Microsoftの決算概要と分析
【概要】
マイクロソフトの第1四半期決算内容要約
結果:売上予想上回るも、今後の成長鈍化見通しで暗雲
マイクロソフトの第1四半期(2025年度)の売上高は656億ドルで、前年同期比16%増、1株当たり利益は3.30ドルで同10%増。 売上高と利益ともに2桁成長を達成。
マイクロソフトクラウドプラットフォーム(主にAzure)への長期契約の増加と需要の高まりが業績を牽引。
予想を上回り、前年同期比で30%増加(固定通貨ベースでは23%増)。
AzureとMicrosoft 365の両方で1,000万ドルを超える契約が増加したこと、またAzureで1億ドルを超える契約が増加したことが要因。マイクロソフトクラウドの売上高は389億ドルで、前年同期比22%増加し。 これはほぼアナリスト予想通り。
マイクロソフトクラウドの売上総利益率は前年同期比2ポイント減の71%。 これは、AI設備投資がかさんでいるため。Azureの改善によりアナリスト予想よりもわずかに良い結果。AIサービスの売上は、FY25Q2(次の四半)には年間売上高100億ドルを超える見込み。
第2四半期の業績見通しについては、為替変動の影響を除くと、売上高は前年同期比で1桁台後半の増加。
Azureの売上高は、第2四半期には固定通貨ベースで31~32%増加すると予想。これはアナリスト予想を下回るフォーキャスト。
簡単な解説
Productivity and Business Process
結果:売上283億ドル, +12%増
これは主にMicrosoft 365サービスとCopilot, Linkedin, Dynamics(CRM)製品のこと。
法人向け365は+13%程度の売上増、消費者向け365は+5%増であり、これまで通りの成長。
コミュニケーションツールのニーズはだいぶ行き渡ったことから、年々成長率に鈍化が見られるものの、値上げ等の効果もあり、安定成長。
LinkedinやDynamicsは売上が低いので、あまり気にしなくてよい。
実際は365の売上が大半。
Intelligent Cloud
結果:241億ドル, +20%増
Intelligent Cloudは、決算の時に使うAzureサービスの別称。実質Azure。
Azureは現在Microsoftが投資家に期待されているビジネスであり、Azureの伸びが株価に影響を及ぼすので要注意。
Azureは成長率が+30%以上を維持しているものの年々成長率に減少傾向があったが、FY24にAzure Open AI Service(OpenAI社のAIをAzure上で動かすもの)を提供したことや、Nvidia GPUのニーズの高まりにより、再度成長率が高まっていた。
今回の決算では売上成長はYoYで20%であり、新規獲得案件でも33%程度の成長を遂げているので、投資家らの期待値には合致はしていた。
この33%成長のうち、12%分はAI関連サービスの成長であるので、AIがなかった場合のAzureの成長は21%程度である。いかにAIが成長に影響しているかがわかる。
ところが、今後爆発的な成長を遂げると期待されているAI関連ビジネスが、決算発表後の投資家向け電話会議説明会で、「TSMC/Nvidiaの供給制約により、AzureのAIビジネスは2025Q2で伸びが減少する」と予告が出ており、株価にマイナスの影響が想定される。
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