2021年衆院選で各党の勝因と敗因と今後の政局と改善点

2021年10月31日衆院選、結果は
自公の戦略的勝利。野党共闘の戦略的敗北。維国議席増加。 

衆院選の結果は以下のようになりました。

与党
自民261議席1990万票
公明31議席710万票
自民系無所属5議席

野党共闘
立憲96議席1150万票
共産10議席410万票
れいわ3議席210万票
社民1議席100万票
野党系無所属6議席


第三極
維新41議席805万票
国民11議席250万票
NHK85万票



下馬評では自民単独過半数超えるかでしたが、単独で絶対安定多数の勝利を収めました。立憲は伸びる予測でしたが、議席を減らしました。維新は大幅に議席を増やしました。



特に選挙区では自民が接戦を制した箇所が多かったです。維新や国民を投票した人が立憲より自民を選んだ可能性があります。また、投票率上昇は必ずしも野党が有利になることはないことが見えました。

また、与野党関係なく大物議員の選挙落選、選挙区落選、選挙区苦戦の地域が多く、世代交代を強まる声は大きかったのではと思います。

投票率は上昇し、自民は新たに200万票、立憲と国民合わせて200万票、維新は300万票掘り起こしました。

今後参院選は2022年7月に行われます。自民と維新は増えた得票数を維持できるのでしょうか。
衆議院選挙は2024年9月が濃厚と見ています。現職東京都知事を務める女帝がこの時に都知事任期満了後に女性初首相を目指す可能性が高いです。政局が動くことが考えられます。

 

衆院選結果

◎大勝利
○勝利
□善戦・戦略的勝利
■伸び悩み・苦戦
△敗北
▲大敗北

与党

与党は自民絶対安定多数(261)、公明と維新を加えて2/3確保できました。

当初は自民単独過半数や与党絶対安定多数いくかどうかですが、蓋を開ければ与党の勝利でした。これにより岸田政権は2022年7月参院選までは安定した運営ができるでしょう。

与党は前回参院選より250万票を掘り起こすことに成功しました。また民主の支持母体である連合や維新支持層などから切り崩しに成功したため、民主王国である北海道や愛知で選挙区は自民優勢となりました。あの小沢一郎氏を初めて比例復活まで追い込みました。

次の目標は参院選で自公維2/3確保と国民民主を改憲賛成へ呼び込むことです。維新は自民より憲法改正に熱心のため、情勢次第では改憲議論が起こるかもしれません。


自民

自民党は単独絶対安定多数(261)を確保しました。与野党激戦区だけでなく、大物議員の地盤を制するなど、無党派層へ支持を広げました。

大阪自民全滅・甘利比例復活・石原伸晃落選はありましたが、比例では伸ばし、新たに200万票以上掘り起こすことができました。

単独過半数割れと下馬評は低かったですが、実際は票の掘り起こしや他野党支持層の取り込みなどに成功しました。

今後も安定した国会運営となります。改憲勢力2/3確保と引き続き力を維持する見込みです。

2022年参院選に向けて、自公単独過半数維持が焦点です。


公明
公明は選挙区9戦全勝、比例でも堅調の結果となりました。

創価学会の支持流出などの懸念はありましたが、無党派層から支持を増やしました。

国会では引き続き自民と連立政権を組むことになります。今後自民の勢力維持は公明が欠かせなくなります。

今後の選挙では参院選で7選挙区7比例区の当選が目標となります。


野党共闘
野党共闘陣営(立憲・共産・れいわ・社民・野党系無所属)は議席増加の予想でしたが、まさかの議席減少です。第三極投票者や連合などが自民へ投票するなどで激戦区を次々と落としました。

一方で石原伸晃落選、甘利明選挙区落選は野党共闘の成果であります。れいわの衆議院進出、社民が政党要件の可能性を残せたのはプラスです。

しかし、野党共闘全体では負けです。得票増加に向けての戦略は見直されることとなります。

国会ではますます野党内連携は欠かせません。今回は自公と維新だけで議席の2/3を握っているため、

2022年参院選に向けて自公維絶対安定多数割れ(2議席減)はノルマです。野党共闘はねじれ国会にできるほどの力は持っていないからです。


立憲
立憲は下馬評で議席増加を見込めましたが、議席を減らしてまさかの二桁議席に終わりました。要因として地盤変動と自民・維新の得票数増加でしょう。

今回、立憲有利の選挙区で自民候補が無党派層中心に確保したため、激戦区で落選が相次ぎました。無党派層が必ずしも立憲へ投票するとは限らなくなりました。

立憲枝野代表は敗戦の責任で辞職することとなりました。まず党内の維新接近議員と反共議員を取り締まるところからです。野党共闘見直しの声はありますが、仮に起きたら立憲は60議席まで減ったでしょう。また、立憲の名前で1150万票まで増やせましたので党名変更は不要です。


国会では立憲単独で臨時国会要求ができなくなるため、国民と共産、れいわなどとの協力が欠かせなくなります。

2022年参院選に向けては北海道や首都圏、関西選挙区などで共産と候補者調整する必要があります。野党共闘見直しの声はありますが、仮に起きたら立憲は60議席まで減ったでしょう。




共産
共産は選挙区では沖縄1区で3回連続当選しました。

しかし得票数は約30万票減少し、比例で9議席と前回より議席を減らしました。これにより野党無党派層一部が立憲か社民へ流出したのでしょうか。

下馬評としては17議席超える予測がありましたが、議席を減らす結果となりました。そのため無党派層確保へ引き続き対応する必要があります。

国会では10議席となったため、立憲との協力が欠かせなくなります。でないと大きな声は通りにくくなります。

今後の目標は2022年参院選で選挙区3議席、比例は4議席確保することです。




れいわ
れいわは以前の参院選で山本太郎個人票が多く、得票に結びつくか疑問視されたため、下馬評は低かったです。

しかし得票数は210万票と前回並みに善戦。比例で3議席獲得しました(東京・南関東・近畿)。比例東海でも議席獲得するほど得票を確保しましたが、候補者が供託金没収・単独候補ゼロのため該当なしとなりました。そこは反省すべき点です。

れいわは国会で5議席となり、NHKの日曜討論会に出れるようになります。国会では山本太郎1人から党主導で牛歩などが起きるのでしょうか?

今後は参院選で2議席確保、2023年の統一地方選挙でれいわ候補者を議員にさせて地盤を固めることです。そして次期衆院選で6議席確保を目指すことです。


社民
社民は沖縄2区で選挙区当選しました。しかし、比例議席獲得は失敗しました。

ただ、社民から立憲への合流が起きたとはいえ、100万票の得票は維持できています。

支持母体である自治労が立憲へ流れた影響で地盤である大分や沖縄などで得票数を減らしました。しかし、他地域では得票を増やしており、都市部中心に得票を増やせました。

これにより、2022年参院選で社民は政党要件維持(得票率2%)と福島みずほ代表の再選の可能性を残せました。



第三極
第三極政党は維新と国民合わせて51議席獲得しました。現有の20議席と比べたら大躍進です。

選挙区は現職議員の地盤で勝ち、大阪ではさらに躍進しました。比例では特に都市部での躍進が顕著です。

また、若者から現役世代からの支持が高く、これが立憲議席減少と第三極政党躍進の要因のひとつとなりました。

国会対応では維新と国民で50議席を超えたため、予算案を提出できるようになります。


維新
維新は41議席獲得と2014年選挙並みに議席を大幅に増やしました。地元である大阪府内の選挙区全勝、兵庫7区で選挙区当選、比例近畿10議席と関西では橋下維新創設時よりも強さを発揮しました。

また、関西以外でも維新は比例で議席を増やしました。当選した維新議員は7年前と違って当選目的の人は少ないでしょう。離党する可能性は低いです。

維新が伸びたのは投票率上昇の恩恵を受けたことです。特に地元の大阪では投票率が5~9%も伸びたことが選挙区全勝の要因となりました。それを差し引いても維新は10~12選挙区で当選したほどです。

国会で維新は法案提出権だけでなく、懲罰動議権を得ました。また、政党交付金の増額が見込まれ、積極的に選挙で候補者擁立ができます。

この勢いを2022年参院選、2023年統一地方選でどこまで維持できるかになります。また、兵庫県内で維新首長を誕生させられるかも注目となります。




国民
国民は6選挙区と5比例区当選で現有8議席から11議席へ増加できました。下馬評は低かったですが、茨城5区を制し、さらに比例で都市部中心に善戦しました。

選挙区では立憲候補が次々と無党派層が自民へ流出してしまいましたが、国民候補はしっかりと得票を維持できました。そのため立憲から国民へ流れる議員が出る可能性があります。

国民民主党は都市部ほど立憲へ票が流出しない傾向であり、東京では得票を増やしました。また、代表の地盤である香川は高い支持を得ています。

国会では党首討論の要件を満たすことができました。

今の国民は旧国民時代よりは無党派層を確保しつつあります。参院選でどこまで伸ばせるでしょうか。



NHK
NHK党は惨敗です。新たに政党交付金確保しましたが、数千万円にしか過ぎません。しかも得票数が低下しましたので、2022年参院選で苦戦が予想されます。

NHK党が国政政党として今後生き延びるなら参院選全選挙区に擁立して得票率2%超えをしなければなりません。というかこれしかないです。

その他政党
その他政党では日本第一党などがありますが、0議席に終わりました。得票率的にも低く、2022年で参院選進出は非常に厳しいです。



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