~3時間ショットの練習をするのが私の週末である。最近、コースに出ていないので、この練習が実際にどういう効果を生むのかは、まだわからない。それでも、最近は少しずつ上手く打てるようになってきているので、次のコースを楽しみにしている。

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