海外人材の給料:その国の平均給与をだすべきか、日本人と同じ給与を出すべきか?
今回の動画では海外人材採用の際にその現地の国の平均給与を出すべきか、もしくは日本人と同じ給与を出すべきかについて話していきたいと思います。まず結論から言いますと、私は日本人と同じ給与を出すべきだと思います。
例えば、日本人システムエンジニアに月 30万円給料を支払っている場合、海外の人材を採用しても同額の給与を払うべきです。
優秀な人材の獲得
まず、「海外の人材=コストを落とすことができる」という考えは改めるべきです。海外人材を雇用する際のポイントとして、優秀な人材を日本人と同じ給与で獲得できるという考え方にシフトするべきです。
ここからは同じ給料を出すメリットについて話していきたいと思います。まず 1 つ目のメリットは、物価や平均給与が日本より低い企業に求人を出す場合、給与の金額を上げることで、より優秀な層を獲得しやすいということです。
例えばベトナムの平均給与は新卒で 5、 6万円程だと言われています。それに対して 5、6倍の金額である30万円の給料を提示した場合、新卒ではなく、10 年 、15 年経験したシニアのエンジニアを採用できます。一方、30万円の給料で10 年 15 年経験したシニアの日本人エンジニアを採用することは非常に厳しいです。つまり、海外の平均給与に合わせてしまうと日本人と同じスキルレベルの人材になりますが、 現地の平均給与の5 倍、 6倍、日本人と同じぐらいの給料を出すことで、経験値の高い優秀な人材の獲得が可能になります。
離職率の減少
次に採用後の定着率が大きく変わってきます。相対的に給与が高くなるため、給与による離職率は大きく下がるはずです。また、元の給料が高いと転職をしても給与が下がる可能性が高いので、転職のリスクが下がります。
私はインドで生活をしたことがありますが、インドのエンジニアの給料は 大体10万円前後です。現地で生活するとなると、男性 6 人でシェアハウスをして生活をするなど節約生活を送ることになります。もし 給料を30万円得ることができれば、生活が劇的に変わります。これまで行けなかったレストランに行けたり、これまで 5 人でシェアハウスしてたところを 1人で住めたり、ベッドを変えられたり、生活スタイルが大きく変わります。高い給料による生活の変化は 物価の低い国全てに当てはまります。
現在、競合が少ない
3 つ目の理由は、「日本人と同じ給与を出す」という考えを持つ企業は多くはないということです。その国の平均給与が 5万円であれば 5万円で人材を採用しようと、コスト削減ばかり注目している企業がいまだ大多数を占めているため、他社より優れた人材を獲得できるチャンスがあるということです。月収5万円で採用された企業で働き十分な実績を積んだ外国人社員を 30万円を提示することで自社に引き抜くことも可能になります。この際、人材を直接引き抜いても、そのエンジニアが自社の求人を見て転職する間接的な引き抜きでも問題はありません。
現地の給料に基づいて採用をする企業には、このような他社からの引き抜きのリスクが常につきまといます。 A 社は 月5万円、 B 社が月 30万円の給料を払っているとなれば誰でも B 社に行きたくなるのは当然です。
日本で給料が 2 倍になっても、少し生活が良くなる程度ですが、平均給料が 5万、10万円の国であれば給料の変化は生活の劇的な変化に直結するため、お金に対する価値を日本人より相対的に高く持っています。なので、その国の平均給与で人材を採用していると、いつ人材を引き抜かれてもおかしくありません。日本人と同じ給料を出している企業であれば、すでに経験を積んだ人材を採用することができるため、余分な教育コストも必要ありません。
まとめ
外国人を採用する時に、その国の平均給与を出すべきか、もしくは日本人と同じ給料を出すべきかという点ですが、私は日本人と同じ給与を出すことを強く推奨します。
理由は、優秀な人材が獲得できるから、獲得した人材が離職しにくいからという 2 点です。逆に、その国の平均賃金で採用していた場合、競合企業に引き抜かれる可能性が高く、それまで掛けていた教育コストが一気に無駄になってしまうリスクもあるため、「平均給料が安い国に給料を出す = コストメリットがある」という考え方はやめて、優秀な人材を獲得するという考え方にシフトする必要があります。